『雪風 YUKIKAZE』初共演の竹野内豊×玉木宏が対談。「死に行くことを美徳とせず、“命を繋げる”ことが大きなテーマ」

『雪風 YUKIKAZE』初共演の竹野内豊×玉木宏が対談。「死に行くことを美徳とせず、“命を繋げる”ことが大きなテーマ」

太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」の史実を基に、新たな視点で戦後80年の節目に届けられる感動巨編『雪風 YUKIKAZE』(8月15日公開)。激戦のあとに、海に投げ出された仲間たちを救い、最後は必ず日本に帰ってきた“幸運艦”こと「雪風」の乗組員たちと、現代へと繋がる激動の時代を懸命に生き抜いた人々の姿が、圧倒的なスケールで描かれる。

MOVIE WALKER PRESSでは、オリジナルキャラクターである「雪風」艦長の寺澤一利を演じた竹野内豊と、先任伍長(※先任衛兵伍長の略。最古参の下士官より選ばれ、艦内の規律維持にあたる)の早瀬幸平に扮した玉木宏にインタビューを敢行!初共演となる2人は、どんな想いで本作に臨んだのか?撮影時のエピソードを振り返りながら、この映画を“いま作らなければならない意味”を熱く語ってくれた。

「実際の艦長からお話を聞き、その想いを腹に据えて演じました」(竹野内)

戦争未体験者が演じることの想いを語ってくれた竹野内
戦争未体験者が演じることの想いを語ってくれた竹野内撮影/興梠真穂 ヘアメイク/勇見勝彦 スタイリング/下田梨来

――お2人は、ご自身が演じられた「雪風」の艦長の寺澤一利と先任伍長の早瀬幸平をどのような人物だと捉えて演じられましたか?

竹野内「寺澤艦長は“武士道”を重んじている人ですけど、その精神は日本人なら学ばずとも根底に備わっている気がしますし、私自身、違和感なく自然に役に入っていくことができました。いかなることがあろうと、リーダーとして一喜一憂せず常に冷静でいる非常に精神力の強い人だと思います」

玉木「先任伍長は基本的にはちゃんとした持ち場がないんですが、どこか全体を見守るような感じでいるだろうなと思いました。それに、『雪風』のことを誰よりも熟知しているという自負があるので、寺澤艦長と初めて会った時などは自分の主張をぶつけたりもします。自分が乗組員のみんなを俯瞰し、危険にさらさないようにしなければいけないという、強い責任感を常に持ち合わせている人物だと想像しました」

――それぞれの役に実際にはどのように臨まれたのでしょうか?

竹野内「戦争を知らない私たちが戦争映画を作るわけですし、ましてや、自国を護る駆逐艦の艦長の責任の重さは容易に想像できるものではなかったので、撮影に入る前にいろいろな資料に目を通しましたが、正しい答えを見いだすことができないまま撮影に突入していくことになって。撮影現場で乗組員を演じるキャスト一人一人が、それぞれに自分を信じるがまま役に取り組む姿に支えられ、気が付けば艦長にさせていただけたという感じでした」

竹野内が演じたのは、「雪風」の艦長・寺澤一利
竹野内が演じたのは、「雪風」の艦長・寺澤一利[c]2025 Yukikaze Partners.

――演じながら気づきを得たり、艦長としてなにか思うようなことはありました?

竹野内「今回の現場にはイージス艦の元艦長の方が特別監修としてついてくださっていましたし、横須賀に停泊していた海上自衛隊の護衛艦『やまぎり』の艦長にもいろいろと貴重なお話を伺いました。撮影中になにかわからないことがあった時は聞いたりもしたんですけど、お2人が共に『艦長の私たちが護るのは乗組員たちの命だけではない。家族や彼らに関係するすべての大切な人たちを護る責任があるということを腹の底に常に置いて任務に当たっています』とおっしゃっていて、実際の艦長からお話を聞けたことは、役作りをするうえで大きかったです。僕もその想いを腹に据えて演じました」

玉木「僕はこれまでにも(『真夏のオリオン』『聯合艦隊司令長官 山本五十六』など)たくさんの戦争映画に携わってきましたが、先任伍長をやらせていただくのは初めてだったので、最初に『艦長となにが違うのかな?』と考えました。そのなかで、指示を出すわけではないけれど、乗組員のみんなをまとめる、僕らの仕事の現場で言うと、チーフ助監督のような感じなのかなという考えに行き着いて。そんなイメージで今回の早瀬役には臨みましたね」

乗員たちからの信頼が厚い早瀬先任伍長を玉木が演じる
乗員たちからの信頼が厚い早瀬先任伍長を玉木が演じる[c]2025 Yukikaze Partners.

――今回の現場には、水雷員の井上壮太に扮した奥平大兼さんのような若いキャストもいましたが、そんな役回りで彼らとお芝居をされてみていかがでした?

玉木「撮影ではありますけど、みんなで汗水流しながら演じましたし、『雪風』の乗組員たちとの一体感はちゃんと疑似体験できたと思っています」


――早瀬には故郷に可愛い妹のサチ(當真あみ)もいます。そんな妹想いのお兄さんというところも意識されたんじゃないですか?

玉木「そうですね。でも、可愛い妹には撮影現場で1度も会っていなくて。実は(このインタビューが行われた)いまでも、まだお会いしてないんですよ(笑)。だから、そこは本当に想像しながら演じていました。今回の映画では戦場に送り出した兵士たちを待つ側の人たちの苦しみも描かれていますが、妹に手紙を書くシーンは、サチのことを想いながら、どこか穏やかな気持ちになっていることを意識していました」

竹野内「僕は先任伍長が妹からの最後の手紙を読んでいた時の表情にグッとくるものがありました。戦場でどんなに気持ちを強く持っていたとしても、明日生きられるかわからない日々のなかで、手紙を読んでいる時だけが、彼があの艦の上で唯一幸せを感じられる瞬間だったと思うと、なんとも言葉では言い表せない気持ちになりました」

年の離れた早瀬の妹・サチ(當真あみ)
年の離れた早瀬の妹・サチ(當真あみ)[c]2025 Yukikaze Partners.
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