「ものづくりの精神に惹き込まれた」菊川怜が“日本酒オタク”を熱演!『種まく旅人』で再認識した仕事への想いとものづくりの奥深さ

「ものづくりの精神に惹き込まれた」菊川怜が“日本酒オタク”を熱演!『種まく旅人』で再認識した仕事への想いとものづくりの奥深さ

「楽しむだけだったものに、感謝の気持ちが芽生えました」

大好きな日本酒がテーマの作品で菊川が感じたものづくりの奥深さと楽しさとは
大好きな日本酒がテーマの作品で菊川が感じたものづくりの奥深さと楽しさとは撮影/杉映貴子

日本酒の奥深さに魅了されたという菊川だが、作品を経て日本酒の楽しみ方に変化などは生まれたのだろうか。「おいしくいただくという基本姿勢は変わらずで…(笑)」と打ち明けつつ、「楽しむだけだったものに、感謝の気持ちが芽生えました」とニッコリ。「たくさんの人の努力、愛情、手がかかって出来上がったもの。長い期間を経て、出来たんだって思うと、一瞬でおいしく飲み干しちゃうけれど、やっぱり感謝の気持ちは確実に湧いてきます。感謝しながらいただくことは食育だし、想いを馳せることがこういった産業を守ることに繋がっていくのかなとしみじみ思ったりもしています」。

日本酒造りをテーマに、酒蔵の人々のドラマと様々な問題が丁寧に描かれる
日本酒造りをテーマに、酒蔵の人々のドラマと様々な問題が丁寧に描かれる[c]2025「種まく旅人」北川オフィス

演じた理恵には共感するけれど、菊川自身とは行動力に違いがあると明かす。「農林水産省の役人というステレオタイプに当てはまらない感じもおもしろいと思いました。日本酒オタクでのめり込んでいて、日本酒に対しての愛が深すぎる。想いが強いからこそ、それが起爆剤、パワーとなって種をドン!と投下できる行動力のある人。劇中に登場した人たちの間に飛び込んで体当たりするみたいなことって、いま時はなかなか難しいこと。私は彼女のような行動ができるタイプではないけれど、彼女があの行動に出られたのは、根本に『日本酒が大好き』という想いがあったから。日本酒を守りたい、産業を守りたいという一点突破なんです。芯というのかな、種がすごく大きいから、一点突破で突き進めるのだと思います。
私には理恵のような行動ができるくらいに好きなものはないんですけど…。高校時代まで遡ると、映画が好きで、ブラッド・ピットやレオナルド・ディカプリオが出ている洋画は好きでよく観ていましたね。でも、理恵の好きってそういうレベルの話ではないんですよね」と笑い飛ばす。

理恵の日本酒への愛が、次第に蔵人たちの心も変えていく
理恵の日本酒への愛が、次第に蔵人たちの心も変えていく[c]2025「種まく旅人」北川オフィス

映画撮影はタイトなスケジュールだったが、淡路島のおいしい食べ物は堪能したという。「海の幸が大好きなので、撮影が少し早く終わった日には、スタッフさんからおいしいお店を教えてもらって食べに行きました。大好きなお刺身をたくさん食べました。残念ながら日本酒は次の日の撮影に影響が出てしまうので、現地ではほとんど飲めず…。でも、撮影現場では酒蔵の方がフルーツなどを差し入れしてくれて、人の温かさに触れながら撮影できたことがすごくありがたかったし、うれしかったです」と1年前の撮影を懐かしみながら振り返っていた。

「映画もものづくり。ものづくりの楽しさを、ものづくりがテーマの作品に関わることで改めて知ることができた」

【写真を見る】15年ぶりの映画出演となる菊川怜。キュートなポーズと表情で魅了する!
【写真を見る】15年ぶりの映画出演となる菊川怜。キュートなポーズと表情で魅了する!撮影/杉映貴子

ものづくりがテーマとなる本作を通して菊川が考えたことについても教えてもらった。「映画もものづくり。いろいろな人が関わって、トラブルなどがありながらもチームみんなで乗り越えて行きます。作品が出来上がり、誰かに観てもらえた時の喜びはひとしお。ものづくりの楽しさを、ものづくりがテーマの作品に関わることで改めて知ることができただけでも、思い切って一歩踏み出してよかったと感じています。それと、みんなやっぱりものづくりが好きなんだなって思いました。映画作りも、日本酒作りもそうだし、子育てをしていても頻繁に感じます。子どもって工作とか大好きだし、トイレットペーパーの芯とかダンボールなどからもなにかを作り出したりしますよね。ものづくりの楽しさって人に根付いているのかなと思ったりもしました」。


『種まく旅人~醪のささやき~』は10月10日(金)公開
『種まく旅人~醪のささやき~』は10月10日(金)公開[c]2025「種まく旅人」北川オフィス

15年ぶりの映画作りは菊川にとってどのようなものだったのだろうか。「自分も歳を重ねたことで見える景色も違っています。ストーリーを読む時にも以前とは違う立場や目線で読むようになりました。その変化こそがこの仕事のおもしろさだと思うし、なにより現場が好きだと思い出しました。プレッシャーもあるし、お芝居に自信があるわけではないけれど、仕事って楽しいことばかりではないもの。だけど、根本には『この仕事が好き』という気持ちがあるから、関わっていきたいと思える魅力があると再確認できました」と笑顔を見せる。
好きなものを再認識した菊川に、「行ってきます、淡路へ!」のセリフのように行きたい場所についても訊いてみると…「自分が興味を持つ場所よりも、いまは、子どもが興味を持つことを一緒に楽しむようになっています」と母の顔を見せる。「子どもが魚釣りにハマっているので、船で行く海釣りを予定しています。食育になるので釣って食べるところまでがセットです」と話し、仕事も子育ても臨機応変にのびのびとやっていきたいと明かしていた。

取材・文/タナカシノブ

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