モブ顔主人公、ハサウェイ・ノアはなぜモテる?ヒロインも宿敵も虜にする「ガンダム」随一の“罪作りな魅力”
宿敵・ケネスも一目置く「戦士の匂い」
ハサウェイのモテぶりは、女性に対してだけではない。後に宿敵となる連邦軍の指揮官、ケネス・スレッグとの関係にもそれは表れている。
2人の出会いはハウンゼンの機内。当初、ケネスもハサウェイをただの平凡な青年として見ていたが、会話を交わし、ハイジャック事件での身のこなしを目にしたことで評価を一変させる。ハサウェイの身体能力や敵に対して動じない立ち振る舞いから、自分と同じ「同業者(戦士)の匂い」を敏感に感じ取ったのだ。
ダバオに降り立った後、ホテルのラウンジやギギの部屋で言葉を交わす2人。立場も年齢も違うが、ケネスはハサウェイという人間に好意を抱いていく。マフティーのリーダーとは知らずに「友人」として接し、彼の知性や芯の強さを認めていた。
歴戦の軍人であるケネスに「こいつはおもしろい」「もっと話していたい」と思わせるハサウェイ。それは彼が単なるテロリストではなく、確固たる信念と、男が男に惚れるようなカリスマ性を秘めているからにほかならない。
敵対する運命にあると知らずに引き寄せられてしまう二人の関係性は、ハサウェイの人物としての深みをより際立たせている。
ハサウェイの最大の武器は「ギャップ」にある
「平凡」に見えて「手練れ」、「隙」がありそうに見えて「鉄壁の理性」がある、「人好き」しそうなのに真面目すぎて「女慣れしていない(一線を引く)」――ハサウェイ・ノアの魅力、それは一言で言えば「予測不可能性」だ。
人は、自分の想像の範疇を超えてくる相手に対し、強い興味を抱く。「こうすれば落ちるだろう」「こう言えば喜ぶだろう」という予測をことごとく裏切られることで、相手のことを考える時間が増え、気づけばその存在が頭から離れなくなっている。
ハサウェイは意図せずして、周囲の人間の心を掴んで離さない「危険な男」なのだ。ギギが彼に執着するのも、ケネスが彼に一目置くのも、ハサウェイが決して「自分の思い通りにならない男」だからではないだろうか。
来るべき第2章『キルケーの魔女』では、ギギやケネスとの関係がさらに複雑に絡み合い、ハサウェイの運命も大きく動き出していく。彼の“モテ”は、物語をどう動かし、そしてどのようなドラマを生むのか。映画館のスクリーンで、その罪作りな魅力と生き様をぜひ目撃してほしい。
文/阿部裕華

