次なる注目作は『花緑青が明ける日に』!『千と千尋の神隠し』『イノセンス』など世界三大国際映画祭選出の名作アニメをご紹介

次なる注目作は『花緑青が明ける日に』!『千と千尋の神隠し』『イノセンス』など世界三大国際映画祭選出の名作アニメをご紹介

日本画家の四宮義俊による長編アニメーション監督デビュー作で、萩原利久&古川琴音がW主演を務める『花緑青が明ける日に』(3月6日公開)が第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出!日本映画として、長編監督デビュー作がコンペ部門に選ばれたことは33年ぶりの快挙となった。そこで本作と共に、カンヌ国際映画祭(フランス)、ヴェネツィア国際映画祭(イタリア)、ベルリン国際映画祭(ドイツ)の世界三大国際映画祭に選出された傑作4本をピックアップ。国境を超えて評価された名作アニメーション映画をおさらいする。

第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門選出!四宮義俊の長編監督デビュー作『花緑青が明ける日に』

『花緑青が明ける日に』は、日本画家としての活動を軸に、新海誠監督や片渕須直監督など名だたる監督のアニメーション作品に参加し、CMやミュージックビデオなどジャンルを超えていろいろな創作活動を行ってきた四宮監督が、自身のオリジナル脚本で描いた初の長編アニメーション監督作である。

映画タイトルにある“花緑青(はなろくしょう)”とは燃やすと青くなる緑色の顔料のことで、かつて花火の材料に使われていたが、美しさと引き換えに毒性を含むことから幻となった。物語の舞台は創業330年の花火工場、帯刀煙火店。再開発による立ち退きの期限が迫るなかで、幻の花火「シュハリ」とそこで育った若者たちの未来を巡る2日間の物語を描きだす。

声優初挑戦となる若手実力派俳優の萩原と古川がW主演を務め、等身大かつみずみずしい演技で命を吹き込む。さらに、時代を代表する傑作を彩り続ける入野自由と、数々の話題作で圧倒的な存在感を放つ岡部たかしが脇を固める。本作はフランスの気鋭スタジオMiyu Productionsとの日仏共同製作であり、制作中の注目作として2024年第77回カンヌ国際映画祭でのアヌシー・アニメーションショーケースに選出され、『千と千尋の神隠し』『すずめの戸締まり』に続き、第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、熱い視線を浴びている。

第52回ベルリン国際映画祭コンペティション部門選出、金熊賞受賞!宮崎駿監督作『千と千尋の神隠し』

【写真を見る】『千と千尋の神隠し』など、日本を代表するアニメーション作品が出品されているベルリン国際映画祭!注目作『ハナロク』も続けるか?
【写真を見る】『千と千尋の神隠し』など、日本を代表するアニメーション作品が出品されているベルリン国際映画祭!注目作『ハナロク』も続けるか?[c]2001 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDTM

数々の国際映画祭で選出、受賞を果たし、日本アニメーションの歴史を塗り替えた金字塔的作品『千と千尋の神隠し』。スタジオジブリ制作、宮崎駿監督による本作は、ベルリン国際映画祭においてアニメーション映画として史上初となる最高賞、金熊賞を受賞し、映画芸術としてのアニメーションの可能性を世界に示した。

社会現象を巻き起こした宮崎駿監督作『千と千尋の神隠し』
社会現象を巻き起こした宮崎駿監督作『千と千尋の神隠し』[c]2001 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDTM

不思議な異界に迷い込んだ少女、千尋が、神々や妖怪が集う湯屋で働きながら成長していく姿を描き、幻想的な世界観と普遍的な人間ドラマが高く評価された本作。アカデミー賞長編アニメーション賞をはじめ、世界各国の映画賞を席巻し、日本映画の国際的評価を決定づけた作品となった。

第61回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門選出、オゼッラ賞受賞!宮崎駿監督作『ハウルの動く城』

宮崎駿監督作『ハウルの動く城』は第61回 ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門選出、オゼッラ賞を受賞
宮崎駿監督作『ハウルの動く城』は第61回 ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門選出、オゼッラ賞を受賞[c]2004 Diana Wynne Jones/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDMT

スタジオジブリ制作、宮崎監督による長編アニメーション作品『ハウルの動く城』は、第61回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出。卓越した映像表現と技術的完成度が評価され、オゼッラ賞(技術貢献賞)を受賞した。

ソフィー役を倍賞千恵子、ハウル役を木村拓哉が務めた『ハウルの動く城』
ソフィー役を倍賞千恵子、ハウル役を木村拓哉が務めた『ハウルの動く城』[c]2004 Diana Wynne Jones/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDMT

呪いによって老婆の姿に変えられた少女ソフィーが、不思議な力を持つ青年ハウルや動く城で暮らす仲間たちとの旅を通して、自分自身と向き合い、内面の変化を遂げていく姿を描く。幻想と現実、戦争と個人の葛藤を重層的に織り込んだ物語は、アニー賞やアカデミー賞長編アニメーション部門へのノミネートを含め、国内外で高い評価を獲得。ソフィー役を倍賞千恵子、ハウル役を木村拓哉が務めたことも大きな話題となった。

第57回カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出の押井守監督『イノセンス』

押井守監督の劇場アニメーション映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(95)の続編である『イノセンス』は、同作の主人公、草薙素子が人形使いと融合して公安九課を去った世界の物語だ。

「数十年経過しても耐えられるアニメのクオリティで挑む」という言葉どおり、アナログ作画とCG表現の最高の融合を模索。音もスカイウォーカー・サウンドの音響スタッフの手が加わり、世界レベルのクオリティーまで高められた。本作は日本のアニメーション作品として、初のカンヌ国際映画祭コンペティション部門でのノミネート作品となった。

第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門選出、新海誠監督作『すずめの戸締まり』

災害と記憶、喪失と再生をテーマに描いた現代日本を象徴する長編アニメーション映画『すずめの戸締まり』。ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出され、エンタテインメント性と社会性を兼ね備えた作品として国際的な注目を集めた。

少女すずめの旅路を通して描かれる喪失と癒やしの物語は、国内外の観客から深い共感を呼び、日本アニメーションが持つ感情表現の豊かさを改めて印象づけた。世界各国でヒットを記録し、現代日本アニメーションの新たな代表作として評価されている。

誰もが認める傑作アニメーション映画に続き、受賞への期待も高まる次世代の青春アニメーション映画『花緑青が明ける日に』。今後の続報にも大いに期待していきたい。


文/山崎伸子

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