『モアナと伝説の海』監督が教える、劇中のイースターエッグやドウェイン・ジョンソンと語り合った“映画の力”
「キャサリン・ランガイアには、遊び心と同時に非常に強烈なものがあるんです」
先日来日したジョンソンが、モアナ役のランガイアを見つけた際、監督から「彼女には言葉にできない“なにかがある”と言われた」と語っていたが、ケイル監督にその魅力について改めて聞いてみた。「確かに、私がドウェインと話をした時、何回も何回も言った言葉が、その言いようのない、ちょっと神聖な力や魅力でした。いま言葉にしてみると、威厳のあるそのパワフルさや、ユーモアかと。彼女には、遊び心と同時に非常に強烈なものがあるんです。今回の映画ではそれが実写化され、ある意味で体現されたわけです。彼女は非常に大きな悪魔と対峙することも辞さないけど、それと同時におばあちゃんと一緒にいる孫娘というような非常に静かな時間の演技もできる。1つの極から反対の極に自由に動きつつ、同じ人間性を保つことができるのが彼女の力だと思います」とランガイアを心から称える。
また、劇中にシリーズのファンがうれしくなるようなトリビアが隠されていないか、聞いてみた。「いくつかありますが、『シャイニー』という曲が流れる時、デヴィッド・ボウイへの目配せがあり、それはメイクアップや目の色に表れていて、彼へのオマージュのようになっています。また、『もっと遠くへ』では、(船を)漕ぎだして振り返ってカットバックする時3人の人物が手を振ってるんですが、あれは実はドウェイン・ジョンソンのお母さんと2人の娘さんです。また、モアナが航海に出て、振り返った時に自分の先祖がいるというシーンにも、ドウェイン・ジョンソンの先祖を表すお母さんと、未来を表す2人の娘を使っているので、モアナファンは楽しんでくれたらいいなと思ってます」と、とっておきのイースターエッグを教えてくれた。
「リン=マニュエル・ミランダのように、キャラクターを強めるような曲を作れる人はなかなかいない」
続いて音楽の話題へ。様々なミュージカルを手掛けてきたケイル監督にとって、本作で特にお気に入りの楽曲や演出について尋ねてみた。「私はこの楽曲を作ったリン=マニュエル・ミランダと25年一緒に仕事をしてきましたが、彼は曲を通じて物語を進めていく能力があるということに本当に感心しています。彼のように、キャラクターを非常に尖鋭化するというか、強めるような曲を作れる人は、なかなかいない。大抵の曲は、少しストーリーやキャラクターとズレていたりしますが、彼の場合はそうならないんです。また彼の書く歌詞を聞くと、本当にそれを信じて従うべき道であることがわかり、いろいろな洞察を与えてくれます」と、まずはリン=マニュエル・ミランダに絶大な信頼をおいている理由を語る。
そして「どの曲にもそういうものがあるから、私は全曲を信頼しているし、それはリン=マニュエル・ミランダが書いた曲だからということに加え、キャストの力も大きいかと」としたうえで「だからどの曲も大好きですが、あえて言うとしたら、オープニングナンバーの『いるべき場所』という曲が、『屋根の上のバイオリン弾き』や『美女と野獣』などのオープニング曲と同じように、革新的にこの作品の基盤を作っていると思います」とコメント。同曲を聴けば、「モアナのコミュニティである島と彼女とのコネクション、つまり彼女のルーツがそこにあるからこそ、彼女は探検の旅に出るということがよく理解できます」と答えてくれた。だからこそ、この曲への共感が物語への没入感を深めてくれるという。
ケイル監督のもとで、豪華キャストが人気シリーズの世界観を体現するミュージカル・アドベンチャー『モアナと伝説の海』。心揺さぶる冒険譚は、圧倒的な映像美や心に響く美声や音楽も含め、ぜひ大スクリーンで体感していただきたい。
文/山崎伸子
