アメリカ全土を恐怖に染めた悪魔パニックに迫る…『サタンがおまえを待っている』ポスタービジュアル、本予告
教会やローマ教皇、FBIをも巻き込む未曾有の悪魔パニックのきっかけとなった「悪魔の書」に迫るドキュメンタリー『サタンがおまえを待っている』(8月8日公開)。このたび、本作のポスタービジュアル、本予告、場面写真が解禁となった。
1980年にミシェル・スミスという女性とその精神科医ローレンス・パズダーによる共著として出版され、アメリカで大ベストセラーとなった書籍「ミシェル・リメンバーズ」。『エクスシスト』(73)や『オーメン』(76)の大ヒットにより世の中でオカルト、悪魔が猛威を振るっていた時期、ミシェルは退行催眠のようなセラピーによって、蓋をしてきた禁断の記憶を思い起こす。それは5歳の頃に悪魔を崇拝する教団に引き渡され、儀式に捧げられたというものだった。
「私を檻に入れ動物を生贄にしたり、ろうそくを立てて詠唱したり…排泄物を食す行為や胎児の手足の切断が行われているのを目撃した」など、「悪魔的儀式虐待」の様子を詳細に描写したあまりに刺激的な内容は、テレビのバラエティ番組、ワイドショーでも多く取り上げられ、大きく拡散されていく。これをきっかけに、「実は私も幼い頃に儀式に参加させられた!」という告発が続出。世に言う“サタニック・パニック”という大混乱が巻き起こるのだった。
それは“現代の魔女狩り”とも言われ数々の事件を引き起こし、警察、FBI、学者なども巻き込み、アメリカ全土を恐怖に染めていく。いまなおアメリカに影を落とす一連のパニックとその恐るべき真相を、スティーヴ・J・アダムズ&ショーン・ホーラー監督コンビがテンポのいい巧みな演出で描いた本作は、SXSW映画祭、シッチェス・カタロニア国際映画祭、ホットドックスフェスティバルフェスティバル等々世界の名だたる映画祭で絶賛。映画批評を集積、集計するサイト「ロッテントマト」では批評家から95%フレッシュの高評価を獲得している(2025年5月14日時点)。
このたび、ポスタービジュアルが解禁。中心にいるのは悪魔的儀式の被害者であるミシェル。その後ろにまるで背後霊のように佇むのは精神科医ローレンスだ。キャッチコピーにもあるように、10年以上も北米を戦慄と混乱に陥れたサタニック・パニックの発端となる書籍を発表した彼らは、まさに「地獄の門を開けた二人」といえるだろう。悪魔の象徴である逆さのペンタグラムや悪魔の数字666も配置されており、禍々しいビジュアルとなっている。
また、ミシェルの証言や当時の騒動の模様など、貴重なアーカイブ映像で構成された本予告も解禁。悪魔的儀式に関する告発は事実かと聞かれ、きっぱりと「もちろんです」と答えるミシェル。だが、「もうなにが現実かわからない」と涙声で訴える場面も。ほか、サタン教会の開祖アントン・ラヴェイの姿やサタニック・パニックを知る上で欠かせない重要事件、マクマーティン保育園裁判の写真なども挟まれ、一人の女性の蘇った記憶から出発し、世界を暗黒に包み込んだ騒動が立体的に浮かびあがる予告となっている。
このほか、騒動当時の記事や退行睡眠セラピー中などをとらえた場面写真も解禁に。1980~90年代に実際におきたパニックを客観的な視点で描いた作品だが、混乱を極める現在の社会においてなおアクチュアルなテーマを炙りだし、人間の複雑な心理と欲望という恐怖を提供する。
80年代に北米を襲った未曾有のサタニック・パニックの真相に迫るドキュメンタリー『サタンがおまえを待っている』に引き続き注目してほしい。
文/平尾嘉浩