ネタバレなしで「スパイダーマン」最新作をレビュー!「大いなる力には大いなる責任が伴う」の“責任”にはピーター・パーカー自身の幸せも含まれていた…!
トム・ホランド版スパイダーマンも10年経った…。もうルーキーヒーローではいられない!
本作の監督デスティン・ダニエル・クレットンは『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(21)でMCUにマーシャルアーツ(格闘)映画の楽しさを持ち込んだ人です。このセンスが活きています。『ノー・ウェイ・ホーム』が夜の戦闘シーンだったのに今回は昼の戦いが多い。いままで以上に鮮やかな青と赤のスパイダースーツが映えます。
今回のヴィランの一つであるザ・ハンド。忍者集団でコミックではデアデビルとかウルヴァリンの敵のイメージが強いですが(この秋発売されるPlayStation 5のゲーム「Marvel’s Wolverine」にも登場)、本作でスパイダーマンと対決します。なぜザ・ハンドがスパイダーマンの映画に?と思ったのですが、これはもう素敵な見せ場を作るためだけでしょう(笑)。悪い意味ではなく、スパイダーマンとザ・ハンドという身体能力の高い同士だからこそ出来るアクロバティックなファイトシーンはワクワクします。
その一方とにかくパワーで押しまくるハルクとの一戦も見どころ。スパイダーマンがちょこまか動いてハルクを翻弄するのは見ていて楽しいです。さて…『ブランド・ニュー・デイ』最大の謎はセイディー・シンクが演じる役柄です。これはもうお楽しみですが、まずコミックの知識がない人でも十分理解できるというか、超魅力的なキャラです。そしてアメコミ好きの方ならビックリするでしょう。ピーターと彼女の関係がさらにこの物語を盛り上げます。それにしてもセイディー・シンク、ドラマ「スレンジャー・シングス 未知の世界」のマックス役の時は愛らしい女の子だと思いましたが、本作ではぐっと成長して妖艶さがあります。
「成長」といえば、トム・ホランドも大人になりました。彼がスパイダーマン役でデビューしたのが2016年のMCU映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』です(本作でネッドがスパイダーマンの資料を壁に貼り付けていますが、そのなかに“スパイダーマンが登場したのは2016年”というメモがあるのは、このことを差しています)。
もう10年経っている。ということはピーターもあのころから10歳年を重ねました。
もうルーキーヒーローではいられません。そう今度の『ブランド・ニュー・デイ』は大人になったピーター、一人前になったスパイダーマンの冒険なのです。スパイダーマンのテーマである「大いなる力には大いなる責任が伴う」が本作にも生きていますが、その「責任」のなかに、自分に対しての責任=自分が幸せであること、も含まれている。そんなことを感じさせてくれるスパイダーマンでした。
スパイダーマン映画は、主人公が軽口をたたくという設定があるので会話のやりとりがおもしろい。なので機会があったら日本語吹替版もお薦めです(わたくし、杉山すぴ豊も監修のお手伝いをしています)。そしてこの日本語吹替版のエンディングに、Mrs. GREEN APPLEの「Brand New」が流れます。本作を観た後の気持ちとこの曲はとてもマッチングしています。このスパイダーマンがTVアニメかドラマだったとしてら、こういうエンディング主題歌になるだろうなというぐらいピッタリでなのです。
ポスト・クレジットのおまけシーンもあります。これまた、「ええ!?」となるでしょうが、次にスパイダーマンとどういう形で会えるか楽しみに待ちましょう。
この夏は劇場で「GO!SPIDEY!GO!」です。
文/杉山すぴ豊
