有村架純の“お仕事現場”を密着レポート! 最新作『さとこはいつも』沖田修一監督と共に振り返る制作の裏側

有村架純の“お仕事現場”を密着レポート! 最新作『さとこはいつも』沖田修一監督と共に振り返る制作の裏側

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「オリジナルは周りの人たちを押しのけてでもやってやろう、という強い気持ちがありました」(沖田)

――『2万ウォンのプレイボール』のコピー「あの人が教えてくれたこと」は、本作にとっても重要な言葉のように思われます。

沖田「僕は、吉田羊さんが演じている寺尾先生という役が多分ずっとこの映画で尾を引いているんじゃないかと思っていて。というのも、14、15歳くらいの時にちょっとした人生のきっかけみたいなものを得る、という経験は誰しもある気がしていて。誰かが書いたものを読んで自分も書いてみる。今度はほかの誰かが自分が書いたものを読んで…と繰り返されていくので、『ビフォア・ザ・レイン』が堂々巡りしていたのと同じような意味合いで、そういうニュアンスを表すコピーがあったらいいなと思ってつけました」

ミステリアスな国語教師、寺尾先生を演じた吉田羊
ミステリアスな国語教師、寺尾先生を演じた吉田羊[c]2026 「さとこはいつも」製作委員会

―― 沖田監督の作品は、原作があったり、実在のモデルがいることも多いですが、今回は単独脚本のオリジナル作品ということで、特別なこだわりや想いはありますでしょうか。

沖田「ありますね。『ああ、もうあと何本撮れるのかわからないから、本当やんなきゃ』と思って。オリジナルについては周りの人たちを押しのけてでもやってやろう、という強い気持ちがありました。アイデア自体はずいぶん前からあったのですが、ある日お風呂に入っている時に、『そうか、書けなかった物語や生まれてこなかった物語についての話を書けばいいんだ』と気づいて書き出しました。『物語になりそうでならない』あるいは『自分でも書けそう』という感覚は誰もが感じたことがあるんじゃないかなと思っていて。そんな難しく考えなくても、“なにかを始める”ことについての映画かなと思っています」

―― 有村さんをキャストに選んだ理由を教えていただけますか?

沖田「すぐに『似合うな』と思いました。今回の役は、3人のさとこのうちの1人。それでも引き受けてくれるというのは、この作品自体に参加したいと思ってくれているということだと思うので、すごくうれしかったんです。現場で有村さんが一生懸命自分なりに考えて演じている姿には、すごく説得力があります。なにも言わないわけにもいかないけれど、本当に全部やってくれているぐらいだから、あとは有村さんが現場で動くのを見て『はい!』と言うぐらいのもので。30代女性のリアルを体現して、無理なく演じてくださっているのは、見ていて楽しいですね」

―― 演出において、細かい指示を出されない理由はなんでしょうか?

【写真を見る】「自由に俳優さんが動ける場所を作るのが一番」温かなまなざしで語る沖田監督
【写真を見る】「自由に俳優さんが動ける場所を作るのが一番」温かなまなざしで語る沖田監督[c]2026 「さとこはいつも」製作委員会

沖田「長年映画を撮ってきて、俳優さんの領分と監督の領分をどうするのかは、人によって探り探りやっています。自分がどうしたいかという希望だけを押し付けてもダメなんだなっていうことがだんだんわかってきて。どこまで俳優さんが堂々と演じられるかは生理的な問題だから、まず現場で見てから話をしていくのがいいんじゃないかと思っています。自由に俳優さんが動ける場所を作るのが一番なので、演技について先に決めてしまうのはもったいないなと。希望は伝えますが、僕はたいしてうまくないので、俳優さんに助けられながら作っていくのが一番合ってます(笑)」

―― 有村さんに、沙都子という人物について説明はされたのでしょうか?

沖田「少しだけ話しました。15歳とか55歳の“書く理由”というのはすごくピュアで、ちょっと綺麗すぎるなと思ってはいるんです。不倫のことを書く、というのは30代の女性にしかできない表現だとは思ったので、『大人にしかできない部分を担ってほしい』ということは伝えました」

6年に及ぶ村本との不倫は、どのような結末を迎えるのか…?
6年に及ぶ村本との不倫は、どのような結末を迎えるのか…?[c]2026 「さとこはいつも」製作委員会

「今回の企画は、佐々木(史朗)さんが残してくださったものの延長線上で成立している」(沖田)

―― 本作では、一作の中で世代の違う3人の主人公を描くなど新たな挑戦もありますよね。

沖田「そうですね、どうなるか僕もよくわからないでやっているので、おもしろいなと思っています」

―― 今回、オフィスシロウズが製作に入っていますが、故・佐々木史朗さんとの本作にまつわる思い出があればお聞かせいただけますか。

沖田「この映画の脚本を書いて相談している最中に亡くなられてしまったので…。『佐々木さんだったら、完成した台本を読んでなんて言ったかな、どう読み取ったんだろうな』と考えたりします。企画の段階で少しアイデアも言ってくださったりしていて。『55歳が不倫してたほうがいいんじゃないか』とか、いろんなことを言ってくださいました(笑)。僕は10代の頃に佐々木さんの名前がある映画ばっかり観ていたので。映画をやりたいなと思ったきっかけの一つでもある『家族ゲーム』のプロデューサーは佐々木さんですからね。だから今回のオリジナル企画は、そんな佐々木さんが残してくださったものの延長線上で成立しているんだと思います。」


取材・文/編集部

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