『もののけ姫』4Kデジタルリマスター版が“3強”相手に大健闘!歴代興収ランキングで『ハリポタ』超えも?

『もののけ姫』4Kデジタルリマスター版が“3強”相手に大健闘!歴代興収ランキングで『ハリポタ』超えも?

10月24日から10月26日までの全国映画動員ランキングが発表。公開週からトップの座を守り続けている『チェンソーマン レゼ篇』(公開中)と、公開3週目を迎えた『秒速5センチメートル』(公開中)、そして『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(公開中)。上位3強の牙城は今週も崩れることはなかったが、トップ10圏内にはバラエティに富んだ5本の初登場タイトルが現れた。

わずか61館でも大盛況!国民的アニメ『もののけ姫』が底力

【写真を見る】配信不在のジブリ作品が劇場で真価を発揮!コロナ禍の再上映に続いて、興収を上乗せできた?
【写真を見る】配信不在のジブリ作品が劇場で真価を発揮!コロナ禍の再上映に続いて、興収を上乗せできた?[c]1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND

そのなかで最上位にランクインしたのは、宮崎駿監督の『もののけ姫』(97)の4Kデジタルリマスター版。IMAXでの期間限定上映ということもあり、全国の上映劇場は61館。上映回数も限られているなかで満席となる回が続出する盛況ぶりを見せ、先述の3強に続く4位にランクイン。あらためてその人気の高さを証明した。

1997年の夏休みに公開され、観客動員数は1420万人、興行収入は193億円(当時は配給収入で集計されており、その数字は117億6000万円)を記録した『もののけ姫』。同年の暮れに『タイタニック』(97)が公開されたことで早々に記録を抜き去られてしまったとはいえ、日本の歴代興収No.1に君臨したことのある正真正銘のレコードホルダーだ。

1997年の公開当時、日本の映画興行の新記録を樹立
1997年の公開当時、日本の映画興行の新記録を樹立[c]1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND

2020年のコロナ禍に行われた再上映によって興収8億8000万円を上乗せ。累計興収では『ハウルの動く城』(04)を抜いて、スタジオジブリ作品としては2本目、日本映画としては当時3本目の興収200億円超えを達成。今回の再上映の成績はまだ正式に発表されていないが、1億2000万円以上の興収を上乗せしているのは確実で、『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)を抜いて日本歴代興収ランキングの8位に浮上していると思われる(あわよくば『ONE PIECE FILM RED』も超えて7位の可能性も)。

そんな言わずと知れた国民的アニメだが、ちょうど最近、SNS上では若年層の間で「ジブリ作品を観たことがない」人が増加しているという話題が。配信サービスの台頭によってレンタルビデオ市場が大幅に縮小し、DVDやBlu-rayなどのソフトを観る習慣も激減。そもそも日本国内でジブリ作品はほぼ配信されておらず、テレビで放送される機会(幸いにも多いほうではあるが)を除けば、以前よりもアクセスしづらくなっているのが現状だ。

8月にテレビ放送された際も、視聴率11%を記録するなど根強い人気を誇る
8月にテレビ放送された際も、視聴率11%を記録するなど根強い人気を誇る[c]1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND

そうしたタイミングで『もののけ姫』のスクリーン鑑賞、それも4KリマスターでIMAXでの鑑賞が叶うというのは、往年のファンにとって待望の機会であることはもちろん、新しい世代に届く重要な機会であることはいうまでもないだろう。それは本作に限らず、洋画や邦画、エンタメ系やアートハウス系を問わず近年増加傾向にあるほかの再上映作品にも同じことがいえる。ほとんどの場合、劇場鑑賞を前提に製作されている以上、スクリーンで観るに勝る体験はないのである。

とはいえ、今回の『もののけ姫』が47都道府県を完全にはカバーしきれていないように、再上映で大規模公開というのはなかなか難しく、どうしたって劇場で観られる地域は限られがち。また、配信という新たな選択肢によって、レンタルビデオやソフトといった従来の選択肢が失われてしまい、観られる作品は増えたが観られなくなった作品も増えていること。映画文化の存続のためには、これらについても一考する余地があるだろう。


毎月期間限定で再上映を行う「月1エヴァ」。11月からは「新劇場版」シリーズへ突入
毎月期間限定で再上映を行う「月1エヴァ」。11月からは「新劇場版」シリーズへ突入[c]カラー/EVA製作委員会  [c]カラー

ところで、『もののけ姫』に次ぐ5位にランクインしたのも、再上映作品の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(97)。この両作は1997年の初公開のタイミングが一週違いだったというのは興味深い偶然だ。こちらは89館で公開され3日間で動員7万9034人、興収1億2531万3500円を記録。毎月1本「エヴァンゲリオン」作品を上映するという企画の一環であり、来月からは「新劇場版」の再上映。大きな盛り上がりを見せることは確実だろう。

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