丸の内TOEIに車が激突!?『藁にもすがる獣たち』前代未聞の撮影現場にエキストラ参加してきた!
「丸の内TOEIに車が突っ込む撮影の取材、興味ありますか?」。そんな電話がMOVIE WALKER PRESS編集部に入ったのは、多くの映画ファンに惜しまれつつ、丸の内TOEIが閉館した2025年7月27日の、数週間前のことだった。もちろん興味はあった。
詳細を聞くと、国内外で高い評価を得る城定秀夫監督作であり、いまをときめく鈴鹿央士主演作であり、成宮寛貴の映画復帰作の撮影であるという。興味は増すばかりだった。
本作は、江戸川乱歩賞作家・曽根圭介の同名小説を映画化した『藁にもすがる獣たち』(9月25日公開)。弱小・大学生YouTuberの佐藤寛治(鈴鹿)が、バイト先のネットカフェに誰かが置いていった怪しいボストンバッグから、現金1億円を見つけたことに端を発するノンストップ・サスペンスだ。脚本は「岸辺露伴は動かない」シリーズを手掛けた小林靖子と城定の共著で、金のために“獣”と化していくクセつよ登場人物たちを料理しながら、予想だにしない結末を描きだす。
前のめりで、電話をくれた宣伝スタッフに取材希望を伝えると、「ちなみにエキストラ参加もできるのですが」とのこと。そんな現場にいられるなんて、二度とない経験…好奇心と映画ファンとしての血が騒ぎ、もちろんエキストラ参加で!と伝えて意気揚々と撮影現場へ出かけて行った、MOVIE WALKER PRESS編集部員のレポートをお届けする。
エキストラとして撮影現場に潜入…丸の内TOEIの衝撃の姿を目撃!
そもそもなぜこの規格外の撮影が実現したのだろう。「脚本段階で、おもしろいアクションをやりたいっていう意見が出てきて。いままで見たことないものをやりたいと。プロデューサーやカメラマンなど、みんなで集まって会議をしていくなかで、そういえばここのビル(旧東映本社ビル)はちょうど撮影タイミングで取り壊されるというのを聞いたんです。その話のなかで映画館も使えるんじゃないか?となったわけです」。城定監督が語るとおり、本作はまさに“いままで見たことがない”画を生み出すことになった。
閉館前には、80日間にわたるイベント「さよなら丸の内TOEI」も行われ、東映作品に携わってきた多くの映画スター、映画ファンたちが最後の別れを告げに来た丸の内TOEI。2025年7月31日、三角コーンが置かれ、中が見えないように暗幕でふさがれた映画館入口に到着すると、編集部員もしんみりした気持ちになった。だが、関係者に連れられ内部に入ると…思わず笑いがこみ上げてきてしまった。
2階席も併せて500席以上の規模を誇るスクリーン1の入口が、コンクリートと中綿が剥きだしで大破している!その面前には、このあとの撮影で劇場内に突っ込むであろう黄色い車が一台、可愛らしいブランケットをかけられて待機していた。
撮影シーンの概要はこうだ。成宮が演じる不良警官の江波戸良介は、郷田組というヤクザと癒着していた。付き合っていた女の店の開業資金にと、組から借金をしたのだが返済がままならず、追い込みの激しさは増すいっぽうだった。そんなある時思わぬ金の話が舞い込むのだが、同時に組に追われることとなった良介は、組員であり舎弟でもあるデメキン(二ノ宮隆太郎)と共に車で逃走を図る。しかし組長の懐刀・エリンギ(青木マッチョ)に車内で襲われ絶体絶命のピンチに。暴走する車が行きついたのが、この映画館だったというわけだ。
変わり果てた丸の内TOEIを見た成宮は、「本当に歴史ある劇場をこんなふうにぶっ壊しちゃって…」と苦笑しながら、「本当に光栄です」と二度とないであろう撮影の機会に感謝を寄せた。青木も「映画館は基本的に静かに、走らないとかは当たり前だと思うんですけども、映画館でやってはいけないことをすべてやったと思います。やっぱりやっちゃいけないことするのって楽しいなと思いました」と、大真面目な表情で語ったとおり、この日、日本映画ではあまり見ることがない規模の撮影が行われたのだった。
