もふもふ、しょぼくれ、ころころ…愛らしすぎる姿に釘付け!きっとパンダが好きになる『パンダのすごい世界』
人気者パンダの一生はたくさんの愛にあふれている!
では、パンダの“ふるさと”では、彼らはどのように生まれ、育ち、どんな一生を送っているのだろうか。
『パンダのすごい世界』のおもな舞台となるのは、中国四大パンダ基地とも呼ばれる四川省に点在するジャイアントパンダ保護研究センターだ。世界の飼育下パンダのおよそ6割が暮らすこの地には、2023年まで上野動物園で過ごしていたシャンシャンをはじめ、日本から返還されたパンダたちも新たな生活を送っている。繁殖や医療、研究など、それぞれに役割を持つ複数の施設が連携しながら、パンダの命を支えているのが特徴だ。
映画は、標高1700メートルを超える高地に広がる自然環境から、充実した医療設備が整う施設まで、様々な現場を丁寧に追っていく。野生復帰を目指し、雪深い山中でトレーニングに励むパンダの姿や、飼育員が見守るなか成長していく子どもたち。そして生まれたばかりの赤ちゃんパンダが、人の手を借りながら大切に育てられていく様子など、動物園ではなかなか目にすることのできない日常が映しだされる。
登場するのは、年齢も性格も異なる個性豊かなパンダたちだ。大自然のなかで野生復帰に挑むシエンシエン親子、やんちゃな双子のシャオルーとシャオジアン、そして“パンダ界のトップスター”として知られるファーファー。さらに、高齢となり穏やかな余生を過ごすパンダの姿も捉えられ、生まれてから老いに至るまで、パンダの一生もまた多層的に描かれていく。
本作が印象的なのは、パンダだけでなく、彼らに寄り添う飼育員や医療スタッフの姿にも丁寧にカメラを向けている点だ。非常に難易度の高い繁殖や飼育、高齢化といった課題に直面しながらも、愛情と専門性を持って日々パンダと向き合うスタッフたち。パンダのコスチュームを着て世話をする飼育員の慈しみの笑顔や、老いを迎えたパンダ一頭一頭に寄り添い、穏やかな時間を過ごせるよう細やかなケアを続けるスタッフの姿には、思わず胸が熱くなる。それらの親身なケアの積み重ねによって、かつては絶滅の危機に瀕していたパンダの個体数は、着実に回復している。
『パンダのすごい世界』は、パンダに会えなくなったいまだからこそ、私たちがどれほど彼らを愛してきたのか、その命を守るために多くの人が尽力してきたことを、改めて思い出させてくれる。そんな優しさを湛えたこのパンダドキュメンタリーは、静かな余韻と共に、私たちの胸の奥にやさしい温もりを残してくれるはずだ。
文/足立美由紀
※宮崎駿の「崎」は「たつさき」が正式表記
