タローマンが対峙する“奇獣”の元となった作品は?彼を動かす言葉とは?『大長編 タローマン 万博大爆発』をもっと知るために把握しておきたいこと

タローマンが対峙する“奇獣”の元となった作品は?彼を動かす言葉とは?『大長編 タローマン 万博大爆発』をもっと知るために把握しておきたいこと

タローマンを突き動かす、岡本太郎が遺した言葉

「成功は失敗のもと」「絶望はむなしい。しかし絶望のない人生もむなしい」など、数多くの格言や名言でも知られる岡本太郎。タローマンをはじめ登場キャラの行動原理は、彼が遺した“岡本語録”に基づいている。テレビに続いて劇場版でも飛びだした珠玉の言葉を紹介しよう。

「自分のやりたいことをやらず、他人の目ばかり気にしてはいけない」

縄文人と対峙したタローマンは、突然敵が飛ばした泥水をこねて火焔型土器を作り始めた。人にどう見られようとも心の声に従え、という考え方は、テレビでも貫かれたタローマンの根本理念。縄文土器を見た時に「ぐんぐんと迫って、こちらを圧倒してく(=いやったらしい)」と感じたという岡本太郎の思いも再現されている。

タローマンは、未来である子どもに出会う
タローマンは、未来である子どもに出会う[c]2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会

「忘れるからこそ常に新鮮でいられる」

未来に着き、自分がどこにいるのかわからず途方に暮れるタローマンを見た未来の少女が口にする。常識人を目指し勉強中だった彼女だが、積み重ねることは自由さを失うことだという岡本太郎と同じ信条を持つ彼女は、秩序が支配する未来社会で唯一人間らしさを感じさせるキャラクターだ。

「道がないからおもしろいんじゃないか」

CBGのメンバー、風来坊(川端英司)のセリフ。未来世界でタローマン抜きで戦うことになり意気消沈するCBGのメンバーに語りかける。さりげないひと言だが、道などなくてもただ前に向かって瞬間、瞬間を生きるという岡本太郎の熱き生き様がにじんでいる。昭和の特撮番組で活躍した宮内洋を彷彿とさせる、キザな風来坊が口にするとかっこよさも倍増だ。

秩序と常識に支配された未来では、とある人物による陰謀が渦巻いており…
秩序と常識に支配された未来では、とある人物による陰謀が渦巻いており…[c]2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会

「怖かったら怖いほど、逆にそこに飛び込むんだ。本当に生きるということは崖から自分を突き落とすんだ」

動力を破壊されたサイボーグのエランは、倒されたタローマンを復活させるため自ら犠牲になることを決意する。愛する娘を守るにはそれしかないと悟ったエランの言葉で、常識人間として秩序や効率を重視してきた彼だからこそ胸アツ度もさらにアップ。

テレビシリーズに登場した、ラスボス的な存在である太陽の塔。本作でももちろん登場
テレビシリーズに登場した、ラスボス的な存在である太陽の塔。本作でももちろん登場[c]2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会

「万国博は見世物ではない。本当をいえば、何も施設などは無くてもいいのだ。ただ人間同士が集まってくる広場。世界中から人々が寄ってきて、一つの渦のなかに高揚し、互いに顔を見あわせてふれあって、同じ人間であるということを確かめる。そして明朗に自分と世界全体を見かえすのである」

本作には、万博に疑問を抱きながらもテーマ館プロデューサーとして「太陽の塔」を指揮した岡本の言葉が引用されている。ここ一番で流れるこの言葉こそ、時間や立場、思想を超えて巨人や奇獣、人類、サイボーグから宇宙人までもが集った本作に流れるテーマなのだ。

2つの時代がリンクするタイムリープを取り入れた壮大な物語に加え、新旧多彩な奇獣たちの大暴れやタローマンの故郷からでたらめ8兄弟も参戦。4:3やシネスコほか多彩なスクリーンサイズや飛びだす立体映画など、仕掛け満載の劇場版。タローマンファン代表としてテレビに続く出演のサカナクション山口一郎による解説も楽しい。劇場版ならではのスケールで、魅惑の岡本ワールドにどっぷり浸れる本作をスクリーンで味わってみてはいかがだろうか。


文/神武団四郎

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