『スーパーガール』クレイグ・ギレスピー監督が語る新ヒーロー誕生秘話「まだ色のついてない役者と共に成長しきれてないキャラクターを描くのはまたとないチャンス」
「クリプトはジェームズの愛犬、オヅがモデルなんです」
気になる問題もある。『スーパーガール』の企画が実際に動き出したのは『スーパーマン』の撮影中。新生DCユニバース作品の第2弾としてなにを受け継げばいいのか、お約束はどんなことなのか、ガンにアドバイスをもらうほか手はない。「ジェームズと初めて会ったのは、『スーパーマン』の撮影が始まったばかりのころでした。彼がどんなユニバースを創り、それを私がどう継承すればいいのかは彼に尋ねるしかありません。でも、彼の答えは予想を裏切るものでした。“僕は、それぞれの映画を一冊ごとのグラフィックノベルのように考えている。ライターとイラストレーターが独自で考えた物語であり世界だということ。『スーパーガール』は、あなたのグラフィックノベルなんです”。彼のこの言葉がなにを意味しているかと言えば“自由”です。私は最初から自由をもらえたんです。コミックの映画化で自由度が高いなんて、本当にすばらしいと思いました」。
自由度が高く、ガンからのリクエストも少なかったというが、ことクリプトに関しては違ったようだ。クリプトは『スーパーマン』に登場したクリプトン星出身のスーパードッグ。本来の飼い主はカーラであり、『スーパーマン』の後半、彼女とクリプトが再会するエピソードが描かれていた。スーパーマンはクリプトに振り回されていたが、多くの観客はこのやんちゃなワンコにフォーリンラブ。今回は前作以上に重要な役割を与えられ、スーパーガールは毒に侵されたクリプトを救おうと奔走する。
「クリプトはジェームズの愛犬、オヅ(ガンが大ファンの小津安二郎監督から命名された)がモデルなんです。だから、彼の想い入れは強かったし、アドバイスもたくさんもらいました。クリプトはどれくらい言うことをきくのか?誰のことならきくのか?そもそもどれだけやんちゃなのか?…そういうクリプトの詳細についてジェームズには明確なビジョンがあったので、彼を演出する上でとても助けになりましたね。カーラとクリプトにはとても深い絆があります。カーラにとってクリプトは故郷であるクリプトン星とつながる唯一の存在。2人は崩壊したクリプトン星の生き残りで、似たところがあります。同じようなエネルギーをもっていて、時にカオスを引き起こす。強い愛情で結ばれているにもかかわらず、ちょっと厄介な関係性…そういう部分はジェームズのアドバイスが本当に役立ちました。カーラとクリプト、間違いなくバディのような関係だと思います」。
「カーラとルーシーの合わせ鏡のような関係性にも注目してほしい」
もうひとつの本作の特徴としては、カーラのクリプトン星時代が描かれているところ。同じ星の出身者でいとこ同士だとはいえ、スーパーマンと違うのはこの故郷で過ごした時間。スーパーマンは赤ちゃんのころに星を離れて地球で育ったが、カーラの場合はそこで育っている。その重要性をギレスピーはこう語っている。「クリプトン星でのカーラの人生を描けたのは、監督としてうれしかったですね。というのも、彼女が抱える痛みや苦しみ、喪失感を伝えることができるからです。これは本作においてとても重要な部分で、カーラの人格や世界の見方を理解する上で不可欠だからです。ミリーはすごかったですよ。クリプトン星の言葉を習得したし、そういった感情の起伏も見事に演じてくれましたから」。
ということは、本作はスーパーガール/カーラの青春ドラマであり、成長ドラマという側面もありそうだ。「そういう一面もありますが、カーラはなにかを探しているというより、責任から逃げているんだと思います。スーパーマンのような役目を負いたくないから、ある意味ではその責任に反発すらしています。そういうなかで出会った若いルーシー(イヴ・リドリー)との友情が始まります。彼女も大きなトラウマを抱えていて、彼女に手を差し伸べると、それは自分自身も救うことになる…2人の合わせ鏡のような関係性にも注目してほしいですね」と、鍵を握るルーシーにも言及する。
ちなみに本作のタイトル、当初はグラフィックノベルと同じ「Supergirl: Woman of Tomorrow」だったが、『スーパーガール』とシンプルになった。その理由はギレスピーいわく、「そのほうが絶対、力強いと思ったからです。余分な説明はいらない。スーパーガールが何者なのかは、映画を観てもらえばわかりますからね!」。
スーパーガールがどんな活躍を繰り広げるのか。劇場に足を運ぶのが楽しみだ!
取材・文/渡辺麻紀
