丸の内TOEIに車が激突!?『藁にもすがる獣たち』前代未聞の撮影現場にエキストラ参加してきた!

丸の内TOEIに車が激突!?『藁にもすがる獣たち』前代未聞の撮影現場にエキストラ参加してきた!

映画館の椅子が宙を舞う!?まだまだ終わらない、前代未聞アクション

エキストラ参加しながら、壮絶アクションを特等席で見学させてもらった!
エキストラ参加しながら、壮絶アクションを特等席で見学させてもらった!

衝撃シーンの撮影後ももちろん現場は止まらず、すぐに俳優部が入った撮影へ移行。ぴちぴちの花柄シャツにサスペンダー、彼のトレードマークと言えるおかっぱ頭という出で立ちで、青木マッチョが映画館に姿を現した。編集部員のいる席から5列ほど後方の位置にいたが、二の腕の太さがとんでもないことがわかる。その筋肉を存分に活かし、映画館の座席をぶん投げるというシーンが次なる撮影だ。

映画館に突っ込んだあと、なんとか大破した車内から脱出する良介だが、ピンチは終わらず、エリンギは座席の椅子を引きはがし、逃げ出す良介めがけて投げ飛ばす!という流れ。スーツ姿の成宮も現場に入ると、スピード、テンポ感にこだわる城定監督演出のもと、入念に一連の流れをテストしていく。

映画館の椅子、何kgぐらいあるのだろうか
映画館の椅子、何kgぐらいあるのだろうか

安全面も考慮し青木が持つ椅子には2階席からつるされたワイヤーが装着されている。飛ばされた椅子をアクション部たちがしっかりと受け止めるのだが、ワイヤー班、撮影部、俳優も含めてチーム全員のタイミングが合わなければ迫力ある画にならない。さらに座席がびっしりと配置されている劇場内では、これだけの人数が動くだけでも至難の業だ。

虎視眈々と1億円を狙う不良警官、江波戸良介
虎視眈々と1億円を狙う不良警官、江波戸良介[c]曽根圭介/講談社 [c]2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

編集部員はこの時少し離れた位置から現場を見学していたが、椅子の飛ばし先近くにいるエキストラに対して、「当たっちゃうかも」と気遣う成宮の様子が見えた。さらに、「長丁場ですが、よろしくお願いします」と声をかける姿も。その優しさに、エキストラたちも応えようとさらにやる気が増したことは言うまでもない。城定監督が「成宮さんとは以前ガラッと違う役の時にご一緒しましたが、本当になにをやらせても魅力的だなと思います」 と語る通り、カメラが回っていない時の穏やかさとは打って変わり、本番中は生きるか死ぬかの状況を打破すべく、口汚く群衆を罵る不良警官があまりにハマっていて、目をみはる。

椅子を持ち上げた青木が、気合い一発、椅子を投げ飛ばす。椅子投げのテストは何度か実施されたが、およそ10席分の距離、かなりの勢いで宙を舞っていく椅子!劇場内を椅子が飛んでいくのを見ることは二度とないかもしれない。

エキストラの奥深さを痛感!『わらけも』チームの情熱がすごかった

映画館の椅子を投げ飛ばす、青木マッチョ演じるエリンギ!
映画館の椅子を投げ飛ばす、青木マッチョ演じるエリンギ![c]曽根圭介/講談社 [c]2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

この椅子投げシーンを青木の寄り、成宮の寄りなど様々なカットから撮影していくわけだが、そのたび後ろで逃げ惑う群衆、我らエキストラの動きも画作りの重要な要素を担う。参加したことで、映画における大衆が作り出す空気の重要性をしみじみと感じた現場だった。

例えば映画館の入口へ逃げ出そうとする観客と、エリンギから逃げるためスクリーンへ向かう良介。向かってくる観客を必死でかきわける良介をカメラが狙うため、エキストラたちはある程度の図々しさをもって成宮の進路をふさぎ見せ場を作り、それでいてカメラの邪魔になりすぎない塩梅を探って“自然な”パニックに陥る群衆を演じなければならない。

アクション部と座席の上を、ライブハウスのダイバーのように転がるアクションにも挑戦していた成宮
アクション部と座席の上を、ライブハウスのダイバーのように転がるアクションにも挑戦していた成宮

あまり邪魔しすぎないと「成宮さんを突破させないで!」という指導が入り、待ち構えすぎると「動きを止めずに!」という指導が入る。城定監督も、「もう少し、混乱している雰囲気を出したい…」など、大衆の演出には余念がなかった。こと、追うものと追われるものが登場する作品において、画面の背景や見切れに存在するそのほか=エキストラたちの動きの精度が、スリルを高める起爆剤になるのだ。

城定監督やスタッフがそれを理解しているからこそ、丁寧にエキストラ演出を行ってくれるおかげで、参加している側も、現場の熱量と共にチームの一員として最高のシーンを作り上げることへの使命感が高まっているようだった。あまりに全力過ぎて、逃げる最中思いっきり転倒してしまったエキストラもいたが、周囲のエキストラたちのフォローの早さと、「全然平気!」と爽やかに返事をしてみせた当事者の姿になんだか感動してしまった。編集部員も撮影が後半になればなるほど、堂に入った逃げっぷりを披露できていたように思う。成宮を含め、数々の名優たちが舞台挨拶で立ったであろう舞台の上に上がらせて頂き、逃げ惑う観客役を全力で務めさせて頂いた。

この日がクランクアップだった二ノ宮隆太郎。笑顔で挨拶!
この日がクランクアップだった二ノ宮隆太郎。笑顔で挨拶![c]曽根圭介/講談社 [c]2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

型破りな撮影をやってのけた城定監督は、本作の現場を次のように語る。「本当にスタッフ、キャストに恵まれました。こんな順調な現場を経験することはあまりないなと。快適で楽しいし、いままでやったことないようなことがたくさんできました」。数多くの制約もあったに違いない本作だが、現場の雰囲気は適度な緊張感と緩和が共存していた。ちょうどこの日の撮影をもってオールアップとなった、デメキンを演じる二ノ宮のコメントにも、本作の現場の穏やかさを感じた。「尊敬する監督の作品に出られてうれしかった!成宮さん、青木さんにも優しくしてもらいました。映画楽しみです」。

成宮寛貴、青木マッチョが体当たりで挑んだ死闘は必見!
成宮寛貴、青木マッチョが体当たりで挑んだ死闘は必見![c]曽根圭介/講談社 [c]2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

本作の見せ場と言っていい、一連のアクションシーン。椅子投げ以外でも、エリンギは無表情で観客を蹴散らし、良介に容赦なく拳をふるい、まさにターミネーターのごとく迫るラスボスのような存在感を放っている。成宮も青木との熱い現場を、「マッチョさんの一撃が想像以上に強くて。でも1つも怪我せず、一応いま生きているんで(笑)」と笑って振り返る。カメラ外では打って変わって謙虚な青木も、「僕は力が強いです。 調整してるつもりではあるんですけども、クライマックスに入ってくるので、テンション上がってさらに強くならないように気を付けて…でもちゃんと迫力が出せるように頑張りました」と手ごたえを口にしていた。

森七菜がこれまでのイメージを覆す悪女を演じる
森七菜がこれまでのイメージを覆す悪女を演じる[c]曽根圭介/講談社 [c]2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

本作では2人の戦い以外にも、謎めいた“夜職悪女”(森七菜)、幸薄な“ワケあり主婦”(MEGUMI)、軽薄な笑みの裏に残忍さを秘める“ヤクザの親分”(岩松了)、突然良介とバディを組むことになる“食わせ者の刑事”(小手伸也)など、一生関わり合うはずのなかった人物たちによる、1億円をかけた死闘が物語のあちらこちらで、畳みかけるように勃発する。1億円の行方は?そもそも誰の金なのか?最後に笑うのは?ノンストップで展開していく獣たちの争いは、目を離せないこと請け合いだ。

そして、果たして自分たちエキストラは、どれぐらい本作の背景に深みを与えることができたのだろう?そんな楽しみも持ちながら、あの丸の内TOEIのシーンを映画館で観るのを、心待ちにしたい。


取材・文/MOVIE WALKER PRESS編集部

作品情報へ

関連作品