運命的なキャスティングで紡ぐ初恋の物語。『君の声を聴かせて』チョ・ソンホ監督が語る想い
「俳優たちは、手話を一緒に学ぶことで距離を縮めた」
劇中で3人のキャラクターが生き生きと躍動している秘密について聞いてみると、チョ・ソンホ監督は「役者には『自分たちの持ち味を出していいですよ』とお話しした」と演出術を明かす。
ドラマ「弱いヒーロー Class1」などで知られるホン・ギョンについては、「落ち着いていて、いろいろなことに考えを巡らせることができるとても思慮深い方。彼のそういった一面が、ヨンジュンに注ぎ込まれた」と語るチョ・ソンホ監督。さらにドラマ「イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~」などで注目を集めたノ・ユンソについて、「賢く、きめ細やかなところのある方。相手を気遣いつつ、自分のやりたいことを見つけていくという真っ直ぐさも、ヨルムと重なります」と続け、元IZ*ONEのキム・ミンジュは「堂々としていて、エネルギーに満ちあふれている。それがガウルに見事に反映された」とキャラクターと役者の個性が見事にリンクしたことで、映画に特別なパワーがもたらされたという。
3人の俳優はクランクインの数か月前から手話を学び、キャラクターの日常や感情まで伝わるような手話を披露している。チョ・ソンホ監督は彼らの努力を称えながら、「俳優というのはもともと手や表情、身体など全身を使って感情を伝えることに長けている人たちでもあります。俳優たちは、手話を一緒に学ぶことで自分たち自身も距離を縮め、その時間を役作りに活かすこともできたと言っていました」と俳優たちが楽しみながらチャレンジをしてくれたと、感謝を込める。
妹のことを優先して、自分をないがしろにしてしまうヨルム。そんな彼女を、温かく包み込もうとするヨンジュン。2人の恋が、キラキラとしたまぶしさを感じるものとして描かれている。彼らの一途な恋心にキュンとして、お気に入りのシーンが生まれるような映画だ。撮影現場ではチョ・ソンホ監督もホン・ギョンとノ・ユンソの巻き起こす化学反応に大いに胸を打たれたとのこと。
「ヨンジュンとヨルムが初めて顔を合わせるシーンを撮影していた時には、向き合っている2人を見た瞬間に『この2人はお似合いだ』と実感しました。また彼らが『得意なことがない』『やりたいことがわからない』と語り合う場面では、ヨルムが『友だちになってくれてありがとう』と手話でヨンジュンに感謝を伝えます。この時の2人の表情はどこか似ているようなところもあり、とてもいい関係性を表現できたシーンになりました。そして、プールの告白のシーンもとても印象深いです。ヨルムが振り向いて、ヨンジュンと目を合わせた瞬間のお互いの表情。そこで、ヨンジュンとヨルムの気持ちを100パーセント映し出すことができたと感じています。そんな場面を撮ることができて、私自身とても幸福を感じました」と数々の名シーンを挙げながら、感無量の面持ちを見せる。