新感覚の青春ホラー『とれ!』人気動画クリエイターのコウイチ監督と主演の中島瑠菜が語る、撮影の裏側「同じことをやり続ければ、大きな力になる」
「なかなか出会えないような役に、出会わせていただきました」(中島)
――コウイチ監督の作品は、怖さとおもしろさ、緊張感と笑いが同居する点が大きな魅力です。本作でも高校生が霊や神様に遭遇するという状況が、絶妙なバランスで描かれています。
コウイチ「軸となったのは、怖すぎないホラーであり、10代の方に楽しんでもらえるホラーにしたいという想いです。“神様がずっと憑いている”という異様な状況を、感情移入しやすい美咲というキャラクターを通して感じてもらいたいなと。それでいてホラーとしてのノルマもクリアしたいなと思っていたので、皐月に取り憑くサラリーマンの霊を登場させています。ひとつの作品で2体、まったく別物の怪異が同時進行で動いていく。そのなかでは、美咲と皐月の家庭の違いも表現しています。美咲の家はお金がないけれど、母親と仲良く過ごしている。一方、皐月の家にはお金はあるけれど、親は兄に目を向けていて、あまり娘のことを見ていないんですね」
――高校生が心霊動画の投稿や神様にストーカーされる経験を通して、自分の足元や未来を見つめていく。改めて、よくこんなおもしろい話を思いつくなと驚きます。
コウイチ「『観てくれる人に楽しんでもらうためにはどうしたらいいか』『ちゃんとエンタメにしよう』ということを心がけて脚本を作りました。霊や神様を退治するという考え方ではなく、あくまで美咲と皐月の問題を解決する話にすることを軸に置いたので、あまり観たことがないようなホラーにできたのかなと感じています」
――中島さんにとっても、神様に取り憑かれる高校生という、なかなか出会えないような役になりましたね。
中島「なかなか出会えないような役に出会わせていただきました。撮影時も最初は、お面を付けた神様がずっと隣にいることに違和感があったんですが、撮影が進んでいくにつれて『いるものだ』とその状況に慣れてきて。監督も、『美咲としてもそうやって慣れていくのがリアルだ』というお話をされていました。撮影の合間には、神様とも普通にお話をしていました(笑)」
――インパクトあふれる神様のビジュアルは、どのように決めていったのでしょうか。
コウイチ「最初はシンプルな和装にお面だけ付けてもらおうと思っていたのですが、衣装合わせで試しに茶髪のウィッグを被ってもらったら、これがすごくおもしろくて。アリだなと(笑)。また“お面を付けている”という感じがはっきりと出てしまうと観ている方が冷めてしまうなと思ったので、それを隠す意味でもウィッグが助けになりました。“神様が進化していく”という展開をやってみたいという想いもあり、取り込んだものを吸収してどんどん成長していく化け物じみた感じを出したいなと、いろいろとアイデアを練っていきました」
「バズって得られる金額も、リアルな数字が出せたかなと(笑)」(コウイチ)
――中島さんは、コウイチ監督とご一緒してどのような印象を持ちましたか?
中島「役作りに関しては私や皐月役のまいきちちゃんに任せてくださった部分もあり、自由に動かせていただいたなと思っています。監督は、とにかくやさしくて。いつも噛み砕いてわかりやすく伝えてくださるので、本当に助かりました。まいきちちゃんも大変なシーンが多かったと思いますが、丁寧にゆっくりと撮影していただき、現場自体もとてもアットホームな雰囲気でした。コウイチ監督はYouTubeでいつも出る側もやられているからか、演者の立場や気持ちについてもものすごく汲み取ってくださる。監督との距離が近く、お話ししやすい現場だったなと感じています」
――高校生のころから動画クリエイターをやってきたことが長編映画の監督をするうえで活きたと思うことや、ご自身の強みだと感じていることはどのようなことでしょうか。
コウイチ「“バズる”という状況は僕自身も体験してきたことでもあるので、脚本を書く際にもリアリティを持って描けたと思っています。バズって得られる金額も、リアルな数字が出せたかなと。『こんなにもらえないだろう』とツッコミが入ったとしても、『いやいやいや』と実感を持って答えられます(笑)。また役者さんへの演出においては、自分自身もYouTubeで演じる側をやってきているので、それを武器にわかりやすく伝えることができていたのかなと…。できていたらいいなと思います」

