家族の絆で地球規模の脅威に立ち向かう!1960年代が重要な意味を持つ『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』を解説
60年代の未来像を提示することで現代社会の負の部分を考えさせる
こうした描写によって、本作はMCU作品である以上に、独自の世界観を持ったヒーローチームものとして楽しむことができる点が大いに評価できる。そして、「ファンタスティック4」のテーマである“家族の物語”に帰結する思い切りのよさにも多くの称賛が寄せられている。
MCUを離れ、DCコミックスの映像シリーズ化を主導するジェームズ・ガンが手掛けた『スーパーマン』(公開中)が、ドローンなどのテクノロジーや、SNSが大きな影響力を持った社会情勢などを盛り込んだ現代的なアプローチで再構築されて好評を得ているが、『ファンタスティック4』はそれとは真逆の形を取っている。原点にこだわり、いまだからこそ表現できる映画のスタイルと60年代に誰もが思い描いた希望のある未来像を改めて提示することで、現代社会の負の部分を考えさせるような構成になっているのだ。
『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』でもファンタスティック4が中核に?
一方、MCU作品として見るならば、2026年12月18日(金)に日米同時公開を控える『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』への布石としても重要なポジションに位置している。『ドゥームズデイ』のメインヴィランであることが想定されるドクター・ドゥーム(ロバート・ダウニー・Jr)は、原作ではファンタスティック4との因縁が深い存在。また、『サンダーボルツ*』(25)のポストクレジットに本作と連動するシーンが挿入されていたことからも、『ドゥームズデイ』においてファンタスティック4にスポットが当たると言われている。
作品単体としては本作とMCUとの関連は薄く感じるかもしれないが、時空を超えてアベンジャーズと合流することは間違いない。今後のシリーズの中核を担うであろうファンタスティック4のイメージを『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』でしっかり焼き付けておくことをオススメしたい。
文/石井誠