映画ファンの“ツボ”が満載!元ネタがわかるとより愉しい『モータルコンバット/ネクストラウンド』の映画パロディ
1995年、ポール・W・S・アンダーソンによって映画化された格闘ゲーム「モータルコンバット」(映画版の邦題表記は『モータル・コンバット』)。人気ゲームの映像化の先駆け的作品ということも手伝ってか大ヒットし、アンダーソンの名前も一躍知られるようになった。が、実のところこの映画版はゲームの特徴だった残酷さを封印しており、アメリカでのレイティングはPG-13指定。ゲームファンからすると「違う」作品だったようだ。
そういうファンの不満もあったのか、2021年に残酷さをキープし本国ではR指定、日本でもR15+となったリブート作『モータルコンバット』が公開された。サイモン・マッコイド監督による本作は興行的にも成果をあげ、続編の『モータルコンバット/ネクストラウンド』も6月6日に日本公開となった。
正直、筆者はゲームに関しての知識はゼロに等しいのだが、それでもこれを大いに楽しんでしまった。最初から最後まで、ほぼ闘っているだけ。体を輪切り状態にしたり真っ二つにしたりと、残虐さも前作よりレベルアップしたような印象。にもかかわらず、楽しめてしまったのは随所にちりばめられた映画ネタ。1作目でも少しはあったが、この2作目は主人公の1人がアクションスターのジョニー・ケイジになったせいもあってなのか、映画ファンならツボを押されたような楽しさがある。
フェイク予告まで!ジョニー・ケイジの登場で映画小ネタが爆増
カール・アーバンが演じたこのジョニー・ケイジ。前作の最後、ロッカールームの壁に彼が主演した架空のアクション映画『市民ケイジ(Citizen Cage)』のポスターが貼られていたので、その予告を受け継いだ登場になる。当時はキャスティングが決まってなかったせいなのか、下半身しか見せていない。それにしても気になるのはこのタイトル。映画ファン的に連想してしまうのは、本作とはまるで関係ないだろう映画史に残る傑作、オーソン・ウェルズの長編デビュー作『市民ケーン』(41)だったりする。原題は『Citizen Kane』なわけだから、意識してないとは思えない。
彼がコミコン会場のようなブースで出演作のDVD等を売っているシーンでの映画(のポスターデザイン)は、どう見てもブライアン・デ・パルマによる『ミッション:インポッシブル』(96)。しかもそのタイトルは『Uncaged Fury』で、“Fury”こと『フューリー』はデ・パルマの1978年の映画だったりもする。
さらに、ケイジが駐車場で荷物を積み込んでいる時に現れたライデン(浅野忠信)を見て「『ゴースト・ハンターズ』(86)のコスプレか。あれはいい映画だった」というのには大笑い。確かに笠を被ったライデンのいで立ち、ロー・パンの部下だった“嵐の三人組”に似ている…と思っていたら、なんでもゲーム版でのライデンのキャラクターデザイン、インスピレーションを受けたのはこのジョン・カーペンターの映画だったというから、ゲームファンも映画ファンも喜ぶネタになっている。
そして、バーで一人酒を傾けるケイジに気づいた男性が「あんたの『市民ケイジ』好きだったよ」と語りかけてくるとケイジは「(いまのアクションは)鉛筆1本で敵を倒すキアヌ・リーブスのほう(が人気)だ」とグチってみせる。もちろん、この映画はキアヌ主演の「ジョン・ウィック」シリーズのこと。キアヌ扮する最強の殺し屋ジョン・ウィックは「鉛筆で3人を殺した」伝説を持つからだ。また劇中、『Uncaged Fury』のアクションシーンが流れるのだが、製作スタジオの名前が「ニューライン・シネマ」になっている。本作自体、ニューライン・シネマの製作だからだろう。
