『雪風 YUKIKAZE』初共演の竹野内豊×玉木宏が対談。「死に行くことを美徳とせず、“命を繋げる”ことが大きなテーマ」

『雪風 YUKIKAZE』初共演の竹野内豊×玉木宏が対談。「死に行くことを美徳とせず、“命を繋げる”ことが大きなテーマ」

「艦のなかでは“父親であり母親でもある”ような感覚でした」(玉木)

竹野内との初共演の思い出を語る玉木
竹野内との初共演の思い出を語る玉木撮影/興梠真穂 ヘアメイク/渡部幸也 スタイリング/上野健太郎

――お2人は本作が初共演ということですが、撮影現場ではどのようにコミュニケーションをとられていたんですか?

竹野内「実は同じシーンも少ないですし、役柄も少し距離がある設定だったので、現場ではあまり多く言葉をかわしませんでした。ただ、撮影前にキャスト全員で行うホン(台本)読みの時の玉木さんがすごく印象に残っていて。僕の真正面に座られていたんですけど、その段階で先任伍長のリーダーとしての力強い存在感がすでにしっかりできあがっていて。みんなをまとめる絶妙なリズムと空気感を見事なまでに作り上げられていたのでスゴいなと思いました」

玉木「いやいや、ありがたい言葉ですけど、竹野内さんも最初から寺澤艦長とすごく重なる部分がありました。艦長たるもの、なにが起こっても、一喜一憂してはいけない。そういう存在だと思うんです。そこは常に穏やかな姿勢でいる竹野内さんからもひしひしと伝わってきたので、すごく安心感がありました」


――寺澤艦長、先任伍長の早瀬を演じながら、リーダーシップやチームワークについて考えるようなこともありましたか?

竹野内「寺澤艦長や先任伍長のような真のリーダーたる存在は、いまの時代にこそ求められてる気がしています。あの時代に起きていた事は、現代とは比較にならないほど大変なことばかりだったでしょうが、こんなにも全員が同じ方向を向き、心を一つにして仲間を想っている。お互いを心から信じて、命をかけてでも守る…というような、あの揺るぎない強い信頼関係は、少し羨ましくも思いました」

玉木「先ほどもお話したように、先任伍長はみんなをまとめるような立場だったので、艦の中ではわりと“父親であり母親でもある”ような感覚でした。『いま何時だと思っているんだ!消灯だぞ、早く寝ろ!』みたいなことを言わなければいけないし、ほかの乗組員たちと一緒にいるわけでもない。竹野内さんがさっき言ってくださった、妹の手紙を読む時だけは好きなスペースを見つけてやっと一人になれるわけですけど、それでもリーダーとして常に気を張っていたような気がします」

腕だけで海中から人を引き上げる姿は圧巻
腕だけで海中から人を引き上げる姿は圧巻[c]2025 Yukikaze Partners.

――強く印象に残っていたり、特に力が入ったシーンを教えてください。

竹野内「玉木さんとのあるシーンでは、カットを割らずに一気に撮ったのですごく印象に残っています」

玉木「早瀬が『10年後、20年後、艦長の娘さんが大人になるころには、日本はどんな国になっているんでしょうね?』と聞く一連ですね」

竹野内「そう。少し考えてから『普通がいいな』って答えるところです。あそこはけっこう長いシーンだったから、これをワンカットで一気に撮るんだと思って、緊張感がすごくありました」

玉木「2人だけでしたしね」

竹野内「ほかにも印象に残っているシーンはたくさんありますけど、敵味方関係なく多くの人命を救うシーンを見た時に、いままで何気なく使っていた“助け舟”という言葉の本当の意味を知ることができた気がするな…」

玉木「『一人残らず引き上げるぞ!』と言って、敵であろうと味方であろうと、誰彼構わず海から引き上げる。あの命を救って、繋ぐ冒頭のシーンはやはりすごく印象的でした。漁港をお借りして、僕たちは艦の側面を施した簡易的なセットの上から、海中の人たちを実際に引き上げたんですけど、片手で人一人を引っ張り上げるのはなかなかひと筋縄ではいかなくて。滑るし、腕力だけではなんともならないんです。でも、『雪風』の乗組員たちは実際にそれをやられていたわけですから。人の命を救うのはそれぐらい大変なことなんですけど、それだけに、一人残らず救い上げるシーンはすごく印象に残っています」

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