【TOHOシネマズ ひたちなか篇】チェーン唯一のグッドデザイン賞受賞!?映画館にまつわる歴史&トリビアを大特集

【TOHOシネマズ ひたちなか篇】チェーン唯一のグッドデザイン賞受賞!?映画館にまつわる歴史&トリビアを大特集

グッドデザイン賞を受賞した個性派の映画館!

夜間はライトアップされてとてもきれい
夜間はライトアップされてとてもきれいTM & [c] TOHO Cinemas Ltd. All Rights Reserved.

「いまでこそ劇場の周りにショッピングモールなど、いろいろな商業施設がありますが、映画館の開業時、周りはほぼ更地でした。だから最初は不安が大きかったのですが、蓋を開けてみたら想像以上の方にご利用いただき、ものすごくびっくりした記憶があります」と元マネージャーは当時を振り返る。

実は円をモチーフにした当劇場は、TOHOシネマズでは唯一、2006年に建物でのグッドデザイン賞を受賞している。「特殊なデザインなので、建設途中から注目されていました。あれだけのものをよく作ったなと。当時はLEDもなく、何百本もの蛍光灯の間接照明で建物を照らしていたのですが、かなりインパクトが強かったと思います」。

ゆったりしたワイドシートを全スクリーン全席に導入
ゆったりしたワイドシートを全スクリーン全席に導入TM & [c] TOHO Cinemas Ltd. All Rights Reserved.

公開前に反響が多かった映画としては『ワンピース ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(09)を挙げる元マネージャー。「全国どこの劇場もそうだったかと思います。入場者プレゼントの『ONE PIECE 巻零(ゼロ)』が話題となり、前売券も記録的な売れ行きで、公開前日には公開初日の全上映回が全席満席となりました!茨城県民がみんな来ているんじゃないかと思うくらいすごい人でした」。

また、その大盛況ぶりにスタッフは連日、対応に追われたという。「昔はインターネットでチケットを買うという時代ではなかったので、長蛇の列ができました。問い合わせもすごかったし、おそらく入場者特典でここまで盛り上がった作品はこれが初めてなんじゃないかと」とうなる。

ほかに印象深かった作品として、『フラガール』(06)の舞台が福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズで近かったため、ゲストを招いたイベントを開催したことがあると教えてくれた。「確か、ハワイアンズからフラガールが来た記憶があります。フラガールたちに舞台に上がって踊っていただき、大いに盛り上がりました」。

劇場周辺で、映画を鑑賞する前後にお勧めしたいスポットは、国営ひたち海浜公園や酒列磯前神社など。ひたちなか海浜鉄道は、数々の映画やドラマのロケ地として登場しており、2030年には現在の終点の阿字ヶ浦駅から海浜公園の南口付近まで延長予定だ。

コンセッションも開放感がある
コンセッションも開放感があるTM & [c] TOHO Cinemas Ltd. All Rights Reserved.

ひたち海浜公園では、2019年まで毎年8月の3日間、音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」(以下、RIJF)が開催されており、このエリアは熱気に包まれていたそうだ。「劇場からフェスの様子は見えないのですが、音楽は聞こえてきた気がします。確か開業前に初めて開催期間を迎えた時は、劇場の屋上に上がり、みんなでその様子を眺めていたことが記憶に残っています。いまでは千葉開催(2024年は25周年を記念し、ひたち海浜公園でも特別開催)になってしまいましたが、RIJFは夏の風物詩でした」と当時を懐かしむ。

「3日間ずっと、とにかくものすごい人数が海浜公園に流れていくんです。アーティストやRIJFのタオルを首に巻いている、明らかにRIJFに参加するお客様が映画館に立ち寄り、ジュースやホットドッグを買ってくださるんです。それがきっかけで、当館を訪ねて知ってくださる方も多かったです」。

開業当時は、近くに飲食店がなかったので、売店は常に混んでいたと言う。「みんなで四苦八苦してやっていたという印象です。周辺に学校がなかったので、学生のバイトも少なくて、フリーターの方が朝から晩まで働いてくれていました。私もまだマネージャーで、年齢も近かったので、全員の仲間意識が強かったですね。おそらくいまもまだ、オープニングスタッフが4、5人が残って働いてくれています」。

東日本大震災を乗り越えた、何世代にもわたり愛され続ける映画館

地元で愛され続けて20年!
地元で愛され続けて20年!TM & [c] TOHO Cinemas Ltd. All Rights Reserved.

また、ひたちなかを語るうえで、忘れられない出来事が、2011年に発生した東日本大震災だ。「実は、私がほかの劇場へ異動した後でしたが、まさに震災が劇場を直撃したので、すごく心配しました。連絡しても一切つながらなかったので、従業員たちの安否も気になっていて。実際に、津波で家が浸水した人や、住めなくなったスタッフもいたと思います。やはり震災は、ひたちなかの劇場の歴史においては大きな事件でした」と述懐。

「ほぼ2か月ぐらいで営業を再開したようです。短期間で復活し、映画をこの地域の皆さんにお届けできたことで、ちゃんと映画館としての使命を果たせたのかなとも思いました。また、震災を乗り越え、いまも営業が続けられていることは、立ち上げ当時にいた人間の1人として、とても感慨深いです。当時は『帰ってきてくれてありがとう!』という気持ちでしたし、誇りに思うぐらいいい劇場だと思っています」と力強く語る。

アニバーサリーを迎えるTOHOシネマズの全国17劇場で配布されるTOHOシネマズシアターカード
アニバーサリーを迎えるTOHOシネマズの全国17劇場で配布されるTOHOシネマズシアターカードTM & [c] TOHO Cinemas Ltd. All Rights Reserved.

気がつけば開業20周年を迎えたひたちなか。それまでには最寄りの映画館はなかったそうで、このエリアの映画人口を掘り起こした形となった。「開業の年に生まれた子どもたちがもう20歳になっています。きっと今後も何世代にわたって、映画をお届けしていく劇場なので、ずっと続いていってほしいです」と元マネージャーは締めくくった。

なおTOHOシネマズの全国17劇場で開催中のアニバーサリーキャンペーンでは、4月から12月の9か月間にわたって、様々なサービスを展開していく。対象劇場は、今回紹介したひたちなかのほか、5周年の池袋、立川立飛、10周年の新宿、ららぽーと富⼠⾒、アミュプラザおおいた、15周年の上大岡、20周年の府中、⽔⼾内原、津島、⼆条、直⽅、25周年の浜松、ファボーレ富⼭、岐⾩、泉北、⼤分わさだだ。ぜひ最寄りの場所や気になっている映画館をチェックし、お目当ての映画を観に行っていただきたい。


取材・文/山崎伸子

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