呪物コレクター・田中俊行が語る『火喰鳥を、喰う』における呪物の在り方「戦死者の呪物を利用するのは、理にかなったすばらしい着眼点」

呪物コレクター・田中俊行が語る『火喰鳥を、喰う』における呪物の在り方「戦死者の呪物を利用するのは、理にかなったすばらしい着眼点」

「ニューギニアで火喰鳥は強い力を持つと考えられている」

【写真を見る】実際に火喰鳥の骨を使用して作られた呪物「ダガー」
【写真を見る】実際に火喰鳥の骨を使用して作られた呪物「ダガー」撮影/木村篤史

ジャングルで飢えに苦しんでいた貞市が目撃するのが、タイトルにも使われた火喰鳥(ヒクイドリ)。生息地であるニューギニアでは、神聖な存在でもあるという。「ニューギニアで火喰鳥は強い力を持つと考えられていて、実際に火喰鳥の骨を使った呪物も作られているんです。それを前提にした物語だと思います」という田中は、火喰鳥の骨で作られた呪物のナイフ、ダガーをコレクションしていると明かした。「ニューギニアのアスマット族が作ったもので、敵対する部族に殺された仲間の骨や火喰鳥の骨でできています。柄の部分には死んだ仲間の顔が彫られていて、それを使って敵に復讐するんです」。

柄の部分には死んだ仲間の顔が掘られている
柄の部分には死んだ仲間の顔が掘られている撮影/木村篤史

呪物に禍福があると語る田中は、呪物は危険な存在だが正しく接すれば恐れる存在ではないと加える。「様々な国の呪物を見ていくと、自分を守りたい、一族を守りたいという思いが込められたものが大多数を占めています。五穀豊穣など基本はよいもので、人を呪うための呪物は実は多くはありません」。私たちが手にするお守りもその一つだという。「ただし、お守りなど宗教や信仰に関わるものを呪物と呼ぶと怒られますが、呪物という言葉自体を僕は悪いものではないと思っています」。王道の呪物ホラーといえる本作だが、怖さを味わうだけでなく呪物とはなにか、そしてその向き合い方を知るという意味でも興味深い作品なのである。


『火喰鳥を、喰う』は10月3日(金)より公開!
『火喰鳥を、喰う』は10月3日(金)より公開![c]2025「火喰鳥を、喰う」製作委員会

取材・文/神武団四郎

タブーを犯したのは誰?真相に迫る!『火喰鳥を、喰う』特集【PR】
作品情報へ

関連作品