華やかな大舞台の裏側の夢と苦悩…BTS&ソロ活動の軌跡を『Burn the Stage : the Movie』『BTS: Yet To Come in Cinemas』など映像作品で振り返る
アリーナからスタジアムへ。華やかな大舞台の裏側で、BTSの7人が抱いていた夢、そして苦悩。ステージの表と裏、成功と葛藤、そしてBTSという集合体と、一人の青年としての素顔を丁寧に描く。BTSという存在がなぜこれほどまでに人々の心を揺さぶるのか、その核心に迫り記録した映像作品は多くリリースされている。BTSがこれまで開催した4つのライブを4作品連続で劇場公開する企画「BTS MOVIE WEEKS」も10月3日(金)より実施されることが決定したいま、ドキュメンタリーやバラエティで彼らの活動や素顔を振り返ってみよう。
成長と飛躍を描いたドキュメンタリー3部作
『Burn the Stage : the Movie』(18)、『BRING THE SOUL: THE MOVIE』(19)、『BREAK THE SILENCE:THE MOVIE』(20)は、2017年から2019年にかけて行われた3つのワールドツアーに密着したドキュメンタリー3部作だ。第1作『Burn the Stage : the Movie』の舞台は、アルバム「WINGS」を引っ提げ、世界19都市を駆け抜けた2017年。BTSにとって、ビルボード・ミュージック・アワードやアメリカン・ミュージック・アワードといった世界的ステージに初登場し、飛躍の足がかりを築いた1年でもある。体調を崩しながらもチリ、サンティアゴのステージに立つJUNG KOOKの姿、パフォーマンスにすべてを懸けるメンバーたちの緊張と集中。完璧を目指すがゆえに伴う痛み。カメラは華やかな成功の裏で限界を超えようともがく彼らの内面を、まっすぐに捉える。終盤に挿入されるデビューからの軌跡をたどるヒストリー映像も必見だ。
続く『BRING THE SOUL: THE MOVIE』は、「BTS WORLD TOUR ‘LOVE YOURSELF’」のフランス、パリでのささやかな打ち上げの席でのメンバーの会話から、ツアーを振り返っていく。ヨーロッパ各地でのライブの熱狂と対比されるように、「なぜ自分たちはステージに立ち続けるのか」という問いに向き合う彼らの素顔が浮かび上がる。
そして3作目『BREAK THE SILENCE:THE MOVIE』は、BTSがスタジアムクラスのツアーへと歩を進めた「LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF」の軌跡を描く。前2作が成長の過程での葛藤や模索に焦点を当てていたのに対し、本作は、名声の真っただなかにいる彼らが、成功の先で自分自身とどう向き合っているのかを掘り下げる。冒頭でメンバーたちが本名で自己紹介するシーンが象徴するように、個々が内面の声をさらけだす。まさに、これまで心の奥底に秘めていた“沈黙”を破るかのように。
兵役前最後の“7人”を映す『BTS: Yet To Come in Cinemas』
2022年10月15日、韓国の釜山で開催された「BTS<Yet To Come> in BUSAN」」コンサートのライブフィルムでありながら、それ以上の意味を持つ本作。そう、兵役を控えたメンバーがそろって立った最後の舞台の記録だ。ステージには、デビュー曲「No More Dream」の黄色いスクールバスや名曲「Spring Day」の回転ブランコなど、MVに登場するアイテムの数々が。幕開けを飾る「Mic Drop」の鋭くエネルギッシュなダンスや、世界的大ヒットを飛ばした「Dynamite」など、全19曲のセットリストを通じて、BTSの過去と現在が交錯する濃密な時間を描きだす。
パープルに輝く客席と呼応するパフォーマンスは、BTSとARMYがお互いの心を察しながら「また会おう」と交わした、約束の記録でもある。「いまとても晴れやかな気持ちです」「もっと続けないと。30年、40年」とメンバーたちが思いをさらけだす声を集めたエンドクレジットまで、じっくり耳を傾けたい。