愛する人の秘密、知らないほうが幸せ?犬山紙子がA24最新作『ドラマなふたり』で考える恋と信頼
ゼンデイヤとロバート・パティンソンが主演を務めるA24最新作『ドラマなふたり』(8月21日公開)の“ご来場は自己責任で”ゲスト登壇付きカップル試写会が8月6日に神楽座で行われ、イラストエッセイストの犬山紙子が出席した。
北欧出身の鬼才クリストファー・ボルグリ監督がメガホンをとり、『ミッドサマー』(19)のアリ・アスターがプロデューサーを務めた本作。主人公となるのは、ボストンのカフェで運命的な出会いを果たしたチャーリー(ロバート・パティンソン)とエマ(ゼンデイヤ)。このうえなく幸せな日々を送っていた2人だが、結婚式まであと7⽇と迫った夜、エマが告白した“最悪の秘密”をきっかけに、誰もがうらやむ完璧なカップルの関係が狂い始める。
劇中では、「愛する人のすべてを知りたい」という願いを発端に、チャーリーとエマに様々な試練が降りかかる。カップルが集まった上映後の会場では「エマは…」「チャーリーが…」と登場人物の名前を口にしながら感想を語り合う姿が見られるなど、彼らの愛の行方を見届けた観客の心には特別な余韻を残っていた。
「“知る”って、なんだろう。“許す”って、なんだろう。いろいろと考えさせられました」と映画の感想を語った、犬山。エマの告白を耳にしたチャーリーは、“彼女には想像を絶する別の顔があるのではないか”と恐れを抱いていく。エマの秘密について「誰もがスネに傷はあるけれど、これはなかなかエグい」と印象を吐露しつつ、「エマのことが怖くなってテンパっていくチャーリーを見て、“なぜもっと話し合おうとしないんだろう”とイラッとした気持ちもある」と語るほど、2人の関係に没頭しながら、そのやり取りに見入っていた様子。男性のマリッジブルーに目を向けた映画とも言えそうだが、犬山は「結婚ってなかなか大きな決断なので、男性にだってマリッジブルーはありますよね」と心を寄せつつ、「男性側の視線が描かれているのは、新鮮でした」と本作ならではの視点の魅力に触れていた。
相手への疑心暗鬼に陥ってしまったとしても、結婚式まであと7日と迫った時に「結婚式の準備を止められるか?」という投げかけには、「式にはいろいろな人を招待していて、相手の両親も自分の両親もいる。その日のために、みんなスケジュールを空けてくれているはず。式をやるとなると何百万とお金がかかるし…」と現実的な事情に想いを馳せながら、「ストップできるかなあ…と思っちゃいます。とりあえず式は挙げて、親戚の前では一旦仮面を被ろうとするかもしれない。でもボロは出るんでしょうね」と想像を膨らませていた。
さらに「愛する人のすべてを知りたいと思うタイプ?」と尋ねられると、犬山は「20代前半のころは、無鉄砲だったのでなんでも知りたいと思っていた。元カノの話とかもすべて聞いちゃった。そうしたら自分で聞いておいたのに、めちゃくちゃ嫉妬して。私、こんなに嫉妬するんだとびっくりした」と苦笑い。「元カノのmixi(ミクシィ)も見にいっちゃったりして。足跡をつけないで見にいく方法がありましたよね。それくらいの嫉妬をしたことで、私は元カノについて知らないほうがいいタイプだとわかった」という。
それと同時に、「恋愛って、相手のことを知りたくなることから始まる気がしている」と持論を述べた犬山。「こういう時にどんな顔をするんだろう、この人はどんな考え方をするんだろう、このニュースを見てどんな意見を持つんだろうと、“知りたい”というのは恋につきものだと思うんです。そこからパートナーシップを結んでいって、相手のことを知るうちに、どんどん自分自身のことも知ることになる。それが人と付き合っていくことの醍醐味だとも思う。すべてを知りたいわけではないですが、相手のことを深く知っていきたいという想いがあります」と相手の深い心理や内面を知っていきたいと語った。
夫である漫画家でミュージシャンの劔樹人のことは、「年々、彼のことを好きになっていく」とのろけ話も飛び出した。「尊敬できる部分が積み重なって、恋愛のドキドキというよりは人として“大好き!”みたいな気持ちが年々、増えていっている。その気持ちは、夫に伝えるようにしています」と照れ笑い。「毎日、心を込めて『好きだよ』『うちら、仲が良いよね』『味方だよ』と話していると、信頼する気持ちが生まれてきて。相手を疑う気持ちもなくなる。信頼関係が強くなるので、オススメです」と会場のカップルにアドバイスを送った。
またこの日の観客には、プレゼントとして「本音で話すきっかけ」をつくるコミュニケーションカード「セキララカード」が配られていた。「人って、言わないと伝わらない。察してくれていると思っていたら、8割、9割、人って察することはできない。ゲームのような形で、相手と話すきっかけができるのはすごくいいことですよね」とニッコリ。最後には「今日の夜、映画を観た皆さんがなにを話されるのかすごく楽しみです。お互いのことを知るだけではなく、理解するところまで話を進めてもらえればなと。私も夫と、mixi(ミクシィ)のこととか話してみようかな!」とやる気を見せ、会場を笑わせていた。
取材・文/成田おり枝
