ジェームズ・ガン監督が語る、スーパーマンとKAIJUが戦うワケ「彼は怯えているただの巨大動物として見ている」
「ある意味私にとって初めてのスーパーヒーロー映画への挑戦」
スーパーマンを人間側の視点から見て“アウトサイダー=はみ出し者”だという考え方は、ある意味、今回の映画にとって大きなテーマに関わる部分だと言えるだろう。その新たな視点によって、ガン監督が描いたスーパーマンは、これまでの様々な作品で描かれてきたスーパーマンとはまた違った魅力を放つことになる。
「どうやってそういう考えに至ったのかと言えば、いままで自分が関わったヒーロー映画の考え方が関係しています。正直に言えば、僕はこれまでスーパーヒーロー映画を作ったことがないと思っているんです。一つの方向から見れば、僕は周りの誰よりもスーパーヒーロー映画を作っているように見えるかもしれませんが、でも僕が作ったのはスーパーヒーローではなく、今回のスーパーマンのように、いわゆる“アウトサイダー”のような映画でした。『ザ・スーサイド・スクワッド』はスーパーヴィランの話ですし、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』も同じように、寄せ集めの宇宙冒険家集団の話です。だから、ある意味、私にとって初めてのスーパーヒーロー映画への挑戦でもありました。そこに対しては確かに不安もありましたが、すべてのシーンが創造性に富んでいたいので、それに集中し、一歩ずつ着実に歩むことで、作りたい映画として進められたと思っています」。
本作では、スーパーマンの存在をより魅力的に見せる存在であり、敵対する人物として原作コミックスからずっとスーパーマンの最大の宿敵である、レックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)にも大きなスポットが当たっている。普通の人間でありながら、スーパーマンを倒すことにこだわり、卓越した頭脳を駆使して彼を窮地に追い込むキャラクターもガン監督の思い入れによって、かつての映画やドラマに登場した様々なバージョンの要素を入れ込み、より印象深いキャラクターとして描かれている。
「レックス・ルーサーがどれほど酷い人間だとしても、個人的には彼に対してとても同情しています。彼は、人生を通して世界で最も偉大な人物になるために努力してきましたし、自分が世界で最も偉大な人間だと思っていました。誰も持っていなかった物を発明し、財力も名声もすべて手に入れました。ところが突然、カラフルなコスチュームを着て、ものすごい能力で世間の注目を集めてしまうヒーローが現れる。そこでレックスが感じたのは、自分がスーパーマンに比べると取るに足らない存在であることの自覚と、スーパーマンに対する強い嫉妬心です。そんなレックスの感情は、きっと誰もが共感できる要素だと思います。
誰もが、仕事や恋愛、ルックスなどでなんでも手に入れている人に嫉妬したことがあるはずで、だからこそ映画のなかのレックスがどんな動機で行動しているかという部分に共感できる。レックスは本当に酷い人間ですが、僕は彼に対しても、クラークと同じように人間らしく変容する姿を、映画を通して見たいと思いました。だから、今回の映画だけではレックスの活躍は終わっていないと思いますし、これからもさらにこのキャラクターが魅力的に描いていくことができると思っています」。