初期作『ミイラ再生』、イメージを一新した「ハムナプトラ」、ホラーへの回帰作『THE MUMMY / ザ・マミー 棺の中の少女』などなど!ミイラ映画の歴史と意義を掘り起こす

コラム

初期作『ミイラ再生』、イメージを一新した「ハムナプトラ」、ホラーへの回帰作『THE MUMMY / ザ・マミー 棺の中の少女』などなど!ミイラ映画の歴史と意義を掘り起こす

実験と停滞、スペクタクルへの転換

しかし、1960年代から80年代にかけて、ミイラ映画は主流から外れ、低予算作品やテレビ映画のなかで細々と続いていく。ちょうどこの時期、日本では連続テレビ映画「恐怖のミイラ」が1961年に放送され、空想特撮シリーズ「ウルトラマン」の第12話「ミイラの叫び」(1966年)では、ミイラ人間とミイラ怪獣ドドンゴが登場。両作とも不気味な造形と演出で視聴者に恐怖を与え(後者は楳図かずおによるコミカライズも恐ろしかった)、包帯に覆われた怪異のビジュアルは、日本の子ども文化に強い印象を残した。

ひるがえってイタリアでは、『ミイラ転生 死霊の墓』(81)のようにゾンビ的な要素を取り入れる試みも見られた。また、アメリカでフレッド・デッカーが監督した『ドラキュリアン』(87)は、モンスター好きの少年たちがチームを組み、現実に現れたドラキュラやフランケンシュタインの怪物、狼男、そしてミイラといったモンスターたちに立ち向かうという新機軸を打ちだした。しかし、いずれも大きな波を生みだすには至らなかった。この時期の潮流は「実験期」といえば聞こえはいいが、要は停滞と空白の時期であり、ミイラはやや時代遅れの存在と見なされるようになる。

ドラキュラやフランケンシュタインの怪物、狼男、ミイラが現実に現れる『ドラキュリアン』
ドラキュラやフランケンシュタインの怪物、狼男、ミイラが現実に現れる『ドラキュリアン』[c]Everett Collection/AFLO

だが、こうした流れを一変させたのが、1998年の『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』である。スティーヴン・ソマーズ監督、ブレンダン・フレイザー主演による本作は、ミイラ映画を壮大なアクション・アドベンチャーへと押し上げた。特殊メイクからCGへと進化したビジュアル表現はミイラの姿をより自由なものにし、砂嵐となって襲いかかるミイラなど、視覚的な迫力は従来のホラー像を大きく刷新した。作品は世界的ヒットを記録してシリーズ化され、『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(08)では舞台を中国に移し、ジェット・リーが中国皇帝のミイラを演じるなどさらなる発展がみられた。

ブレンダン・フレイザー演じる元傭兵の冒険家リック・オコーネルの快活さも魅力(『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』)
ブレンダン・フレイザー演じる元傭兵の冒険家リック・オコーネルの快活さも魅力(『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』)[c]1999 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

異色作とジャンルの拡張、そして大失敗

2000年代にはジャンルの枠を超えた異色作も登場する。その代表例が『プレスリーVSミイラ男』(02)だ。エルヴィス・プレスリーが実は生きていたという、いわば“東京スポーツ”的な設定のもと、プレスリーがミイラと対決するコメディをマッシュアップさせたユニークな一本である。こうした怪作は、マンネリ化しつつあったミイラ映画に新風を吹き込み、インディ作品ながらジャンルの可能性を拡張した。

【写真を見る】実は生きていたエルヴィス・プレスリーがミイラと対決する『プレスリーVSミイラ男』
【写真を見る】実は生きていたエルヴィス・プレスリーがミイラと対決する『プレスリーVSミイラ男』[c]Everett Collection/AFLO

そしてついに、モンスターホラーの老舗であるユニバーサル映画が、マーベル・シネマティック・ユニバースやDCエクステンデッド・ユニバースの成功に触発され、2017年に新たなミイラ像を打ちだすトム・クルーズ主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』を製作。これを起点に「ダーク・ユニバース」という壮大なフランチャイズ構想が打ちだされたが、結果は振るわず、シリーズはこれ一本で頓挫してしまう。この大失敗は、ミイラ映画が抱える本質的な課題――ホラーとアクション、そして神話性のバランスの難しさを改めて浮き彫りにした。


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