「戦争は突然ではなく人々の選択の積み重ねで始まる」「いま、私たちが直面している現実でもある」…『開戦前夜』が問いかけるメッセージを映画ファンはどう観た?
「太平洋戦争直前の日本にタイムスリップしたかのような没入感」…実力派キャストの競演
宇治⽥役の池松壮亮をはじめ、飄々とした佇まいで一貫して反戦の立場を貫く同盟通信社政治部記者の樺島を演じる仲野太賀、海軍少佐としての立場を持ちながらも開戦には慎重な姿勢を見せる村井役の岩田剛典ほか、総力研究所の若きエリートたちを演じたキャスト陣らは未来を変えようとする情熱や葛藤など、国家の行く末を背負う覚悟を、若さほとばしる演技で力強く体現している。
さらに、陸軍中佐で総力研究所設立の考案者の一員でもある瀬古明役の佐藤隆太、後に内閣総理大臣となる陸軍大臣の東條英機役の佐藤浩市、東條の側近で西村良穂役の江口洋介ら実力派俳優たちも集結。開戦へ向けて進む“空気”のなかで、それぞれの立場や信念の間で揺れ動き、憂慮する複雑な内面を圧倒的な存在感で表現している。豪華実力派キャスト陣が織りなす重厚な演技に称賛の声も数多く上がっている。
「太平洋戦争直前の日本にタイムスリップしたかのような没入感。エンドロールまであっという間で、池松壮亮さんの繊細な演技が圧巻でした。85年前に実在した日本の若きエリート集団。彼らの魂の叫びに胸が震えました」
「海軍少佐村井和正役の岩田剛典さんが、スクリーンの中で白い制服がひときわ目立っていた。台詞、仕草、立ち姿何もかも素敵で光っていた。胸を打たれた」
「若手の俳優さんもすごいけど、ベテラン俳優さんの熱量が半端ない。三浦貴大さんめっちゃ良かった」
「佐藤浩市さん演じる東條英機の凄みが、この映画の価値を一段階上げている」
「宇治田洋一の妹役に二階堂ふみさん、昭和天皇役は松田龍平さん。ほかにも挙げきれないぐらい有名俳優が出ていて、これだけでも観る価値あるさすがの布陣だった」
なぜ日本は無謀な戦争へと突き進んでいったのか?映画『開戦前夜』で描かれるその光景はどこか現代社会とも通じるところがないだろうか?戦後80年が経過し、社会情勢が不安定さを増す現在。決して遠い過去の出来事ではなく、自身の未来について考え、「いまは“開戦前夜”なのか?」とその警鐘を受け止めた観客たちの声を最後に紹介したい。
「なぜ負けるとわかっていながら真珠湾攻撃に踏み切ったのか。なぜ政府や軍部は、専門家の警告を無視して破滅へと向かう道を選んだのか。日本全体が戦争へと突き進んでいく空気に呑み込まれ、合理が、非合理に敗北する。恐ろしいほどいまの日本と重なる」
「『歴史を学ぶ』というよりもむしろ、『歴史から何を学ぶのか』を考えさせてくれる作品。我々を吞み込もうとする得体の知れない怪物は昔話ではありません。いま、私たちが直面している現実でもあります」
「戦争の現実を伝えようとする者たちがいる一方で、それでも突き進んでしまう。胸に重くのしかかるものがあり、様々なことを考えさせられた。過去の出来事だからこそ、いまを生きる自分たちは、そこから学ばなければならないと思う」
「誰かが決定的に悪という訳ではなく、もしかしたら誰も望んでいなかったかもしれない戦争。いま大人である私には戦争をしないという責任があると思った」
「単なる歴史劇ではなく、現代の私たちが直面している“組織と個人のあり方”を強く問いかける物語。豪華な俳優陣の熱量の演技合戦に魅入ってしまった重厚な2時間18分。今年で戦後81年。いつまでも戦後でありますように…」
構成・文/平尾嘉浩
