イ・ジェフン&ク・ギョファンを撮りおろし!待望の初共演『脱走』の撮影秘話を語り尽くす

イ・ジェフン&ク・ギョファンを撮りおろし!待望の初共演『脱走』の撮影秘話を語り尽くす

『脱走』の立役者たち、ホン・サビン、ソン・ガンとの撮影エピソード

母への一途な想いで脱北を図るドンヒョク
母への一途な想いで脱北を図るドンヒョク [c]2024 PLUS M ENTERTAINMENT and THE LAMP LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

――他の共演者の方とのアンサンブルも見事です。ギュナムの部下で下級兵士ドンヒョク役は、ストーリーを予想外に展開させる重要なキャラですが、ホン・サビンさんが力強く演じられていました。

イ・ジェフン「実は今日、ホン・サビンさんの除隊の日なんです!(編集部注:取材日は6月18日) ホン・サビンさんの親戚の方も日本にいらっしゃって、公開プロモーションの様子を写真で撮って彼にも送ってくれたそうです。もう少し早く除隊出来ていたら一緒にプロモーションに来られたので、残念ですね…。今回共演して、作品に臨む姿勢や演技の準備、役を演じ切る姿にとても感心させられました。たくさん抱きしめてあげたくなる弟のように思いましたね。映画のなかでも、ギュナムは計画通り1人で脱出すればいいのに、ドンヒョクを連れて行きますよね。そうしたくなるような気持ちが実際に彼から感じられるところがあって、私も自然と心が動かされて行動に出たんだと思います」

ヒョンサンの切ない人生を一層際立たせるミヌの存在感
ヒョンサンの切ない人生を一層際立たせるミヌの存在感[c]2024 PLUS M ENTERTAINMENT and THE LAMP LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

――ヒョンサンにも、ミヌという重要な人物がいます。想像力をかき立てる象徴的なキャラクターをソン・ガンさんが見事に演じきっていました。同じ事務所なんですよね。

ク・ギョファン「ソン・ガンさんはとても好きな俳優で、すべてのシーンが印象的です。ヒョンサンとミヌは宴会場で久々に会うわけですが、私が思っていた通り美しい顔立ちの方だと感じました。リ・ヒョンサンとミヌがロシアでどんな時間を過ごしどんな関係だったかは、映画のなかでは直接描かれていませんが、ソン・ガンさんのちょっとした表情を見ても『これはヒョンサンが恥じらってしまう顔だ…』と思いました。でもソン・ガンさんは人々に無数の物語を投げかけられてドラマを作れる魅力のある方なので、私が推薦したんです。本当に一生懸命演じてくださって、助けられました」

2人が選ぶお互いのベストシーンは?

終始ユーモアたっぷりな回答で楽しませてくれたク・ギョファン
終始ユーモアたっぷりな回答で楽しませてくれたク・ギョファン撮影/友野雄

――お互いのお気に入りのシーンはどこですか?

イ・ジェフン「すべてのシーンが大好きなんですが、リ・ヒョンサンの初登場シーンですね。『あんなふうに行動するんだ?』という不思議な感じがあり、ずっと興味を惹くよう描かれている。こんなに魅力的で特別な紹介のされ方があるかな?と羨ましくもありました。観客の方々は、きっとヒョンサンの魅力にすっかりハマってしまうんじゃないでしょうか」

今日除隊するホン・サビンに「メッセージを送っていいですか?」と気遣いを忘れないイ・ジェフン
今日除隊するホン・サビンに「メッセージを送っていいですか?」と気遣いを忘れないイ・ジェフン撮影/友野雄

ク・ギョファン「ドンヒョクを撃ったヒョンサンを、ギュナムがスコープの向こうからじっと見つめるクローズアップシーンです。見つめ返されたヒョンサンがなぜギュナムを撃たないかについては、論理が必要ですが、それを作るのは俳優の表情だと思っています。ヒョンサンが引き金を引かない理由も、やはりギュナムが作ってくれたんです。ただ単にギュナムが戦闘的だとは思わないんですよね。撃ったほうを見ているようであるし、『兄さん…!』と呼んでいるようにも見える。『なぜなんだ?』と思っている顔でもあるし、なにかを懇願しているような表情にも見えて、説明しがたいあの顔が本当にすばらしいんです。『脱出』では、私の演技をイ・ジェフンさんが作り、イ・ジェフンさんの演技も私が手助けできたのではと思うポイントが多くありましたが、それが最も分かりやすい場面でした。私が思うに、良い映画というのは終わった後も残像のようにいくつかのフレームが残るんですよね。この映画を観客の方々が見てくださると、パッパッパッというフラッシュバックのようにずっと脳裏に焼き付いているんじゃないでしょうか。劇場で確認すると、私と同じ気持ちになると思います」


取材・文/荒井 南


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