「令和版『恋空』」「ありえないくらい泣いた」『ストロベリームーン 余命半年の恋』は涙が止まらない!

コラム

「令和版『恋空』」「ありえないくらい泣いた」『ストロベリームーン 余命半年の恋』は涙が止まらない!

“家族愛”の前に立ちはだかる過酷な現実…作品屈指の名シーンは?

もうひとつ本作の感動を高めているのは、萌の父である桜井康介(ユースケ・サンタマリア)と母である桜井美代子(田中麗奈)の、娘に対する深い愛情の描写だ。原作小説を読んだ人ならば分かる通り、萌の両親の視点は映画オリジナル。脚本家の岡田や酒井監督をはじめとした作り手たちが「悲しいだけの物語にしたくない」という思いのもと書き足したもので、原作者の芥川も「心を揺さぶられました」と太鼓判をおしている。

ユースケ・サンタマリアと田中麗奈が、萌を全力で支える両親を好演
ユースケ・サンタマリアと田中麗奈が、萌を全力で支える両親を好演[c]2025「ストロベリームーン」製作委員会

「両親の愛ある工夫に泣きました」(20代・女性)「萌ちゃんのために学校と同じようにしていることがすごく愛だなと思いました」(10代・女性)というコメントにもあるように、病気のために学校に通えない萌のために机と椅子を手に入れて学校を再現しながら一緒に勉強をしたり、給食を作ったり。また“悲しい顔”をしたらポイントが貯まって10個でペナルティという取り決めや、重たい空気になった時に互いを笑わせようとする気丈さなど、その温かさがじわじわと涙を誘う。

なかでも多くの観客が涙なしで観られなかったと答えたのは、病院の検査を終えて萌を学校に送り届けた美代子のもとに、康介から電話がかかってくる中盤のシーン。康介は、以前萌が「ここがいい」と言っていた墓地の抽選会に臨み、当選する。その報告をしながら涙を堪えきれない康介と、車の中で嗚咽する美代子。愛する娘が自分たちよりも先に死んでしまうという耐え難い事実が、彼らにとっていよいよ現実味を帯びることになるターニングポイントだ。

劇中のキーアイテムとして登場する“ひまわり”に、原作者のこだわりが込められている
劇中のキーアイテムとして登場する“ひまわり”に、原作者のこだわりが込められている[c]2025「ストロベリームーン」製作委員会

「それまで必死にひょうきんさを保っていたお父さんが号泣したのはやられました」(30代・女性)
「萌の前ではいつも明るく優しいお母さんで、辛そうなそぶりを見せていなかったのに、大きな電車の音にもかき消されない程の悲鳴が溢れ出た姿がすごかった」(40代・女性)
「両親が娘のお墓のことを考えるということは、とても苦しくて受け入れ難いことだと思います。ですが、娘の希望を叶えようと準備を進め、それでも涙が込み上げてくる、そんなシーンに涙が止まりませんでした」(20代・女性)
「萌が現実逃避せずに“死”とまっすぐ向き合っている姿を見て、もし自分だったら…と考えてしまった」(20代・男性)


さらに、萌が誕生日の日に門限を破って日向と“ストロベリームーン”を見に行っているころ、家で帰りを待つ両親の姿に「萌への愛情とデートという普通のことを経験できたという喜びに溢れていた。コミカルなシーンでもあり、それが余計に心に響いた」(40代・男性)、終盤、康介が一人で日向のもとを訪ねていくシーンについては「“裏切る”シーンもどこまでも娘想いでステキでした」(20代・女性)など、両親の存在が本作のテーマを支えているという声も目立っていた。

映画館を出る時には、優しい涙に包まれているはず
映画館を出る時には、優しい涙に包まれているはず[c]2025「ストロベリームーン」製作委員会

「自分の大切な人や好きな人が、当たり前に横にいてくれるありがたさ、大切さを感じられる。そんな作品だと思う!」(10代・女性)「恋愛だけでなく、家族愛や友人など大切な人を想う気持ちがたくさん溢れた温かい映画。きっと観終わった後に優しい涙が流れる」(40代・女性)と、単なる“純愛映画”にとどまらないいくつもの普遍的な魅力を携えた本作。「誰に薦めたいか?」という質問に対し、「恋人」や「家族」よりも多く、半数以上の人が「友人」と答えているのも印象的だ。

「“令和の『恋空』”。このキャッチフレーズが同年代に伝わると思います」(20代・男性)、「令和版『いま、会いにゆきます』だよ!泣き活におすすめ」(40代・女性)と、過去の純愛映画の名作と比較する声も多数あがり、「素直に泣ける、心があらわれる映画」(40代・女性)という声も寄せられていた。この秋、是非ともスクリーンで唯一無二の感動を味わってみてはいかがだろうか。


文/久保田 和馬

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