漫画家・大友しゅうまが津田健次郎とコラボした“1分でわかる『キャンドルスティック』紹介動画”!制作秘話と映画の魅力を聞いてみた
「“肉を切らせて骨を断つ”じゃないけれど、騙しをロジカルに表現していてカッコよかった!」
“騙し合い”も本作の重要なキーワードだが、大友が惹かれたポイントは「知性を感じさせる勝ち方」だという。「“肉を切らせて骨を断つ”じゃないけれど、野原の騙しはそれをロジカルに表現している感じがあって、すごくカッコよかったと思います!」。“騙す”ことは悪いことのようでいて、本作では、時に人を救ったり、物語に深みを与える要素としても描かれている。漫画家として“騙し”の表現のおもしろさや可能性をどのように捉えているのだろうか。「どんでん返し系の名作もたくさん観てきましたが、初見ではインパクトで殴られたような気持ちよさがありますよね。紹介漫画を描く際には、作品を何度も見返すのですが、2回目以降ならではの楽しみ方というのもあって。ちょっとしたシーンが実は効いていた!みたいな発見で作品をもっと好きになることも多いです。本作の2回目の鑑賞時には並行する3つの物語や、キャラクターの関係性がスッと入って来るのがわかって。水をかけるシーンの意味もより深く理解ができました」とリピート鑑賞ならではの発見や、散りばめられた仕掛けを、存分に楽しんだことを補足。
野原には相棒のように、愛車・ウーズレーが寄り添い、そして、杏子が相棒になっていく過程も描かれる。最後に、大友とっての相棒的存在について訊いてみると、劇中にAIが出てくるという繋がりで「ChatGPTを使うことも多いです。創作物に使っていると聞くと肯定的ではない方も多いかもしれないんですけど、使い方によっては本当に便利で。僕はアイデア出しや簡潔な言い回しの例が欲しい時に使っています。ChatGPTが提案してくれた膨大なアイデアのなかから、よいかもと思ったものでイメージを膨らませたり、参考にしたりしていますね。ChatGPTに頼りすぎることも危険だと思っているので、創作物がおもしろいかどうかを自分で判断できる力は絶対に必要だと考えています。その判断力を鍛えるのはインプットだと思っていて、それが僕にとっては映画なんです」とAIとの付き合い方だけでなく、大友にとっての映画はインプットにもアウトプットにも大事な役割を果たしていることも明かしてくれた。もはや映画が相棒といった印象だ。
特別映像では、10人の男女が大金を手に入れるため、世界を股にかけた前代未聞のミッションに挑む姿や、野原が警察に連行される姿など様々な思惑が交錯する様子、手に汗握るシーンが描かれている。世界各国のろくでなしたちが挑む“AIを騙して大金をせしめる”前代未聞のミッションで最後に笑うのは誰か?「小学生のころからアニメで聞いていて、大好きだった津田さんとコラボできて本当に感激でした!魅力的なキャラクターたちが、どでかいスケールの作戦に挑むワクワク感を、感じてもらえたらうれしいです!」と語る大友渾身のイラストと津田のナレーションがコラボレーションした特別映像を見て、ぜひ『キャンドルスティック』の物語を目撃してほしい。
取材・文/タナカシノブ