「ガリレオ」との違いは?福山雅治×東野圭吾の新たなタッグで送る『ブラック・ショーマン』のダークヒーロー像に迫る
絶妙な塩梅で別ベクトルのクセ強キャラを体現
マジシャンならではのテクニックを駆使する武史が、警察を手玉に取り、容疑者たちの嘘を鮮やかに見破っていく姿が実に痛快で、それが本作ならではのおもしろさになっている。また、姪である真世に食事代を払わせるなどセコいところがあったり、彼女に「おじさん」と呼ばれることを過剰に嫌がるあたりは、金や他者の評価をまったく気にしない湯川とはまるで違っていて、別ベクトルのクセ強キャラであるのが楽しい。
そのうえで、どちらも偏屈で一つのことを突き詰める性格は同じ。それこそ、同じ福山が演じているから、その佇まいだけで両者ともカッコいいし、もとから持ち合わせている特性もあって優しさや温もりが自然と滲み出てもいる。ダーティな部分を盛り込みつつ、持ち味や魅力を絶妙な塩梅で詰め込んだファンも満足できるキャラクターとして作り上げられているのだ。
卒業後も教え子たちの相談に乗る心優しき元教師がなぜ殺されなければならなかったのか?容疑者たちの様々な思惑が渦巻くこの難事件を、武史はどんなマジックで解決するのか?東野圭吾と福山雅治が再びタッグを組み、ユニークな切り口で挑んだ『ブラック・ショーマン』に気持ちよくダマされてほしい。
文/イソガイマサト
作品情報へ