デンジのめくるめく心境の変化を表現!劇場版『チェンソーマン レゼ篇』で戸谷菊之介が見せた経験の蓄積
シリーズ累計発行部数3000万部を超え、「少年ジャンプ+」(集英社)で連載中の藤本タツキによるマンガ「チェンソーマン」。2022年にはテレビアニメが放送され、社会現象となるほどの人気となった同作の続きを描く劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が、9月19日(金)に公開。主人公のデンジを演じて飛躍した声優の戸谷菊之介が、これまでの経験を総動員した渾身の演技で作品をより魅力的なものに仕上げている。
“チェンソーの悪魔”の力を手に入れたことを機に、悪魔を取り締まる組織「公安対魔特異4課」に所属するデビルハンターとなった少年デンジの戦いを描く「チェンソーマン」。テレビアニメでは、課を率いるマキマ(声:楠木ともり)や先輩の早川アキ(声:坂田将吾)、血の魔人であるパワー(声:ファイルーズあい)といった仲間と共に、悪魔のなかでもとりわけ強大な力を持つ“銃の悪魔”の討伐のため奔走する姿が描かれた。今回の劇場版『チェンソーマン レゼ篇』は、デンジと謎の少女レゼ(声:上田麗奈)の出会いの物語が軸となる。
戸谷は高校卒業後、2017年にソニー・ミュージックアーティスツ主催のオーディションである第6回アニストテレスにて特別賞を受賞したことで見いだされ、2020年にモバイルゲーム「我的起源」で声優デビュー。その後、「チェンソーマン」で射止めた初の主人公役で演技を認められ、第18回声優アワード新人声優賞を受賞。デンジ役以降は、数多くの作品でメインキャストに抜擢されている。
二面性も見事に表現する技量の高さ
最強最悪の騎士団の、世界の命運を懸けた戦いを描く「七つの大罪」の続編として話題を集めた「七つの大罪 黙示録の四騎士」では、主人公パーシバル(声:小村将)と行動を共にするドニー役に抜擢。格好つけでお調子者、さらに臆病であるドニーだが、ビビりながらも仲間たちのために戦う姿を熱演し、多くの賞賛が集まった。以降はどこか二面性を携えた難しい演技が要求される、ギャップが魅力的なキャラクターを数々演じている。
たとえば、孤独な不良高校生の成長を描いていく「WIND BREAKER」で戸谷が演じた兎耳山丁子は、童顔で小柄なかわいらしさと強さのギャップで魅せた。主人公が通う“風鈴高校”と敵対する組織“獅子頭連”のNo.1で、強い相手には目をキラキラさせる反面、弱い相手には味方であろうと容赦はしない冷徹さを持つ。戦闘狂でありながら、まるで子どものように無邪気である、丁子のなかに潜む狂気を表現した。
乱世を“逃げて”生き延びる幕府の正統後継者、北条時行(声:結川あさき)の生き様を映す「逃げ上手の若君」では、時行が率いる「逃若党」の軍師的な存在である吹雪役を担当。様々な戦術を生みだす戦略家であると同時に剣術にも長け、時行に秘剣「鬼心仏刀」を授ける。基本的に冷静である一方、大食漢でご飯を頬張りながら軍議を語るなどユーモラスなシーンもたっぷり。戦況を見極める時の語り口調は実にクールでありながら、ご飯をもぐもぐしながらしゃべるシーンは絵柄のタッチも含めてなんともコミカル。吹雪のキャラクター性が、実に見事に表現されていた。
さらに、過去に戻って人生の再攻略を図る令嬢の逆転劇「やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中」では、ヒロインのジル・サーヴェル(声:内田秀)の相手役で、ラーヴェ帝国の皇帝であるハディス・テオス・ラーヴェを熱演した。“竜帝”と呼ばれ民衆や身内からも恐れられる存在である反面、無鉄砲なジルを思いやって、お菓子を作ってソワソワしながら帰りを待つ姿は、乙女を通り越して嫁といった雰囲気。しかし、ジルを傷つけた者には徹底的に恐怖をたたき込む。皇帝という高貴さと“竜帝”として畏怖される存在感を放つ演技、一方ではジルに対して少女のようなピュアさで接し、さらに内には自分に自信が持てない暗い面も持つ。ハディスの魅力である多面性を、実にわかりやすく自然な演技で全うした。
得意分野の音楽スキルを遺憾なく活かすパフォーマンス
また戸谷の魅力は、演技力だけにとどまらない。ソニーミュージックグループによる多次元アイドルプロジェクト「UniteUp!」では、新人アイドルグループ“PROTOSTAR”のメンバーであり主人公役である清瀬明良役を務めている。幼いころからピアノを習い、学生時代のコピーバンドや吹奏楽部などで培った音楽経験を活かし、声優として出演する一方で、挿入歌など多くの関連楽曲で高い歌唱力を披露している。ライブ活動ではダンスなどのステージパフォーマンスでもファンを魅了している。
ほかにも「黒執事 -寄宿学校編-」ではモヒカンヘアのチェスロック、「不遇職【鑑定士】が実は最強だった」では無自覚系最強の主人公アイン、「薫る花は凛と咲く」では主人公、紬凛太郎(声:中山祥徳)の友人、宇佐美翔平を担当。アニメ化が決定している中条比紗也による「花ざかりの君たちへ」には、2007年のドラマ版で生田斗真が演じた中津秀一役を担当することが発表されており、「戸谷くんの中津くんが聴けるのが楽しみ」、「戸谷くんが演じる中津くんに早く会いたい」などファンの期待が高まっている。