『ナイトフラワー』北川景子&森田望智が互いに受けた“衝撃”とは?「きれいすぎる…」「普段の森田さんではない」
「人が人を求め、人を愛した時に、こんなにも怖がらずに行動が起こせる」(北川)
――夏希と多摩恵は出会ったあと、急速に近づきます。なぜあそこまで互いを信頼し、頼り合える関係になったと思いますか?
北川「多摩恵は夏希を助けてくれて、家まで送ってくれて、手当てもしてくれて、ドラッグの売人になると言いだした時も一緒に手を組んでやると言ってくれた。普通なら、なぜそんなに親切にしてくれるのか不思議に思いますよね。でも、それまで夏希はずっと1人で子育てをしてきたと思うんです。夫に逃げられ、頼れる親や友達もなく、誰かに弱音を吐いたり、悩みを打ち明けることもなく、内に溜め込んだまま1人で頑張ってきた。その挙句、生活の困窮に陥っている。そんな大変な状況をすべて見たうえで『手を組んでやる』と言ってくれた多摩恵に対しては、もう信じる以外の選択肢はなかったと思います。この人に賭けてみたいと。もちろん人間だから、感覚的に惹かれた部分もあったと思います。だから知っていくなかで多摩恵にも抱えているものがあると気づくし、どうすればこの人の力になれるのかも考えています。いろんな状況が絡み合い、2人が仲良くなるのに長い時間は必要なかった、ということだと思います」
森田「実は序盤で、清掃の仕事をする夏希を、多摩恵が見かけるシーンがあります。その後、街で怪我をしている夏希を助けたことがきっかけになりますが、最初に見た瞬間から、惹かれるものがあったのだと思います。それがどんな感情かは言葉にしにくいですが、友情なのか、家族愛なのか、もしかしたら恋愛感情に近いものだったかもしれない。多摩恵は子どもを思う母親の気持ちに接してこなかったので、きっと自分と夏希の子どもたちを重ねる部分もあったと思うんです。“こんなお母さんがいたら、自分はどんな風に育ったかな”という気持ちなど、夏希に惹かれる理由はたくさんあったと思います」
北川「そう考えると、多摩恵は夏希の親友でもあり、家族でもあり、そして自分の伴侶的な部分を多摩恵に求めてもいたのかなとも思いますね」
――2人とも殴られるシーンがありますが、受け方をはじめかなり大変だったのではないでしょうか?
北川「私は1発だけだったので訓練は必要ありませんでしたが、殴られている人を見るのも結構つらかったです。『これ以上やったら死んじゃう』というセリフどおり、本気でそう思っていました。お芝居とはいえ、多摩恵の相手を務めた方も本当の格闘家の方だから、それを芝居として受けるにあたっても、首に大きな負担がかかるし、メンタルも削られると思います。トレーニングシーンも含めて、肉体を酷使するシーンがたくさんあるので、森田さんの体力が持たないんじゃないかと、ずっと心配していたんです」
森田「すごく優しいんですよ!いつも気にかけてくださって、最後の格闘シーンの撮影後には“終わってよかったね”と癒しグッズをたくさんプレゼントしてくれました」
北川「多摩恵の格闘シーンの撮影がすべて終わった時は、めちゃめちゃうれしくて。もう戦わなくていいんだなと本気でホッとしました」
森田「痛いのは私も好きではないのですが、だんだんと最後のほうは、ちょっとした傷も頑張った証だ、みたいなマインドになってきて、逆にうれしくなったりしていました(笑)」
――最後に、「大切なものを守るためなら、あなたは罪を犯しますか」とキャッチコピーがついた、本作の推しポイントを教えてください。
北川「それこそ“愛”ですね。夏希が子どもたちに向ける愛も、多摩恵との間に芽生えるいろんな愛もそうですが、人が人を求め、人を愛した時に、こんなにも怖がらずに行動が起こせるんだと。“愛が強さを生む”ところに、本作の見どころが詰まっている気がします。ズバリ、推しポイントはラブですね」
森田「すべて同感です。結末も含めて、選択の正しさや物事の正解を問われもしますが、誰かのために生きている人たちの姿が描かれている。誰かのために生きる時、思ってもみなかったパワーが沸いたり、その人の持つ本来のポテンシャルが開花されていくのを演じながらすごく感じました。私もそこを推したいです」
取材・文/折田千鶴子
