カメラの後ろから映画の中へ…ヨルゴス・ランティモス監督に信頼される写真家・西島篤司が語る『ブゴニア』の舞台裏

カメラの後ろから映画の中へ…ヨルゴス・ランティモス監督に信頼される写真家・西島篤司が語る『ブゴニア』の舞台裏

※ここから先は、ネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)を含みます。未見の方はご注意ください。

「『僕、なにやってんだろうな』とちょっとおもしろくなってきました」

ミシェルを誘拐したテディ、実はミシェルがCEOを務める会社の末端社員でもあった
ミシェルを誘拐したテディ、実はミシェルがCEOを務める会社の末端社員でもあった[c]2025 FOCUS FEATURES LLC.

ヨルゴス・ランティモス作品も5作品目、今作で西島は新たな挑戦をしている。映画の終盤、エイリアンが出現するシーンでキャストとしても出演した。「元々は、10人ぐらいのエイリアンがバックグラウンドで必要です、という話だったんです。なので、『いいですよ』と。エイリアン役には、監督のアシスタントや製作会社のスタッフなどいろいろな部署のスタッフから集められて、なかには音楽監督のイェルスキン・フェンドリックスもいます。衣装のフィッティングをやって、気づいたらセリフがあることになっていた。台本は撮影の1、2か月前にちらっと読むことはありますが、(ランティモス監督作品では)1週間や5日ぐらい前から読めない環境になるので、パッと読んで、あまりよくわかってないまま撮影現場に行っていました。作られた言語(アンドロメダ星人の言語)のセリフなので暗記しないといけないので、自分のカメラは置いて、セリフの暗記などの準備をしました。衣装とウィッグをつけたのですが、夏だからものすごく暑いんです。脱ぐとスチームが出るくらい(笑)」。

ランティモス監督からは、「カメラのほうは見ないで」と演出を受けたという。そして、やはりエマ・ストーンのすごさを目の当たりにしたそうだ。

エマ・ストーンとの共演を振り返る
エマ・ストーンとの共演を振り返る[c]2025 FOCUS FEATURES LLC.

「『前にいる人の目を見て』とヨルゴスに言われるとエマが立っていて、こちらをギュッと凝視している。それを見て覚えたセリフを言っている時に、『僕、なにやってんだろうな』とかちょっとおもしろくなってきました。フィルムで撮っているし、ちゃんとやらないと終わらないので、もうここはやるしかないと思って、演技の経験もないので棒読みでセリフを言いました。でもエイリアン語だし、最終的には合ってる合ってないとかないと思うので、もうただやるのみ。僕が日本語のアクセントでエイリアン語を話していたら、エマは、僕の日本語アクセントのエイリアン語に合わせてくれたんですよね。エマが日本語アクセントを真似て話すと、明らかにちょっと違う言葉みたいに聞こえてきてとてもおもしろかったですね」。

図らずも、いつも撮影するカメラの後ろから捉えていた映画の中に入り、ヨルゴス・ランティモスの世界を体感することになった。どんな作品に関わる際にも作品の本質を捉え、唯一無二の瞬間を切り取る西島篤司のカメラは、これからも「躊躇」することなく撮影現場を記録し続けることだろう。

『ブゴニア』は公開中
『ブゴニア』は公開中[c]2025 FOCUS FEATURES LLC.


取材・文/平井伊都子

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