「ウルトラマン」の理解者ギレルモ・デル・トロ!『THE ORIGIN OF ULTRAMAN』で語る言葉から『パシフィック・リム』『シェイプ・オブ・ウォーター』への影響を探る
日本を代表する特撮ヒーロー番組「ウルトラマン」シリーズ。第1作放映開始から60年を記念して製作された『THE ORIGIN OF ULTRAMAN』が公開中だ。本作は作品誕生の舞台裏やその魅力、のちのメディアに与えた影響など、「ウルトラマン」を多角的に分析し、「『ウルトラマン』とはなんなのか?」に迫る長編ドキュメンタリー。豊富な映像資料やキャスト&スタッフなどの関係者、是枝裕和や庵野秀明、樋口真嗣、小島秀夫ほか国内外クリエイターの証言や考察で構成され、その証言者の一人としてギレルモ・デル・トロが登場する。特撮映画の大ファンであり、「ウルトラ」シリーズの生みの親、円谷英二からの影響を公言している熱烈なフォロワーだ。本作で語られる言葉を通し、デル・トロに受け継がれた「ウルトラマン」のDNAを探ってみたい。
シンプルで美しい造形がウルトラマンの魅力
ロボットアニメや怪獣映画へのオマージュを盛り込んだ『パシフィック・リム』(13)や、第90回アカデミー賞作品賞、監督賞に輝いた『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)で知られるデル・トロ。ウルトラマンマニアの彼への敬意を込めて、2015年放送の「ウルトラマンX」に“惑星ギレルモ”としてその名が刻まれるなど、両者は相思相愛の関係にある。
デル・トロが生まれたのは1964年。「ウルトラマン」の前章ともいうべき特撮シリーズ「ウルトラQ」(1966年放映)の製作がスタートした年でもある。彼によると、メキシコで「ウルトラマン」の放映が始まったのは彼が4歳の頃。すぐに夢中になり、ウルトラマンの絵を描いたり、空き缶や電球でマスクを自作してケガをするなど、劇中では少年時代のエピソードも明かされている。キャリア初期には特殊メイクアーティストとして活躍していたデル・トロだが、「ウルトラマン」はその原点の一つだったのだろう。
初代ウルトラマンは頭からつま先までシルバー一色のスリムなボディに、筋肉に沿って引かれた赤いラインが特徴。頭部には目と口のほか、なめらかな突起があるだけと極めてシンプルだ。これをデル・トロは、わずかなエレメントだけで美しく見えるよう構成された絶妙なデザインだと分析し、「ウルトラマンというどこにもない芸術形式」と絶賛する。考えてみると「ヘルボーイ」シリーズの半魚人エイブ・サピエンや『パンズ・ラビリンス』(06)のペイルマンなど、デル・トロのシンプル系クリーチャーのデザインは、ウルトラマンに通じる佇まいを持っている。
