初期作『ミイラ再生』、イメージを一新した「ハムナプトラ」、ホラーへの回帰作『THE MUMMY / ザ・マミー 棺の中の少女』などなど!ミイラ映画の歴史と意義を掘り起こす
恐怖への帰還となった『THE MUMMY / ザ・マミー 棺の中の少女』
そして近年、ミイラは再び、ホラーとしての初心に立ち帰る。5月15日に公開された『THE MUMMY / ザ・マミー 棺の中の少女』は、そんな原点回帰の嚆矢を放つミイラ映画だ。本作はエジプトで失踪した少女が8年後、棺の中から“変わり果てた姿”で発見されるという導入から始まる。再会を果たした家族の周囲で異様な出来事が連鎖し、やがて少女に宿った、呪いの正体が明らかになっていく。
ジェームズ・ワン製作×ブラムハウスという布陣らしく、物語は家族愛へと収束する構造を持ちながらも、ジャンプスケアに依存せず、その過程は徹底して不快で容赦がない。なによりも『死霊のはらわた ライジング』(23)のリー・クローニン監督らしく、本作は明確に“憑依×ゴア”路線へ振り切られており、直近の『罪人たち』(25)や『WEAPONS/ウェポンズ』(25)、『ゼイ・ウィル・キル・ユー』(公開中)のようなハイコンセプト志向とは一線を画した、ストロングな残酷ホラーに仕上がっている。
スペクタクル寄りに傾きがちだったミイラ映画を、家庭内へ侵食する純粋な恐怖へと引き戻した点も好感触だ。上映時間はジャンルの適性を欠く長さだが、終始続く嫌な描写の密度がそれを感じさせない。むしろこれは、観客の神経を削り続ける持久戦として機能している。
古代から復活した存在であるミイラは、映画のなかでもまた何度でも蘇る。そのたびに新しい姿をまといながら――。しかしその根底にある“死と再生”の物語は、これからも変わることはないだろう。
文/尾崎一男
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