• 映画TOP
  • 映画ニュース・読みもの
  • 金髪
  • 第38回東京国際映画祭のラインナップが発表!フェスティバル・ナビゲーターの瀧内公美は「新しい作家との出会いの場所、原石を探す場所」と映画祭への愛を語る
第38回東京国際映画祭のラインナップが発表!フェスティバル・ナビゲーターの瀧内公美は「新しい作家との出会いの場所、原石を探す場所」と映画祭への愛を語る

第38回東京国際映画祭のラインナップが発表!フェスティバル・ナビゲーターの瀧内公美は「新しい作家との出会いの場所、原石を探す場所」と映画祭への愛を語る

10月27日より11月5日まで開催される第38回東京国際映画祭(TIFF)のラインナップ記者会見が10月1日、日比谷のBASE Q HALLにて開催され、本年度フェスティバル・ナビゲーターの瀧内公美、「コンペティション」部門に選ばれた『金髪』(11月21日公開)の坂下雄一郎監督、『恒星の向こう側』(25)の中川龍太郎監督らが登壇。それぞれの映画祭への想いなどを語った。

【写真を見る】第38回東京国際映画祭でフェスティバル・ナビゲーターを務める瀧内公美
【写真を見る】第38回東京国際映画祭でフェスティバル・ナビゲーターを務める瀧内公美

東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康は、映画祭では対話と調和を重視しているとし、国際交流の拠点としての交流ラウンジのあらためてのアピールと、5年ぶりに復活するクロージング・パーティの実施を発表。ジェンダー問題の取り組みとしての「ウィメンズ・エンパワーメント」部門の強化や、未来を築く人材の育成により力を入れていくことを宣言した。

フェスティバル・ナビゲーターを務める瀧内にとって、東京国際映画祭は映画ファンとして足を運んでいた映画祭だそうで、「デビュー当時から足繁く通い続けてきた映画祭」と笑顔を見せる。フェスティバル・ナビゲーターを務めることは「非常にうれしいと同時に、とても緊張しています」と心境を明かした。東京国際映画祭は「アジアで最高峰の映画祭と認識しています」と力を込めた瀧内は、「アジアから世界へというイメージがあり、先駆者的で歴史の深い映画祭というイメージがあります」と説明したうえで、「ナビゲーターってなにをやるの?」という思いもあるとしつつ、「みなさんと一緒に話し合いながら、お仕事させていただきます!」と気合を入れた。

デビュー当時から足繁く通っていた映画祭と明かした
デビュー当時から足繁く通っていた映画祭と明かした

東京国際映画祭で印象に残っている作品は『百円の恋』(14)と即答した瀧内が、今年の映画祭で注目している作品は「『雌鶏』『恒星の向こう側』『パレスチナ36』『遥か東の中心で』。この4本は絶対に観たいです!ファーストインプレッションで決めました」と力を込めていた。自身にとって映画祭とは「国内で上映することが難しい作品を観ることができるのが醍醐味。新しい作家との出会いの場所と認識しています」と答えた瀧内は、「この監督すてきだなという作品を見つけて、劇場公開されたらまた観に行こうと思ったりする。原石を探す場所で、私自身、とてもワクワクする時期です」と映画祭開催期間中は、心が踊ると満面の笑みを浮かべていた。

共に監督作が「コンペティション」部門に選出された坂下監督と中川監督も、東京国際映画祭には個人的な思い出があると振り返る。「学生の頃、日本映画だけのスプラッシュ部門に応募した経験がありますが、それ以降は観る側として足を運んでいました」と話した坂下監督は、自身の監督作が上映されることについて「コンペに選ばれたのは初めて。過去に落ちた経験もあるのでなかなか感慨深いです」としみじみしつつ「ありがたいです!」と静かによろこびを噛み締めていた。

一方の中川監督はこれまでにも監督作が上映された映画祭だと語り「大学時代に作った自主映画も上映してもらいました。2年前はガラ・セレクションで上映されましたが、コンペ部門で上映されるのは初めて。大きいシアターで観るだけだったような部門に選ばれたことは、すごく光栄でありがたいです」とこちらもニッコリ。

『金髪』(11月21日公開)がコンペティション部門に選出された坂下雄一郎監督
『金髪』(11月21日公開)がコンペティション部門に選出された坂下雄一郎監督

映画祭に期待することを問われると坂下監督は「いろいろな映画を一気に観られる機会はあまりない。この機会に映画を観る人が増えてくれるとうれしいです」とシンプルな願いを語る。中川監督は「プログラマーの選定を見てほしいです」と話し、プログラマーの個性が映画祭に出ると前置きしたうえで、「新しい東京国際映画祭のすばらしさを感じてほしいです。僕も今年はたくさん観たいです!」と新しい作品との出会いに期待を込めていた。

「ウィメンズ・エンパワーメント」部門の紹介に登場したアンドリヤナ・ツヴェトコビッチは「女性ならではの視点の映画を紹介できるのは光栄なこと」とし、「映画業界のジェンダーバランスは依然として厳しい状況」と指摘。さらに「平等の問題ではなく質の問題」とジェンダーバランスでのポイントを挙げ、問題に向き合うためにさまざまなシンポジウムの企画があると呼びかけていた。

『恒星の向こう側』(25)がコンペティション部門に選出された中川龍太郎監督
『恒星の向こう側』(25)がコンペティション部門に選出された中川龍太郎監督

「アニメーション部門」の紹介で登場した藤津亮太は上映作品の『天使のたまご 4Kリマスター版』(85)に触れ、「アニメは40年で進化しているのか。それを確認するためのセレクトです」と話し、「日本初の長編アニメである『桃太郎 海の神兵 デジタル修復版』を入れたのは戦後80年というタイミングで観るべきテーマでもあると理由からです」と解説し、こちらもさまざまなシンポジウムを通じて、アニメーションのこれまで、そしてこれからについて考えていきたいとしていた。

質疑応答で、インドネシアの記者から観たい映画のひとつに『パレスチナ36』(25)を選んだ理由を問われた瀧内は「日本では俳優が政治的な発言をすると問題視されがち。個人としての考えがあっても難しい」という状況を説明した上で、「けれど気になる。映画祭でしか上映されない作品があるし、現状、いまここでしか観れない映画を選びたい。一個人として観ておかなければならないという作品だと思ったからです」とハッキリと答え、映画祭で上映される映画が劇場公開にならないケースも多くあるので「この機会に」という想いがあるとも補足していた。

フォトセッションの様子
フォトセッションの様子

イベントではプログラミング・ディレクターの市山尚三から、今後も上映作品が増える可能性があると明かし、シンポジウムの詳細も含めて、公式サイトをチェックしてほしいとも呼びかけていた。


取材・文/タナカシノブ

作品情報へ

関連作品