F1(R)にまつわるキホンをチェック!映画『F1(R)/エフワン』がよりおもしろくなる“モータースポーツ最高峰”のあれこれ
ブラッド・ピットが『トップガン マーヴェリック』(22)のジョセフ・コシンスキー監督とタッグを組み、モータースポーツの最高峰に挑んだ映画『F1(R)/エフワン』が大ヒット公開中。ピット演じる伝説のドライバーが弱小チームに加わり、常識破りの作戦で逆転優勝を目指そうとする。迫力ある映像と抜群の臨場感により、猛スピードでサーキットを走り抜けるF1ドライバーが見る世界を疑似体験できるのが本作の魅力だが、F1に関する情報を備えておくとより作品を楽しめるのだ。
伝説のF1ドライバーが弱小チームを立て直すために現場へ復帰!
かつて“天才”と呼ばれた伝説のF1ドライバー、ソニー(ピット)。しかし、栄冠を手にすることがないままF1を退き、現在は様々なモータースポーツに参加しては所属チームを勝利させる流浪のレーサーとして各地を回っている。そんな時、旧友の元レーサーで現在は最下位に低迷するF1チーム「APXGP(エイペックスジーピー)」のオーナー、ルーベン(ハビエル・バルデム)からレーサーとしてチームを立て直してほしいとオファーされる。当初は真に受けないソニーだったが内なる闘争心には逆らえずに現場復帰を決意。誰よりもレースの過酷さを知り、型に囚われない破天荒なソニーのドライビングスタイルに、チームのスタッフや自信家のルーキー、ジョシュア(ダムソン・イドリス)は困惑し、何度も衝突を繰り返す。はたして、ソニーたち最弱チームは逆転勝利を果たすことができるのか?
予選と決勝の違いは?F1グランプリの仕組みを解説
フォーミュラ1ことF1は、約1年間をかけて世界各地を転戦し、20以上のレースが開催される世界最高峰のモータースポーツ。現在10チームが参加し、各チーム2名、計20名のドライバーによって順位が争われる。
映画で描かれたのは決勝レースの模様だったが、基本的にF1グランプリは金、土、日の週末3日間で実施される。まずは金曜日にフリー走行が行われ(金曜日の午前と午後、土曜日の午前にも1回)、実際にコースを走らせながらマシンのセッティングや戦略が組み立てられていく。土曜日の予選は決勝レースのスターティンググリッド(スタート時に位置するポジション)を決めるためのタイムアタック。Q1、Q2、Q3の3回にわたって行われ、Q1とQ2のそれぞれでタイムが遅かった5台が順々に脱落し、10台によって競われるQ3で最速タイムを記録したドライバーがポールポジション(最前列)を獲得できる。
日曜日の決勝レースは予選で決定したスターティンググリッドからスタートし、定められた周回数(「決勝走行距離は最低限305km以上」とされコースによって異なるが50~70周程度)を走って順位を争い、1位、2位、3位に入ったドライバーが表彰台に上がることができる。また、決勝レースの上位10位までにポイントが与えられ(1位25点、2位18点、3位15点、4位12点、5位10点、6位8点、7位6点、8位4点、9位2点、10位1点)、シーズンを通して最も多くのポイントを獲得したドライバーに「ドライバーズチャンピオン」、チームに「コンストラクターズチャンピオン」の称号が授与される。
F1ドライバーにとってチームメイトは最大のライバル!?
上記の通り、F1に参戦する各チームは2名のドライバーをレースに送り込むことができ、ソニーが所属するエイペックスも彼に加えてジョシュアというルーキーと契約している。同じチームでありながらソニーとジョシュアは激しく闘争心をぶつけ合い、レース中にもかかわらずトラブルを起こす場面もあった。F1ドライバーにとってチームメイトは、仲間であり最大のライバルと捉えることができる。
同じマシンに乗るチームメイトは自身の速さや技術を最も比較しやすい相手であり、チャンピオンシップを争う上位チームになれば仲間同士でトップを争うことも珍しくない。中団グループ以下のチームに所属するドライバーもまた、より好条件の契約を目指して上昇する機会をねらっている。究極的な視点で見れば、F1ドライバーにとっての目標はドライバーズチャンピオンを獲得することであり、と同時に20席しかないシートを確保し続ける争いも常に苛烈を極めている。
また、チームとしてもよりポイントを稼げるドライバーを優先することになるので、時に成績が下のドライバーはチームメイトのサポートに回らなければならない。エイペックスも期待のルーキーであるジョシュアをプッシュしており、ソニーに道を譲るように指示していた。しかし、勝つために戻ってきた彼が素直に受け入れるはずもなく…。