舘ひろし&眞栄田郷敦が再共演の喜びを語り合う『港のひかり』スペシャルインタビュー&撮り下ろし写真
藤井道人監督とカメラマンの木村大作が初タッグを組み、北陸の港町を舞台に完全オリジナル脚本で描く『港のひかり』(11月14日公開)。本作で再共演を果たした舘ひろし&眞栄田郷敦のスペシャルインタビュー&撮り下ろし写真が到着した。
過去を捨てた元ヤクザの漁師、三浦と目の見えない少年、幸太の、十数年にも及ぶ年の差を超えた友情と再会の物語を描いた本作。元ヤクザの“おじさん”三浦を演じたのは、長年にわたって銀幕を彩り、唯一無二の存在感で多くの者を魅了してきた舘。そして三浦と心を通わせる幸太の成長した姿を演じたのが、『ブルーピリオド』(24)、『ババンババンバンバンパイア』(25)、『カラダ探し THE LAST NIGHT』(公開中)など話題作への出演が絶えない若手実力派の眞栄田。2人が共演するのは、『ゴールデンカムイ』(24)以来となる。
「とにかく眞栄田くんとぜひ一緒にやりたいと思っていたので、大変幸せでした」と再共演を待ち望んでいた舘。「本当に眞栄田くんというのは目の表現がすばらしくて、俳優さんとしてこれからどんどんスターになっていく方だと思っております」と絶大な信頼を寄せる。その言葉に眞栄田も「うれしいです」と喜びを噛み締めながらも、「『ゴールデンカムイ』で共演させていただく前から感じていたことですが、やっぱり男が惚れる男性だなって。もちろん女性もそうだと思うんですが、本当にカッコよくて、渋くて、舘さんみたいな大人になりたいなと感じました。腰が低かったり、周りへの思いやりがあったり、人としてもすごく尊敬しています」とあふれる思いを表現する。
元ヤクザの三浦と両親を失った盲目の少年、幸太。心通わせ共鳴し合う孤独な2人の深い絆が観る者の胸を打つ。『ゴールデンカムイ』とはまったく異なるジャンルの作品での再共演となったが、舘は「僕はほかの方のお芝居をどうこう言える立場ではないのですが」と前置きしつつも、「眞栄田くんのお芝居を観て、どんどん触発されて、すごくいい刺激を受けました」と回顧。対する眞栄田は「僕は青年時代からの登場だったので、想像でしか自分は(キャラクターを)作れなかったんです」と振り返りながら、「でも、舘さんご本人が持っているあたたかさや優しさ、強さという部分がすごく大きく、自然と“おじさんはこういう感じで接してくれていたのかな”というのがすごく想像しやすくて。舘さんのおかげで、自然と気持ちが動いたかなと思います」とコメントし、相思相愛ぶりを垣間見せている。
そんな両者の化学反応にも期待が膨らむが、2人が藤井監督とタッグを組むのは、舘が『ヤクザと家族 The Family』(21)以来2度目、一方の眞栄田は今回が初めて。本作について舘は「とにかく藤井監督の力を感じました。本当に力強い作品になっていると思います」と振り返り、眞栄田も「あまり最近観たことが無いような作品だなと思いましたし、すべての登場人物が輝いている印象でした」とその魅力を明かす。
また、本作には黒澤明監督の『用心棒』(61)、『隠し砦の三悪人』(58)などで撮影助手を務め、カメラマンとして独立後は『鉄道員』(99)など日本を代表する名作を手がけてきた巨匠、木村がカメラマンとして参加を果すという新たな試みも。舘は「今回はカメラマンが木村大作さんなので(現場に)モニターがなかったんですね」と現場の様子を説明しながら、「藤井監督はモニターのない演出を初めてされたんじゃないかなと。そういう意味では監督がご苦労をなさったかもしれないのですが、その分いままでの藤井監督とは違った作品が生まれてきたんじゃないのかなと思います」とコメント。その言葉からも、いままでの藤井監督作品にはない特別な1本であることをうかがわせる。
さらに眞栄田は「監督の中でのイメージがすごくはっきりされているのかなという印象もありましたが、本当に柔軟にいろいろとご相談させていただける監督だなと。気持ちと表現の部分のバランスを良い塩梅で調整してくださる方だなと思って心強かったです」と初参加となった藤井組から受けた刺激を明かしている。
交わるはずのなかった孤独な2人に光を照らす、運命の出会いと別れ、そして再会。年の差を超えて心を通わせ合う三浦と幸太の姿を見事に体現した舘と眞栄田の名演、涙なしでは見られない物語の行方をスクリーンで見守ってほしい。
文/平尾嘉浩