「サタデー・ナイト・ライブ」「ベター・コール・ソウル」から『Mr.ノーバディ』へ!ボブ・オデンカークはどのように世界的スターになったのか?

「サタデー・ナイト・ライブ」「ベター・コール・ソウル」から『Mr.ノーバディ』へ!ボブ・オデンカークはどのように世界的スターになったのか?

平凡で冴えない父親が、実は超一流の殺し屋だったというユニークな設定と、痛快でユーモラスな展開が話題を呼び、異例のスマッシュヒットを記録した『Mr.ノーバディ』(20)。そのシリーズ最新作となる『Mr.ノーバディ2』が10月24日(金)より公開される。主人公のハッチ・マンセルを演じるのは、前作に引き続きボブ・オデンカーク。コメディ界の裏方から世界的な人気俳優へとのぼり詰めた異色の経歴を持つ彼の軌跡を振り返っていこう!

人気コメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」の影響を受け、地元シカゴのラジオ番組や即興演劇でコメディのノウハウを学んだオデンカークは、1987年にアメリカを代表する人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」の放送作家に抜擢。多数の才能あふれるコメディアンと共に腕を磨き、テレビ界のアカデミー賞ともいわれるエミー賞を受賞するなど若くしてその才能が評価された。

その後、脚本家や放送作家として活躍を続けながら30代で俳優へと転身したオデンカークは、コメディ作品を中心に様々な作品に出演。長編映画監督デビューを飾ったり、アカデミー賞作品賞にノミネートされた『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(13)にも出演するなど、着実にキャリアを積んできた。最大の転機となったのは、やはり世界的人気を集めたドラマシリーズ「ブレイキング・バッド」でのソウル・グッドマン役だ。派手なスーツをまとい、巧みな話術で人々を翻弄する悪徳弁護士として主役を食うほどの怪演を披露。

人気ドラマシリーズ「ベター・コール・ソウル」で一躍スターダムを駆け上がったボブ・オデンカーク
人気ドラマシリーズ「ベター・コール・ソウル」で一躍スターダムを駆け上がったボブ・オデンカーク[c]Everett Collection/AFLO

2015年には、そのソウル・グッドマンを主人公にしたスピンオフシリーズ「ベター・コール・ソウル」がスタート。「ブレイキング・バッド」では描かれなかったグッドマンの人間としての葛藤や苦悩が描かれ、本家を凌ぐほどの人気を獲得。オデンカーク自身も同作でエミー賞主演男優賞(ドラマシリーズ部門)に6度、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(テレビシリーズ部門)に5度ノミネートされるなど、一躍トップスターの仲間入りを果たすこととなった。

しかし人気絶頂のなか、彼の輝かしいキャリアに思わぬ危機が訪れる。「ベター・コール・ソウル」シーズン6の撮影中だった2021年7月、オデンカークは心臓発作で倒れて緊急入院。一度は生死の境をさまよいながらも一命を取り留めることに。ドラマの打ち切りも検討されたが、オデンカークはなんとわずか5週間という驚異的なスピードで現場復帰。この出来事は大きな話題となり、オデンカークは単なる人気ドラマのキャストの一人という枠を超え、自身の困難な試練をも力に変えてきた俳優として、世界中から愛される存在となった。

【写真を見る】平凡なオヤジがバカンス先で巨悪組織と全面戦争!?裏社会を支配するのは“女帝”シャロン・ストーン
【写真を見る】平凡なオヤジがバカンス先で巨悪組織と全面戦争!?裏社会を支配するのは“女帝”シャロン・ストーン[c]2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

そんなオデンカークが“ソウル・グッドマン”という不動のパブリックイメージを覆すべく、自ら企画段階から携わり、本格的なアクション映画に初挑戦したのが前作『Mr.ノーバディ』。彼が演じるハッチは妻と2人の子どもと暮らし、家族からも軽んじられる“冴えないオヤジ”だったが、ある出来事をきっかけにかつて凄腕の殺し屋だったことが明らかに。そして最後には、街に巣食う巨大なロシアン・マフィアを壊滅へと追い込んでいくのである。

最新作『Mr.ノーバディ2』では、再び平凡な日常に戻ろうとしたハッチが、家族との絆を取り戻すためにバカンスを計画。しかし地元保安官との些細なトラブルをきっかけに裏社会を牛耳る巨悪組織との全面組織へと巻き込まれてしまう様が描かれる。コニー・ニールセンやクリストファー・ロイドら続投キャストに加え、新たにシャロン・ストーンも参戦し、アクションもユーモアもさらにスケールアップ。オデンカークの新境地ともいえるド派手なハードボイルドアクションを、劇場で存分に楽しもう!


文/久保田 和馬

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