1990年後半はどんな時代だった?『スマッシング・マシーン』の舞台にもなったカオスな日本を探訪

1990年後半はどんな時代だった?『スマッシング・マシーン』の舞台にもなったカオスな日本を探訪

テクノロジーの進化と携帯電話の普及

映画では、まだ定まっていなかったルールが試合後問題になる場面も描かれるが、ここで目を引くのは映画の美術スタッフが集めたリング上の広告だ。ケアーがイゴール・ボブチャンチンと対戦したデビュー戦のコーナーポストに掲げられているのが、当初カメラ専門のディスカウントストアから90年代後半に多品目をカバーする量販店として一気に拡大した「ビックカメラ」のロゴ。

伝説の格闘家マーク・ケアーの光と影を描く
伝説の格闘家マーク・ケアーの光と影を描く[c]2025 Real Hero Rights LLC

家電量販店のパイオニアでもあるビックカメラで90年代後半に注目を集めた商品といえば、アナログからデジタルに移行して間もない携帯電話だった。携帯が通話中心からメールやインターネット機能を身につけた時代である。1995年当時、3.5%だった日本の携帯電話普及率が3年後には7倍になったことが記録されている。90年代後半の日本はデジタルツールの黎明期でもあった。

多様化するファッションの原型

カルチャーから時代を振り返ると、J-POP、ビジュアル系バンドの台頭、アニメ、ゲーム等、日本のキラーコンテンツの世界進出、そして、多様化するファッションが挙げられる。『スマッシング・マシーン』でマーク・ケアーの恋人、ドーンを演じるエミリー・ブラントは、ほぼどの場面でもボディコンシャスなブラトップにハイウエストのデニムを合わせて登場する。タイトなコーデは、かつてジュリアナ東京のお立ち台で自分をアピールした女性たちのスタイルにつながる。それは、ストリートやグランジなど、たったいま、世界中でブームの最中にある90年代ファッションの原型の一つと言えなくもない。

【写真を見る】鍛え上げられたボディをあからさまに晒すドウェイン・ジョンソンとコンシャスな衣装を上手に着こなすエミリー・ブラント
【写真を見る】鍛え上げられたボディをあからさまに晒すドウェイン・ジョンソンとコンシャスな衣装を上手に着こなすエミリー・ブラント[c]2025 Real Hero Rights LLC


鍛え上げられたボディをあからさまに晒す主演のジョンソンに対抗して、コンシャスな衣装を上手に着こなすブラントのファッショニスタぶりも相まって、本作は時代を回顧するだけでなく、現代の気分にもマッチするカルチャームービーとしての魅力も持ち合わせている。

文/清藤秀人

※高田延彦の「高」は、「はしごだか」が正式表記

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