「ものづくりの精神に惹き込まれた」菊川怜が“日本酒オタク”を熱演!『種まく旅人』で再認識した仕事への想いとものづくりの奥深さ

「ものづくりの精神に惹き込まれた」菊川怜が“日本酒オタク”を熱演!『種まく旅人』で再認識した仕事への想いとものづくりの奥深さ

“食”を支える日本の第一次産業を応援する映画「種まく旅人」シリーズ最新作『種まく旅人~醪のささやき~』(10月10日公開)。15年ぶりの映画出演となる菊川怜が主演を務める、シリーズ5作目となる本作の舞台は兵庫県淡路島。淡路島で作られる日本酒と、兵庫県を代表的な産地とする酒米の山田錦にフォーカスし、そこにかかわる人々のものづくりの精神と現場で起きている問題や葛藤をリアルに描いている。

菊川が演じるのは、“日本酒オタク”の異名をとる農林水産省官僚の神崎理恵。跡継ぎ問題や後継者の育成、伝統の継承など、日本酒産業が直面する様々な問題や課題に対し、熱意を胸に立ち向かっていく神崎の姿や人柄が徐々に周りの人々にも伝わっていく様子を描いた味わい深い人間ドラマ。そんな本作に、昨年から芸能活動を本格的に再開し、8年ぶりのドラマ出演も話題となった菊川はどのように向き合ったのだろうか。

「日本に宿る、ものづくりの精神のようなところに惹き込まれました」

「日本酒オタク」の異名を取る農林水産省官僚の神崎理恵(菊川怜)
「日本酒オタク」の異名を取る農林水産省官僚の神崎理恵(菊川怜)[c]2025「種まく旅人」北川オフィス

演じた神崎同様、菊川自身も日本酒が大好きだという。「どんなテーマであれ、そろそろお仕事がしたいな、映画もやってみたいなという気持ちになっていた時に、たまたま大好きな日本酒がテーマの作品に巡り会えました」とうれしそうに語る菊川。「まさか主演でお話をいただけるとは思っていなくて、すごく驚きました。久しぶりすぎて、映画の撮影ってどんな感じだったかな?お芝居の感覚を覚えているかな?とか、とにかくいろいろな思いがよぎりました。でも、こんなすばらしい機会をいただけるなら、ぜひチャレンジしたいと思ったし、なにより、うれしい気持ちのほうが強かったので、やらせていただこうと決めました」と15年ぶりの映画出演への想いをざっくばらんに語る。

15年ぶりの映画出演を経て「やっぱりこの仕事が好き」だと感じたとニッコリ
15年ぶりの映画出演を経て「やっぱりこの仕事が好き」だと感じたとニッコリ撮影/杉映貴子

現場に入るまでは「変わっていることもあるかも…」と予想していたが、実際に入ってみると「あまり変化はわからなくて(笑)」と笑い飛ばす。「それよりも、なんか懐かしい感じで『こんな感じだったなぁ』みたいにいろいろと思い出していく感覚がありました」と心境を振り返った。台本を読んだ際には、日本酒を作る職人たちの姿に胸を打たれたそう。「すごく手間ひま、愛情をかけて、精魂込めて作る職人の情熱や生き様、心意気。ものづくりの日本に宿る精神のようなところに惹き込まれました。改めて、日本人は口にするものはおいしく、美術品であればとても丁寧に精微に作ることへのこだわりがすごいと気づかされました。
加えて、老舗酒蔵での父と息子のお互いの葛藤やそこに旅人として入っていく(神崎)理恵が彼らに影響を及ぼし、だんだんと心を許し合っていくというストーリーはとてもすてき。農作物の種と理恵が老舗酒造を取り巻く人たちの心に種をまき、それが花を咲かせて実を結んでいくことがリンクしていて、おもしろいと思いました」。

日本酒造りは微生物相手の繊細な作業。蔵人たちが命がけで酒造りに挑む
日本酒造りは微生物相手の繊細な作業。蔵人たちが命がけで酒造りに挑む[c]2025「種まく旅人」北川オフィス

老舗酒蔵を舞台に展開する物語は、実際にいま現在も日本酒作りをしている「千年一酒造」で撮影された。「酒蔵のシーズンオフを利用しての撮影で、部屋も事務所も全部使わせていただきました。本物の場所、道具を使って撮影できたこと、実際に酒蔵で働く職人さんから手取り足取り作業を教えてもらえたことにとても感激したし、映像にも“本物感”が出ていると思います」と充実した表情を見せる。

実際に淡路島にある老舗「千年一酒造」で撮影が行われた
実際に淡路島にある老舗「千年一酒造」で撮影が行われた[c]2025「種まく旅人」北川オフィス

「仕事で酒造りを見学したことはあるけれど、実際に蒸した米に麹菌をふりかけるところを見るのも初めて。汗水垂らしての肉体労働が多いことにも驚いたけれど、なにより衝撃的だったのはお米が発酵していく過程。生き物のパワーのようなものを感じる瞬間でした。躍動感というのかな。生きているエネルギーを香りと共に浴びる感覚がありました」と説明。日本酒を飲むことは「パワーを飲んでいるってことかも!と思ったくらいです」としみじみ。
さらに「すごいのは、味がブレることなく、毎年ブランドや銘柄の特長をしっかり出していること。そして、限られた材料を使いながらもものすごい数の違う味が出来上がるということ。より日本酒の謎が深まったし、科学のようにも思えました」と、映画を通して本格的な日本酒作りを体験したことで、より日本酒の奥深さを実感したとも語った。


日本酒の原材料は米・麹・水・酵母のみ
日本酒の原材料は米・麹・水・酵母のみ[c]2025「種まく旅人」北川オフィス

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