森下suuが感銘!手話がつなぐ心と恋――漫画「ゆびさきと恋々」に重なる映画『君の声を聴かせて』の世界
いま韓国で注目を集める3人の若手俳優が集結した映画『君の声を聴かせて』が、9月26日(金)より公開となる。手話を通して心がつながっていく登場人物たちの、恋のときめきや人生の迷いをみずみずしく映しだした本作。漫画家・森下suu(原作:マキロ、作画:なちやん)がいち早く映画を鑑賞したところ、聴覚障がいのある雪と世界を旅する大学の先輩、逸臣の恋を描いた自著「ゆびさきと恋々」との重なりを感じると共に、「愛の原点回帰を目にした気がしています」と大好きな映画になったと心を込める。森下suuが、本作に愛着を感じた理由や、手話の表現を描く上で大事にしていることなど、たっぷりと語り合った。
「逸臣とヨンジュンの共通点に驚きました!」(なちやん)
2009年に制作され、その年の国内興行収入第1位を記録した台湾映画『聴説』をリメイクした本作。大学を卒業したものの、やりたいことが見つからず、両親が営む弁当屋を手伝うはめになった就活生ヨンジュン(ホン・ギョン)。聴覚障がい者ながら水泳のオリンピック代表を目指す妹ガウル(キム・ミンジュ)を懸命に支えるヨルム(ノ・ユンソ)。弁当の配達先で出会ったヨルムに一目惚れしたヨンジュンは、大学で習った手話を通じてヨルムと心を通わせてゆく。
――まず、映画をご覧になった率直な感想を教えてください。
なちやん「先日ドイツを訪れる機会があり、その行きの飛行機で本作を拝見していました。最初は勉強も兼ねて、どのように手話が表現されているのかなという興味から拝見したんですが、映像がとても美しく、気づいたら物語に釘付けになっていました。ヨンジュンたち、登場人物の誰もがまぶしいほどピュアで!心が洗われたようで、胸がいっぱいになりました」
マキロ「クライマックスには驚きの展開がありますが、そのすべてがお互いのやさしさで成り立っているというところが、本当にステキで。そのなかでも妹であるガウルの夢を応援し続け、自分のことを後回しにしてしまうヨルムは、本当にやさしいなと思わされるキャラクターでした。彼女の想いに何度もグッときましたし、ガウルの『ここに姉さんの人生があるの?』というセリフは姉妹の絆を感じて、胸にズキンと突き刺さりました。またヨンジュンのお父さんも、ものすごくステキでしたね。耳が聴こえても話の通じない人はいると、サラリと言えてしまう。聴者だろうと、ろう者だろうと関係なく、その人を好きになるかどうかは『人柄次第だ』と言い切れるお父さんは、大好きなキャラクターです」
なちやん「ヨルムとお母さんのシーンもよかったなあ。私は、あそこでボロ泣きしました。あのシーンは、結末を知ったうえでもう一度観たい場面です」
――たしかに彼らの周囲も温かさにあふれ、好きなキャラクターをたくさん見つけられそうな作品でもありますね。森下suu先生による「ゆびさきと恋々」の登場人物、逸臣は壁を作らずに相手と接するキャラクターです。まったく性格は違えど、本作のヨンジュンにもそういった柔らかさを感じました。
マキロ「障がいに対する偏見もないし、とてもステキなキャラクターですよね。私は恋に落ちている男性を見るのがすごく好きなんですが、ヨンジュンを見ていてトキメキました」
なちやん「逸臣とヨンジュンで性格はまるで違うけれど、2人ともやさしくて大胆なところがある。そして彼らには、世界へと飛び出しながら手話と出会うという共通点もありました。偶然とはいえ驚きました!」
マキロ「ヨンジュンは、ヨルムに対して『君のことを知りたいんだ』という想いで一生懸命に手話を使って語りかけていきます。その表情が最高で、こちらも乙女のような気持ちになりました」
なちやん「ヨルムに語りかける時に、いつも前屈みになっているのがとてもいいですよね。ヨンジュンのあの姿勢にも、かわいらしさとやさしさがあふれていました」
マキロ「強引すぎないところも、すごくステキ!そして、身近にいてくれそうなキャラクターだよね」
なちやん「ワンチャン、会えるかも!と思わせてくれる。絶対に会えないんだけどね(笑)!」