歴代最高人数はコメディ界のレジェンドによる1人◯役!?演技派の証とも言える“1人多役”に挑んだ俳優たち

コラム

歴代最高人数はコメディ界のレジェンドによる1人◯役!?演技派の証とも言える“1人多役”に挑んだ俳優たち

第98回アカデミー賞での最多ノミネートが話題の『罪人たち』(25)において、異なる性格の双子を見事に演じ分けたマイケル・B・ジョーダンが主演男優賞にノミネートされたように、俳優にとって演技派としての証ともいえる“1人多役”への挑戦。

1人2役であれば演じたことのある俳優もそれなりにいるが、2月20日から公開された『災 劇場版』では香川照之が1人6役(正確にはそれ以上)を演じ分けているから驚きだ。そこで今回は、俳優が“1人多役”に挑んだ作品をチェックしていきたい。

ティルダ・スウィントン…『サスペリア』(18)

舞踏団のトップ、マダム・ブランなど3役を演じるティルダ(『サスペリア』)
舞踏団のトップ、マダム・ブランなど3役を演じるティルダ(『サスペリア』)[c] Amazon Studios/courtesy Everett Collection

コーエン兄弟監督作『ヘイル、シーザー!』(16)で、互いにライバル心を燃やす双子のゴシップ記者を演じたティルダ・スウィントン。それを上回る3役に挑んだのが、リメイク版『サスペリア』だ。

ティルダは物語の舞台となる舞踏団、マルコス・ダンス・カンパニーのトップに君臨するマダム・ブランに加え、魔女集団のリーダー的存在である老婆ヘレナ・マルコス、さらにルッツ・エバースドルフという俳優名義で男性の精神科医のジョセフ・クレンペラーに扮している。持ち前の魔女感を振り撒きながら演じたマダム・ブランに加え、残りの2人では特殊メイクを施され、性別、年齢を超越した姿に変身。強烈なインパクトを残した。

マイケル・J・フォックス…『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(89)

同じく1人3役に挑んだのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のマイケル・J・フォックス。主人公マーティ・マクフライがデロリアンに乗って今度は未来を訪れる2作目で、マイケルはマーティに加え、未来の息子マーティ・マクフライ・Jr、娘マーリーン・マクフライの3役を兼任。なお年老いた未来のマーティも演じているという点では4役とも言えるだろう。

なお、本作では宿敵ビフ役のトーマス・F・ウィルソンも、孫のグリフ、さらに声で演じた祖母まで3役をこなしている。ちなみにビフだけでも、前作の結末により情けない姿となったビフに加え、未来のビフ、さらに過去の学生時代のビフ、さらに未来から過去に持ち込んだスポーツ年鑑によって大金持ちになった極悪版まで、多彩なパターンを見せてくれている。

ピーター・セラーズ…『博士の異常な愛情』(64)

ストレンジラブ博士はオーストリア系アメリカ人スタッフの発音を参考にした(『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』)
ストレンジラブ博士はオーストリア系アメリカ人スタッフの発音を参考にした(『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』)[c]Everett Collection/AFLO

人口が4,000人しかいないヨーロッパの小国を舞台にした風刺コメディ『ピーター・セラーズのマ☆ウ☆ス』(59)で、小国の首相と公爵夫人、軍の指揮官を演じ分けたピーター・セラーズといえば、冷戦を揶揄したキューブリック監督作『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』でも多役で芸達者ぶりを示している。

核のエキスパートである元ナチスドイツの科学者ストレンジラブ博士に加え、イギリス空軍のライオネル・マンドレイク大佐、アメリカのマーキン・マフリー大統領という異なる国を背景に持つキャラクターを訛りなどで演じ分けているセラーズ。

マフリー大統領を演じるためアメリカ中西部のアクセントを習得したセラーズ(『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』)
マフリー大統領を演じるためアメリカ中西部のアクセントを習得したセラーズ(『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』)[c]Everett Collection/AFLO

実はもともとは4役を演じることが映画への資金提供の条件であり、コング少佐役のためにテキサス訛りも習得したとか。しかし、飛行機に乗り降りする際に骨を折ってしまい、怪我を口実にあまり乗り気ではなかったこの役を断ったそうだ。


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