トム・ホランドとアン・ハサウェイが語る『オデュッセイア』の凄み「何千年も語り継がれた物語は、まるで“生き物”」
「『オデュッセイア』は人類史上最高傑作」
一方、オデュッセウスの妻であり、テレマコスの母でもあるペネロペを演じたのは、『ダークナイト ライジング』(12)と『インターステラー』(14)以来3度目のノーラン作品参加となるアン・ハサウェイ。「この歴史的な作品にかかわっていると思うと、不思議な感覚になります」と、彼女もまたホランドと同じように本作に出演できたことの喜びを明かす。
「いまは技術がものすごく進んでいるので、なにもかもをわかったような気になってしまうものです。でもこの映画を観たら、きっと言葉を失い、純粋な驚きと畏敬の念に打たれることでしょう。私も同じように圧倒され、『いったいどうやって撮ったの?』と考えてしまいました。でもそれが映画というものの楽しさだと思います。この作品の場合はCGや修正といった容易い答えでは片付かない。実際に手法を編み出し、まるで手品を見ているような感覚になる、魔法のような映画なのです」。
そんなハサウェイは、以前からギリシャ神話の大ファンだったそうで「ギリシャ神話は究極のストーリーテリング」と断言する。「私にとって『オデュッセイア』は人類史上最高傑作と呼べる物語のひとつともいえる、特別な存在。それをクリスが映画化すると聞いた時は、これ以上の題材とフィルムメーカーの組み合わせはありえないと直感しました」。
そして「私がギリシャ神話に惹かれるのは、とても純粋な営みから生まれた物語だから。世界の謎解きに挑んだ人々は、当時の人間が使える最も高度な道具である想像力を使いました。それによって、世界がより豊かに色鮮やかになっていく。当時は物語で埋められる余白があまりにも広大でした。だから彼らの物語は深いところまで掘り下げられており、いまもなお読み解かれている。数千年もの時を経ても残り、いまの私たちは何度もそこへ立ち返る。どの世代の人々にも探求する価値のある問いを投げかけてくれます」と熱弁を振るった。
ハサウェイの言葉を受けてホランドも、「何千年にもわたって語り継がれてきた物語なので、この映画は最高の共同制作ともいえるでしょう」と自信をのぞかせる。「この『オデュッセイア』のように昔から語り継がれてきた物語は、まるで生き物です。人から人へと語り継がれるなかで変化を遂げるし、クリスもまた、何百万人もの語り手の一人なのだと思います」。
最後にホランドは観客に向け、「この映画を観たら、まるで冒険をしてきたかのような感覚になると思います。IMAXで観たらその感覚もさらに強くなるに違いないでしょう」とIMAXでの鑑賞をアピール。ハサウェイも「映画館での鑑賞体験があり、その後も作品の余韻が残ります。この映画は他者の立場に身を置いて想像する感覚を喚起する。つまり『自分が人にしてもらいたいと思うことを、人にもせよ』ということで、私たちはいまだにその実現を追い求めています。この冒険譚が初めて語られた時代から、なにも変わっていないと思います」と呼びかけていた。
文/久保田 和馬

