ジェームズ・ガン監督が語る、スーパーマンとKAIJUが戦うワケ「彼は怯えているただの巨大動物として見ている」
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズや『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(21)を手掛けたジェームズ・ガン監督が中心となり、DCユニバースを再構築するシリーズがついに幕を開ける!その再スタートの記念すべき長編映画第1作となる『スーパーマン』が公開中だ。
MOVIE WALKER PRESSでは公開直前に、監督と脚本を務めたジェームズ・ガンへのインタビューを敢行!アメコミスーパーヒーローの原点であり頂点である「スーパーマン」を、どのようなこだわりを持って作り上げたのか?作品にかけた想いを聞いた。
「きっと10年前の自分ならば、こんな映画を作ることはできなかった」
すでに複数のヒーローたちが存在している世界として、実写映画で改めて描き直されるDCユニバース。その記念すべき最初の物語として、DCコミックスの原点でもある「スーパーマン」が選ばれた。映画の企画自体はガン監督がDCの映画部門の責任者という立場を引き継ぐ数か月前から、新たなDCユニバースは「スーパーマンから始めるべきだ」という想いのもとにスタートしていたという。その製作会社であるワーナー・ブラザースの考えに対して、自身も大きく納得する形で作品に携わったそうだ。
「最初にワーナー・ブラザースと話をした際、パートナーとして共に作品に携わる映画プロデューサーのピーター・サフランと一緒に、『どのキャラクターの作品を作りたいか?』ということを聞かれたんです。その際に僕はいくつかのキャラクターの名前を挙げて希望を伝えたのですが、そのなかの一つには、もちろんスーパーマンも含まれていました。その時、私の希望とは関係なく、すでに新しいスーパーマンの企画が動いていたのですが、僕がピーターと共にDCの責任者に就任してスタートを切るにあたっては、やはりこの世界の史上初のスーパーヒーローであるキャラクターを主軸にして新たな世界観を作り、シリーズをスタートさせることが相応しいと思いました」。
本格的に作品に関わる前の段階から、自身も気になっていた原点のスーパーヒーロー、スーパーマン。生誕から約80年にわたって様々な形で描かれ続けてきたヒーローに対して、どのような部分に好感を持っていたのだろうか?
「スーパーマンの好きなところは、いくつもあります。まずは彼の持つ自身の強い“善”に対する想いを止められないという性格。そして、なにが起ころうとも“善”を行うし、“善”の立場であり続けようとする道徳的な性質の両方が気に入っています。その“善”の心は、育ての親であるジョン(ジョナサン)・ケントとマーサ・ケントによって植え付けられた人間の価値観なんですよね。その性質があるからこそ、非常に強力な敵に包囲された時も、誰も彼を止めることができない。そこがスーパーマンのいいところです。もちろん、冷たい息を吐き、目からレーザーを発射し、スーパードッグとスーパーな従姉妹が身近にいて、純粋な心とちょっとした愚かさを持つスーパーマンのキャラクター性のすべてが僕は大好きです」。
ガン監督の作品と言えば、世間のはみ出し者による寄せ集めチームを中心に等身大のキャラクターを活躍させるのを得意とし、その泥臭さを踏まえてヒーローとして描写する手腕が評価されてきた。一方で、スーパーマンと言えば単独で行動するヒーローであり、またスーパーヒーローの頂点に立っている存在。ある意味、得意とするヒーローの表現とは真逆に位置するキャラクターとも言えるだろう。そうしたこれまでの自身の経歴や得意ジャンルを踏まえ、どのように向き合っていったのだろうか?デヴィッド・コレンスウェット演じるスーパーマン=クラーク・ケントを描くにあたっての想いを以下のように語っている。
「質問されたとおり、この作品は僕にとってとても挑戦的でした。きっと10年前の自分ならば、こんな映画を作ることはできなかったでしょうし、クラーク・ケントという人物をどう捉えていいか、わからなかったと思います。僕はこれまで、彼を児童文学のポリアンナのような楽観的で少し古風な人物だと思っていました。実際に古風なのかもしれません。でも、それこそが彼らしい、普通の人とは異なる尖った部分でもあるとも思うんです。彼は純粋で、人を傷つけたり、意地悪をしたりしない人物ではあるですが、それだけだとこの世界に生きるのには危ないところがあると気づきました。だから、今回の映画では、彼にちょっとしたひねりというか、違いを見つける必要があったんです。彼は超人であり、世界で最も強力なヒーローであると共に、ある種のアウトサイダーでもあるというところです」。