「戦争は突然ではなく人々の選択の積み重ねで始まる」「いま、私たちが直面している現実でもある」…『開戦前夜』が問いかけるメッセージを映画ファンはどう観た?
「真摯な葛藤や緊迫感から、1人の人間としての責任を考えさせられる」…若きエリートたちが繰り広げる緻密なシミュレーションと熱い信念
総力戦研究所では、選ばれたエリートたち一人一人に、内閣総理大臣や海軍大臣、陸軍大臣など実際の政府を模した「模擬内閣」として役割が割り振られ、軍事力、経済力、工業生産力など多角的な視点から緻密なシミュレーションが行われていく。開戦か、避戦か。日本の命運を左右する問いを前に、彼らの激論は日を追うごとにヒートアップしていく。自由な思想や発言が命取りとなりかねない当時。彼らが交わす言葉の一つひとつには、単なる机上の分析ではなく、日本の未来を背負う覚悟が込められていた。あくまで予測に基づくシミュレーションではあるが、資源に乏しく、経済制裁によって追い詰められていた当時の日本の状況や、戦争によって生じる損害を示した膨大なデータには現実を突きつける説得力がある。若きエリートたちそれぞれが命懸けでこのプロジェクトに取り組み、国や国民、日本の未来を想って声を挙げる姿は、観る者を深く引き込んでいく。彼らの揺るぎない情熱や葛藤、そして、言いようのない“空気”に立ち向かう深い苦悩。その濃密な人間ドラマに心を動かされたという声も数多く確認できた。
「当初は水掛け論ばかりだった模擬内閣が、白熱しながらも建設的な議論をするチームに変わった瞬間は、胸熱でした」
「若きエリートたちの真摯な葛藤や見事な緊迫感から、1人の人間としての責任を考えさせられ、まさに“いま”を試される物語だと思う」
「結末を知った上で見ると、池松壮亮や仲野太賀ら若きエリートたちが発する“沈黙”や“視線”の重みにより一層深く突き刺された。“日本必敗”のデータが時代の空気に飲み込まれていく恐怖。いまこそ見るべき傑作」
「立場の異なる人たちそれぞれの信念と葛藤の揺らぎがより伝わったし、いままさに問題視されている分断社会にも言及されていて痺れたな…この完全版を観る前の景色にはもう戻れない」
「人々の緊張感と切なさが深く胸に刺さる」…開戦か、避戦か。日本の未来を懸けた手に汗握る駆け引き
シミュレーションを重ねるほど、アメリカとの戦争がいかに無謀な選択であるか見えてくるが、その裏側で日本はすでに開戦を見据えた軍事行動を着々と進めていた。模擬内閣で内閣総理大臣として任命された宇治田は、過去のトラウマから当初は議論に加わることに消極的だったが、“日本が破滅するほどの敗北をする”という衝撃的な予測を導き出したことで、なんとしても戦争だけは避けなければならないと決意を固める。全身全霊で戦争回避を訴える宇治田と、その想いに共鳴する樺島茂雄(仲野)、村井和正(岩田)ら研究所の仲間たち。一方で、彼らの動きを牽制する軍上層部。この緊迫したせめぎ合いは、本作の大きな見どころの一つだ。
「国家の理想の裏で、個人の小さな幸せが押し潰されていく不条理。まだ引き返せたはずの選択肢と、抗えない巨大な濁流。その狭間に立つ人々の緊張感と切なさが、深く胸に刺さりました」
「気迫に圧倒されました。気が付いたら涙が」
「開戦を支持した背景、期待していた着地点をいろんな側面からもっと知りたくなる物語でした。武力行使という手段が、国家の意思表示としていまより身近だった時代のピリピリした空気が漂う」
「衝撃作、問題作には違いない。でも開戦を特定の人たちが、導いたとは言い難い。プロパガンダもあっただろうけど、乗ったのは国民1人1人」
