スコット・デリクソン監督が『ブラックフォン 2』で目指した、エモーショナルな恐怖「ジャンルを変える、多感的な成長物語に」

スコット・デリクソン監督が『ブラックフォン 2』で目指した、エモーショナルな恐怖「ジャンルを変える、多感的な成長物語に」

連続殺人鬼グラバー(イーサン・ホーク)によって地下室に監禁された少年フィニー(メイソン・テムズ)が、断線した黒電話に届く“死者からのメッセージ”を頼りに脱出を試みる。“ホラーの帝王”スティーヴン・キングの息子ジョー・ヒルの短編小説を、ブラムハウス・プロダクションズ製作のもとで映画化した『ブラック・フォン』(22)は、ジュブナイルホラーの傑作として話題を集め、スマッシュヒットを記録した。

殺人鬼グラバーが“死者”となって復活!?
殺人鬼グラバーが“死者”となって復活!?[c]2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

同作で脚本・監督・製作の3役を務めあげたスコット・デリクソンは、「当初は続編を作るつもりなんてなかった」と告白する。2005年に発表された原作小説を刊行当時に読み、そこから15年かけて映画化を模索しつづけ、ようやく実現した前作。それだけに、その一作に込めた想いはひとしおだったことだろう。

「だが、原作者のジョー・ヒルがあるアイデアを送ってくれた。そのなかには私の心を動かす核となる要素があった。スタジオ側も望んでくれていたが、すぐに続編を作るという気にはならなかった。それは出演者の子どもたちが実際に成長するのを待ってから作ろうと考えたからです。主人公たちが数年成長した姿を描くことで、ジャンルを変えるような多感的な成長物語にできる。そう考えたら本当にワクワクしました」。

「“グウェンの映画”を意図して脚本を書いた」

そうしてしばしの間隔をあけて製作された『ブラックフォン 2』(公開中)の舞台は、前作から4年後の1982年。17歳に成長したフィニーがいまも地下室のトラウマに苦しめられるなか、15歳になった妹のグウェン(マデリーン・マックグロウ)は、子どもたちが殺される悪夢を見てしまう。そして2人は現場となるウィンターキャンプへ向かうのだが、そこでグラバーと自分たちの家族を結びつけるおぞましい真実にたどり着くこととなる。


「ホラー映画の続編では、悪役キャラクターを倒した後も主人公のキャラクターがほとんど変わらないことが多い。けれども私は、もっと現実味があるように描きたかった」と、前作で心に深い傷を負ったフィニーが成長していくなかで、トラウマとどのように向き合っていくのかということに関心があったことを明かす。「彼はまだあの事件と向き合えず、処理できない恐怖を抱えており、やがてそれが怒りに変わっていく。そして前作で学んだ“恐れずに立ち向かう”という考えも、崩れていくのです」。

成長したフィニーとグウェンの兄妹がたどり着く、おぞましい真実とは…
成長したフィニーとグウェンの兄妹がたどり着く、おぞましい真実とは…[c]2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

一方、予知能力を持つ妹のグウェンについては「彼女は15歳の高校生になり、個性的で風変わり。クラスでは魔女扱いされ周囲と溶け込めず、自分自身に戸惑いを感じている。そんなある夜、自分の夢のなかで起きる信じがたい現象に引き摺り込まれる。彼女はそれを、亡き母からのメッセージだと信じるんだ」と説明。そして「この映画はむしろ、グウェンの映画だ。それを意図してこの脚本を書きました」と、前作以上にグウェンが重要な役割を担っていることをにおわせた。

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