「好きなことを貫いていればそれが自信になる」井手上漠が『不思議の国でアリスと』で感じた自分との向き合い方

インタビュー

「好きなことを貫いていればそれが自信になる」井手上漠が『不思議の国でアリスと』で感じた自分との向き合い方

「狭い学生社会のなかで多数派に合わせようと必死だった」

空気を読んで周りに合わせるりせと、自由奔放に振る舞うアリス。タイプの違う2人だが、どちらのキャラクターに近いか?という質問に井手上は、「私は、アリスタイプ!」と即答。もし自身がアリスの世界に迷い込んだら、アリスのように「一人で楽しんじゃう」と満面の笑顔で話す。「私、友だちと遊んでいても単独行動するタイプなんです。どこへ行くとも言わずすぐに動いちゃう。用事が終わったら、『いま、どこ?』と連絡して合流します。友だちもみんな理解してくれているので、またどこかに行ったんだろうな、くらいに思っているはずです」と説明する。そんな井手上の周囲にはりせのようなタイプはいないようで、だからこそ「一緒にご飯に行って話してみたいですね」と心惹かれるものがあったようだ。

井手上も自分と似ていると語る天真爛漫なアリス
井手上も自分と似ていると語る天真爛漫なアリス[c]「不思議の国でアリスと」製作委員会

しかし、そんな井手上にも、りせのように「周りに合わせようとしていた時代」があったことを明かす。「私もりせちゃんみたいな時代がありました。小学5年生から中学2年生まで。自分の性別が男であることはわかっていたけど、男として生きていかなきゃいけないことへ疑問を抱いていたんですね。そんななか、小学5年生で初めて男女の区別があった時に、自分の生き方を否定されたような感覚になってしまったんです。周りの先生やクラスメイトに悪気はなかったと思いますが、幼かった私は『自分はおかしいのかもしれない』と思うようになってしまって。狭い学生社会のなかで多数派に合わせようと必死で、それまで髪を伸ばしていたのに一般的な男性に寄せようと頑張っていました」と言葉を紡ぐ。

「好きなことを好きでい続けられることってすごく大切なこと」

ワンダーランドを旅しながら、りせは本来の自分を取り戻していく
ワンダーランドを旅しながら、りせは本来の自分を取り戻していく[c]「不思議の国でアリスと」製作委員会

井手上を変えたのは、母の言葉だった。ある日、母に呼びだされ、初めて自分の悩みを打ち明けた時のことだ。これまで抱いていた葛藤を聞いた母は、井上手の話を否定することなく、優しく受け止めてくれた。「『漠は漠のままでいいよ。好きなように生きなさい』と言ってくれたんです。頼れる大人が母しかいなかったこともあり、母が認めてくれたなら、もうなにも怖いものはないと思えました」。

そんな井手上にとっての母の姿が、りせにとっての祖母と重なったという。ワンダーランドの旅を続けるうちに、りせは自分にとっての本当に大切なものがわからなくなるが、祖母の「好きなものを大事にしなさい」という言葉を思い出し、再び前を向いて生きる希望が湧いてくる。「私にとって、りせちゃんのおばあ様が、私のお母様」という言葉どおり、本作で一番好きなキャラクターには、りせの祖母を推している。


【写真を見る】「自分を否定していた過去も自分らしい姿」と語る井手上獏を撮り下ろし!
【写真を見る】「自分を否定していた過去も自分らしい姿」と語る井手上獏を撮り下ろし!撮影/河内彩

母の言葉をきっかけに、好きだった美容を隠さず取り組むようになり、「どんどんオープンな性格になっていった」と振り返る井手上。好きなことを貫くことで自信がつき、その後の人生を大きく変えることになったそうだ。「人間は裏切るけど、好きなことは裏切らない。好きだった美容をずっと大切にしてきたから、周りが『男とか女とか関係なく、漠ちゃんはきれいでかわいいね』と言ってもらえるところまでたどり着けた。それが芸能界デビューにもつながった事実があります。好きなことを好きでい続けられること、それってすごく大切なことだと自分の経験からも思いますし、本作を観て再確認できた部分も大きいです」。

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