「点と点がつながる瞬間が気持ちいい」…『近畿地方のある場所について』の何度も観たくなる“求心力”に感想コメントから迫る

コラム

「点と点がつながる瞬間が気持ちいい」…『近畿地方のある場所について』の何度も観たくなる“求心力”に感想コメントから迫る

「『エコエコアザラク』や『富江』以来かも?」「危なっかしさもクセになる」…菅野美穂&赤楚衛二の演技にも引き込まれる

菅野美穂がオカルトライターの瀬野千紘、赤楚衛二が雑誌編集者の小沢悠生をそれぞれ演じている。千紘は、編集長がいなくなって途方に暮れる小沢が頼った人物ということもあり、オカルト系ライターとしての経験が豊富で洞察力にも優れている。そんな彼女をわりと無茶めな校了スケジュールながら半ば強引に引き込んでしまう小沢もまた、若いながらに胆力があり編集者としての資質も高そう。その一方で、資料を調べていくうちに“近畿地方のある場所”にまつわる怪異にのめり込んでしまい、周りが見えなくなってしまう危うさも抱えている。

時に業界の先輩らしく小沢を鼓舞し、自身も能動的に調査に動く千紘を頼もしく演じた菅野には、「やっぱ菅野美穂さんよすぎた」「淡々とした感じの演技がよかった」「エキセントリックなところにも満足」といった感想が。このほか、「最高です。『エコエコアザラク』や『富江』以来かも?」「ラストも菅野美穂さんの演技がよくて締まっていた」など、物語が進むにつれて表情を変える緩急の効いた演技が絶賛されている。

経験豊富で頼りがいのある千紘
経験豊富で頼りがいのある千紘[c]2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

赤楚もまた、近年の『六人の嘘つきな大学生』(24)や『366日』(24)とは異なる魅力を発揮。「謎の絵を撮っている目は興味津々のかわいい目だったのに、背後の気配に恐る恐る視線を向けようとする目は最大限に見開いていてドキドキだった」「小沢くんの恐怖に慄く表情、自身に降りかかっている状況をなんとかしたいという切な願いの表情のなかに、諦めも混じっている」「小沢くんの危なっかしさもクセになる」「ホラーファンに赤楚くんの演技が褒められていてめちゃくちゃうれしい」というコメントが示すように、恐怖よりも好奇心が勝ってしまうホラー作品ならでの演技が光っていたようだ。

だんだんと怪異にのめり込んでしまう小沢
だんだんと怪異にのめり込んでしまう小沢[c]2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

「白石ワールドと気持ちいいぐらいの伏線回収」…白石晃士ならではの展開にコアなファンも満足

白石晃士監督といえば、『ノロイ』(05)やオリジナルビデオシリーズ「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」などフェイクドキュメンタリー作品を中心に独自の地位を確立してきた。手掛けた作品のなかで様々な都市伝説、怪現象を調査し、時に幽霊やUMAと戦い、異世界にも通じてしまうなど“白石ワールド”とも呼ぶべき世界観を構築。その唯一無二の作風で多くのファンに支持されるだけでなく、後進にも影響を与えており、原作者の背筋もその一人である。白石ファンは本作をどう見たのだろうか?

「『コワすぎ!』シリーズを思わせる作風、映像でしっかりと見せつけてくるのはわかりやすかった。前半はゾクゾク、後半は毛色が変わる」
「『コワすぎ!』成分を摂取したくて観に行ったら大正解の映画でした」
「後半の白石ワールドと気持ちいいぐらいの伏線回収はさすが白石晃士監督やと思った!」
「白石晃士監督がクトゥルフ神話から逃れられない作り手だと再認識した」
「記録映像など各種資料から謎を紐解くなかで点と点が線になってつながる瞬間がとても気持ちよく、終盤の『コワすぎ!』全開な作劇での締めも突き放された感じがして最高だった」

“近畿地方のある場所”にはいったいなにがあるのか?
“近畿地方のある場所”にはいったいなにがあるのか?[c]2025「近畿地方のある場所について」製作委員会


「見逃しているモノや聞き逃した声がまだまだありそう」…戸惑いが強い好奇心へと変化

本作を楽しんだという感想がある一方で、フェイクドキュメンタリーというスタイル、白石監督ならでのエッセンス、終盤にかけての怒涛の展開などはクセが強く、人によっては戸惑いを覚えてしまうかもしれない。しかしだからこそ、「あのシーンはどういうことだったんだろう?」と、本作をもっと知りたい、理解したいという欲求に劇中の小沢さながらに突き動かされているようだ。

「終盤は好き嫌いありそうだけど、自分はあの感じ、嫌いじゃない」
「怖かったです…。最後の最後に予想外の結末で、最後が一番怖かったかもしれない」
「結末は賛否分かれそう。本来はあの結末を阻止しなきゃなんだよね。あの犠牲は等価交換ですらなさそう」
「いろいろ評価がありますが、私としては結構好きな作品」
「人の持つ恐怖心や生理的嫌悪を的確に突いてくる」
「挑戦的でおもしろかったです。教えていただいて、ありがとうございます」
「どうしてもまた観たくなり、3回目のお山に行ってきます。見逃しているモノや聞き逃した声がまだまだありそう…」

ホラー作家、背筋によるベストセラー小説を映画化した『近畿地方のある場所について』は公開中!
ホラー作家、背筋によるベストセラー小説を映画化した『近畿地方のある場所について』は公開中![c]2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

怖いのに、そこへ行ってはいけないとわかっているのに、どうして人は確かめずにはいられないのか?そんな矛盾した感覚も味わえる『近畿地方のある場所について』。ぜひ劇場で何度でも咀嚼してほしい。

構成・文/平尾嘉浩

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