来日したチョン・ウヒに聞いたメロドラマ復帰作への想い「『マイ・ユース』は自分が一番輝いていた時のことを思い出せる」

来日したチョン・ウヒに聞いたメロドラマ復帰作への想い「『マイ・ユース』は自分が一番輝いていた時のことを思い出せる」

「ソン・ジュンギさんは“とにかくまずやってみよう!”とすぐに行動に移すスタイル」

ソン・ジュンギとは相性抜群だったチョン・ウヒ
ソン・ジュンギとは相性抜群だったチョン・ウヒ撮影/杉映貴子

甘いムードが満ちているドラマである一方、コミカルなシーンが多いのが「マイ・ユース」の魅力だ。映画やドラマではシリアスな表情を見せることが多いチョン・ウヒだが、不器用な恋愛感情を見せたり、予想外な行動に出たりするジェヨンを演じる姿は自然でユーモアがあり、コメディエンヌの才能も持ち合わせていることを証明した。とはいえ「ロマンティックなムードとコミカルな面を上手く調和させるのは簡単ではなかったですね」と、本人にとってもチャレンジだったと振り返る。

「それぞれの俳優たちのやり取りというのが本当に大事で、エモーションを調和させて自然に展開させなければいけなかったからです。コメディを自然に表すためにはある程度プランがないと難しいと思うんです。その計画を立てつつ、自然と表現できるポイントを探すために努力をしました。ジェヨンは任された仕事はベストを尽くすんですが、恋愛だけはちょっと不慣れなところが私と似ています。そういうキャラクター自体に、私自身のチャームポイントを少し投影できることがあったので、上手くマッチしたんじゃないでしょうか。もちろん難しい点もありましたが、手ごたえはありました」。

多くのアドリブに挑戦したというチョン・ウヒ
多くのアドリブに挑戦したというチョン・ウヒ[c]SLL Joongang Co.,Ltd all rights reserved.

「マイ・ユース」はチョン・ウヒだけではなく、ソンウ・ヘ役を務めたソン・ジュンギにとっても久々のロマンス作品だが、彼もまた9年ぶりというブランクを感じさせないロマンティックな演技を見せてくれている。今回初共演のソン・ジュンギに、助けられたことが多かったそうだ。

「ソン・ジュンギさんは現場経験が多い方で、“とにかくまずやってみよう!”とすぐに行動に移すスタイルだったんです。『このシーンについて、どういうふうに構成したほうがいいかな?』とか、私にも撮影中にたくさん意見を聞いてくださいました。リハーサルも監督と3人で話し合うことが多かったです。 そういう配慮は演技だけではなく、お芝居以外にも現場での進行状況や演出、制作サイドの事情にも目を配るような視野の広い方でした。リラックスして撮影に臨めて、本当にありがたかったです」。

「『マイ・ユース』は“自分の美しい瞬間が描かれた作品”と感じられるドラマ」

なによりもドラマを弾ませるのは2人のアドリブだ。序盤、森の中でソンウ・ヘとジェヨンが出くわすシーンでは、最初はぎこちなかった2人の時間がアドリブの多いシーンによって再び動きだす。

配信直前の8月末にはソン・ジュンギと来日イベントも実施
配信直前の8月末にはソン・ジュンギと来日イベントも実施[c]SLL Joongang Co.,Ltd all rights reserved.

「アドリブシーンは本当に多すぎて数えきれないくらいでした!ソンウ・ヘとジェヨンが一緒に撮るシーンにはアドリブが必ず多いと言っていいくらいです。コミカルなやりとりに大事なのは、まず俳優同士の呼吸です。そして、台本の空白を埋めるために、お互いのやり取りの息を合わせて、自然と流れるように、豊かにするために努力したんです。そこで、作品のセリフや動きをその場の思いつきで、即興で変えてくというのはかなりたくさんしました。テイクごとに違うセリフを言うっていうのもありました。もちろん本当に楽しかったんですが、私は、ある特定のインパクトのためにならやることはあるんですが、元々はアドリブの多いタイプではないんです。なので、現場では『これ大丈夫?』みたいに確認し合っていました(笑)。おそらくこの楽しさは、視聴者の皆さんがご覧になっても“このシーンは俳優同士の雰囲気でやっているんだろうな”というのが感じられると思います」。

久々にロマンスドラマに復帰したチョン・ウヒ
久々にロマンスドラマに復帰したチョン・ウヒ撮影/杉映貴子

メロドラマがずっと作られ続ける理由は、人間にとってロマンスが普遍的な人生のいちテーマでもあるからだろう。ソンウ・ヘとジェヨンの心が再びときめくシーンを見た私たち視聴者が、それぞれが人生の中で誰かをひたむきに思った瞬間を思い出す。チョン・ウヒが「マイ・ユース」の脚本を手にした時のように、私たち視聴者も、きっと心に抱いた経験のある愛おしい感情を呼び起こされるだろう。

「『マイ・ユース』は、いつの日か振り返った時、“自分の美しい瞬間が描かれた作品だった”と感じられるドラマだと思います。視聴者の皆さんにとっても、自分が一番キラキラ輝いていた時のことを思い出せるような作品になってほしいです。今回、日本と韓国で同時に放送・配信されることが一番うれしいんですね。というのも、同じ時代を生きる人たちが一緒にこの作品を見て共有できるからです。私が感じたことが、すぐ皆さんにも伝わるというのが本当にうれしいですし、気持ちがつながっているように感じられます。 一緒に喜びを感じて楽しく見ていただければいいなと願っています」。


取材・文/荒井 南


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